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人間から種族:超美少女へ転生し勝ち組人生目指す  作者: 里芋御膳
第六章 蒸気機関の国と竜の住む国ときどき妖精の国
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第八十九話 ドラゴンの世界

「お待ちしてましたよー女神エシュリー!」


 伝声管を通して外を飛ぶラグナの声が聞こえてくる。

 【念話テレパシー】も精神系の魔法に部類されるため、改良飛行船では遮断しゃだんされてしまう。

 なので外の有翼人ルーファレティウスとの連絡には機器類の必要性があるという訳だ。


「ラグナ、有翼人ルーファレティウスの指揮はお前に任せた! あの傲慢ごうまんな竜族を打ち倒すのだ!」


「おーっ!」


 エシュリーの鼓舞こぶにラグナの気合いの声が返ってくる。

 声は聞こえないけど、他の有翼人ルーファレティウスも同じく声を上げていることだろう。

 飛行船の窓から、外を飛ぶ有翼人ルーファレティウスの軍隊総勢一万人の雄姿ゆうしが見て取れる。


「結構な大部隊だよねー」


北の国シャルハルバナルで見たのと同じ規模だよね」


 リンの返答にわたしはうなずく。

 さらに増援はそれだけではない。


「まさかアルハト王が直々に来られるとは――」


 当の国の市民であるヘレナさんが言うのだ、相当なレアケースなのだろう。

 そう、蒸気機関の国スティレルに戻ってきたら、国王自らが神器を持って飛行船の一つに乗り込んできたのだ。


「さすがにアレじゃあねぇ……王族が動かないわけにはいかないし……」


 アリスが窓から大地の様子を見つめる。

 大地をおおう金属都市のアチコチから火の手が上がり、黒煙が昇っていた。地面にいくつもの穴が開いており、数キロにわたる範囲が破壊されているのが見て取れた。

 わたしたちが留守の間に竜族の襲撃しゅうげきが何度もあったというのだ。

 つい最近まで良好な関係だったはずなのに、ドラゴンたちはまるで容赦ようしゃがない。


「うむ、国王であれば市民を守ってるぞアピールは必要だからな」


 エシュリーが一人で納得してうなずく。


「アピールって人聞き悪いわよ」


 エシュリーのわきを突いて注意しておく。




 蒸気機関の国スティレルを発ってそのまま南下し、二日で竜の国ドラグナーとの国境線に差し掛かった。

 こっちは強化型飛行船十隻とその艦載機四十機。船の乗員総数は五千人以上。

 さらに有翼人ルーファレティウスの部隊が一万人。

 そしてわたしたち。

 ドラゴンたちは島に五百万匹以上いるみたい。

 どんな戦いになるんだろう。


「とにかく、エシュリーが竜の国ドラグナーの神器ダグダの魔窯まがまを破壊すればこっちの勝ちなんだよね?」


「そうだ。ちなみにアルハト王の神器とわたしが倒されるとこちらの負けになる。そうはならんだろうけどな」


「エシュリー楽観的だけど、この部隊数でも向こうの方が戦力上なんでしょう?」


 開戦前にエシュリーにクギを刺しておく。


「大丈夫だろう。数は向こうの方が多いといっても、わたしやモナカには竜王だって勝てないだろうしな」


「そーなの? 竜王さんは会ったこと無いから良く分からないけど――」


「モナカ! モナカ! あれ! すっごい!」


 アリスが窓の外を見ながらわたしを呼んでくる。

 何か危険が差し迫ってるとかでなく、ただ興奮してるだけみたいだ。


「どしたの?」


「あれ!」


「どれどれ……なにあのバケモノ!?」


 外の光景に思わずバケモノと言ってしまったが、生き物ではない。

 窓の外にはすでに竜の島が見えていた。

 大地に草木は見えず、無数にそびえる火山から噴煙が昇り溶岩が流れ出て真っ赤な川となっていた。

 そして無数にある火山の中でひときわ大きいものがあったのだ。

 富士山よりも傾斜がある山体。

 だが、その大きさは富士山など比較にもならない。まだ距離があるはずなのに全体が視界に入りきらない。頂上は雲の高度よりもはるかに上だ。


「カッコイイ!」


 リンはその雄姿ゆうし見惚みほれてしまっている。


「――竜の島最大の火山ガンデブリング。標高二万メートル以上、すそ野は直径百キロメートル以上広がっていると聞きます。知識としては知っておりましたが、あそこまでとは……」


 説明をしてくれるヘレナさん自身も驚いているみたい。


「標高二万メートルって、単位おかしいでしょ?」


 地球でもコッチの世界でも今までそんなレベルの地形見たこと無い。

 エベレストですら八千メートル級だぞ?


「うむ、そしてあの火口にドラゴンどもの神殿がある」


「そこに神器があるの?」


「そうだ。だが神器だけじゃなく竜王や古竜といった上級の竜もたくさんいるぞ」


「それを倒すのはわたしたちの役目ってことだね!」


 エシュリーの注意にリンは俄然がぜんやる気になった様だ。


「やっぱりわたしはお留守番なの?」


 アリスが不服そうにわたしに言ってきた。


「うーん、まともな人間が飛行船から出ちゃうと咆哮ほうこうの魔力一発でやられちゃうからねー……」


「そーよねー……仕方ない! ガンバってきてよ!」


「アリスの分もガンバってくるから!」


 わたしはそう返したけど、アリス的には役に立てないことが嫌なのだろう。

 こればっかりはしょうがない。

 アリスは人として十分に強いけど、今回の敵は竜の群れだ。人が生身で挑むモノでは無いだろう。


 そんなおしゃべりをしていたら艦内に、竜の島へ到着したとの放送が入る。

 それと共に戦闘開始のサイレンも鳴り響いた。


「よし! いっくよー!」


 リンが例のステッキを取り出す。


「へんしーん!」


 ステッキから無数のリボンが飛び出してリンを包み込む。

 光り輝く星々がその周りを巡り光でおおっていく。

 光が消えたとき、変身したリンが姿を現す。

 今までの衣装に比べ紫色寄りの配色になっており、デザインもフリル少な目の動きやすいものに変わっていた。

 頭の横にちょうした飾りが付いており、可愛らしくなっている。


「わぁ、かわいい!」


 アリス的にその衣装がストライクだったみたい。食い入るように見つめている。


「ありがとう! デザインを前よりも大人びたものにしたんだよ」


「大人びた?」


 確かにフリルは少な目だけど、魔法少女衣装的なのは変わらない。

 当然、大人っぽくは全然無いわけで……


「うん? モナカ的にはまだまだ?」


「えっ? あ、いやいや、いいんでないかな……」


 まあ服のセンスは人それぞれということで……


「そっか! よっし行くよー」


「うん!」


 わたしも新装備の妖精の衣を身にまとう。


「やつらに神の力というものを教えてやろうぞ!」


 エシュリーも連れラウンジから出る。

 そのまま飛行船のハッチから外へと飛び出した。




 竜の島からこちらに向かって飛んでくる無数の影が見て取れた。

 こちらの襲撃しゅうげきを感知して飛んで来たのであろう。

 何万というドラゴンの群れだ。


「早速来たね」


 キャロルさんに作ってもらったゴッドスレイヤーを抜いて戦闘に備える。


「モナカ、先行くね!」


「え?」


 リンが突然加速して前に出ていってしまう。

 今まで見たこと無いような高加速であっという間にその姿が小さな点になる程に遠ざかってしまった。


「リン速い!?」


 改良の成果なのだろうけど、あれが音速ってやつかな?


「あの速度はマネできぬが、【空間転移テレポート】で一気に行くぞ!」


 エシュリーが言って、すぐに詠唱えいしょうを始める。


「ちょっ! 待ってわたしも!」


 わたしとエシュリーの声が重なる。


「【空間転移テレポート】!」


 一気にリンとの距離を詰める。

 竜の群れとの距離も同時に縮まった。その姿の細部までよく見える距離だ。

 リンはその場に留まりステッキを一閃した。


「はじけろ!」


 瞬間、前方の空間がはじけ飛ぶ。

 広範囲に爆風が広がり、数十体の竜がそれに飲み込まれていく。


「リン、それが新しい力?」


「そうだよ。単体攻撃や散弾以外に大爆発を発生させられるようにしたんだ。威力も凄いよー、有翼人ルーファレティウスのレッドクイーンだってこれ一発で倒せるくらい!」


「それは凄い」


 爆煙が薄れていくと傷付いたドラゴンたちの姿があった。

 かなりの威力に見えたけど、それ一発で倒れる奴はいなかったようだ。


「あれでもまだ倒れないんだ……」


「ドラゴンの生命力は凄まじいのだ。神だって一撃じゃあまず倒せん。」


 エシュリーがそう注意し、そのまま呪文を放つ。


「【極大爆破アルティメット】!」


 さらなる大爆発がドラゴンの群れを包み込む。

 さすがに連続での大爆発はキツかったか、大半のドラゴンが落下していく。

 それでもまだまだ倒れない奴もいるけど――


「【極大爆破アルティメット】!」


 わたしも同じ呪文を叩きこむ。

 さすがに三連続は耐えきれないか、残りもみんな落ちていく。

 前方のドラゴンはこれでなんとか一掃いっそうできた。


「やった!」


 初戦の成果に満足したわたしの目の前に、突然巨体が姿を現す。


「モナカ!」


 リンの叫びが聞こえる。

 【空間転移テレポート】してきたであろうそのドラゴンには見覚えがあった。


「モナカさん、お手合わせ願いますよ」


「エニアス……」


 古竜エニアスが放つ炎がわたしを包み込む。

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