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第六十一話 テルトウェイトの成長

 あんまりにもあっけなさ過ぎて、実感がわかない。

 テルトが、やられちゃった?

 あの、いつも生意気な態度で、舐めプしまくりのテルトが。


「【雷の矢ライトニング】」


 考える間もなく、ラグナからの攻撃が来た。

 呆けていたので、防ぐ間もなくまともに受けてしまう。


「うーん、頑丈だよねー。これで死なないんだもん」


 実験でもしているかのような、ラグナのつぶやき。

 うあー、わたしどうしよう……


「お前たちも、一緒に攻撃して」


 ラグナの号令の元、一斉に詠唱を始める配下らしい天使四人。

 うーん、もう、テルトのことは後で考える! 今はこいつらの対処だ!


「【空間転移テレポート】!」


 地上に瞬間移動。

 建物の影のせいで、向こうからはすぐには、こちらを発見できないだろう。

 上を見ると、ラグナ達が狼狽ろうばいしているのが分かる。

 まだ、わたしの【飛翔フライト】の効果は残っていし、やるか!


「【雷の矢ライトニング】!」


 タイミングを見計らい、ラグナに一撃、撃ち込む。

 だが、直前で雷がかき消えてしまう。魔法障壁か!?


「見つけたー」


 【空間転移テレポート】してきたラグナが目の前に現れる。

 相手にせず、上空へと退避。


「また逃げるの?」


 ラグナと、配下の天使が追ってくる。

 散発的に飛んでくる魔力弾を、なんとか避けつつ、そのままバーゼルの艦隊の方へと一直線に飛んで行く。

 進行方向に、またもやラグナが【空間転移テレポート】してきた!


「【魔力球メイガスボム】」


「【魔力球メイガスボム】!」


 まったく同じ魔法をぶつけてやる!

 同威力の魔力弾がぶつかり、あたりが爆炎に包まれる。

 それに紛れ、移動を再開。


「ええい、逃がすかー! おまえたち、全員【炎の嵐ファイヤーストーム】を撃てー!」


 もうバーゼルの艦隊の先頭にまで来ているのに?

 味方を巻き込むの上等で、魔法を撃つ気か!?

 とっさに防御魔法を唱える。


「【魔法障壁マジックバリア】!」


「【炎の嵐ファイヤーストーム】!」


 【炎の嵐ファイヤーストーム】五連発が炸裂した!

 わたしは魔法障壁のおかげで無傷。

 バーゼルの戦闘機がいくつか巻き込まれていた。それらは墜落こそしていないが、表面が焼け焦げている。

 ラグナに軽口の一つでも叩いてやりたいが、向こうの詠唱速度に対抗するために、なるたけ口を開くのは控えたい。


「ちょこまかとウザったいわね! けど、これで終わりよ!」


 ラグナの声と同時、配下の連中が一斉に槍で突撃してきた。

 剣を抜き、それをなんとか受けてさばく。

 こいつら、動きが凄く早い。受けに集中しないと、四人はさばき切れないぞ。


「魔法障壁を物理結界に変えれば、槍の攻撃は対処できるわよね。ただし、その瞬間、【極大爆破アルティメット】ぶち込んであげるけど?」


 ええい、持久戦か!? しつこい、というか陰湿というか。

 うーん、プランはあるけど、このままでは身動き取れない。

 そう思った瞬間、聞き覚えのある声が辺りに響き渡った。


【雷の矢ライトニング】!」


 ラグナを一条の雷が襲う。

 だが、あっさりと霧散してしまう。


「どこから撃ってるか知らないけど、魔法障壁があるから効かないわよ!」


「なら、物理だ!」


 突然【空間転移テレポート】してきた人影――テルトが、光り輝く武器をラグナに振り下ろした。

 それも、槍で防がれてしまう。


「ええい、めんどくさい奴だな!」


「テルト!」


 思わず叫んでしまう。


「モナカ、来るの遅くなってゴメンね」


 笑みを浮かべつつ、新たに呪文を唱えだした。


「【雷の矢ライトニング】」


 四発同時に放たれた雷が、わたしの周りにいた天使たちを撃ち抜いた。

 ひるんだ隙に、包囲網を脱出する。


「テルト! えっと、無事だったねっというか、なんか、透けてない?」


 そう、テルトの姿が半透明なのだ。それに、ふわふわ漂っているような……


「わたしも、ダメかなーと思ったけど、あの攻撃がきっかけで、大人になれたんだよ!」


「大人? ああ、幽霊になるってやつ?」


「精神体だよ!」


 まあ、似たようなものだろう。


「死んで生まれ変わったということ?」


「そうとも言うかも?」


 仕草なんかは、前と変わりないんだけどなー。

 もう抱き付けないのか、残念。


「【魔法球メイガスボム】!」


 再開のあいさつの最中に、無粋にも割込みが入る。


「【魔法球メイガスボム】」


 テルトが素早く展開した魔法で、あっさりと撃墜。


「なんか、魔法の展開速度、早くなってない?」


「大人になって能力アップしたんだよ」


「そーなのか」


「そーなのだ」


 わたしたちの周りを、五人の天使たちが取り囲んだ。


「小娘まで戻ってきたのか。目障りな」


 ラグナの声が凄く低い。


「あのお姉さん、めっちゃ怖くなってるね」


「嫌な人だよねー。あ、テルト、プランがあるんだけど」


「なになに?」


 テルトに耳打ちする。


「何をゴチャゴチャと! 【炎の嵐ファイヤーストーム】!」


 ラグナの炎に包まれるが、二人とも魔法障壁を張っていて無傷である。


「じゃあ、行くよー! 【雷の矢ライトニング】!」


 ラグナの方へ雷を放つと同時に、フライト再開!


「待てー!」


 ラグナ、やっぱり追ってきた。

 五人の天使から散発的に魔法が飛んでくるが、それは無視。当たっても痛くないので。

 そうやってると、予想通り、目の前に五人同時に【空間転移テレポート】してきた!


「テルト!」


「あいよ! 【次元の扉ゲート】!」


 わたしたちと天使たちとの間に、次元の裂け目が出現する。

 それを抜けて、天使たちの後方へと抜け出る。


「じゃねー!」


 そのままさらに飛ぶ。


「キサマら!」


 ラグナ、超おこである。

 もうそろそろだ!


「テルト、最後!」


「おう!」


 一緒に同じ呪文を発動させる。


「【空間転移テレポート】!」


 ラグナたちの驚きの表情を見てから、その場から消えてやった。


 テルトと二人、イルミナルの近くまで戻って待機。

 バーゼルの宇宙戦艦のインパルス砲の発射を確認した。


「やったかな?」


「直撃みたいだね」


 ラグナたちを誘導して、インパルス砲の射線上に導いてやったのだ。

 さすがにあれではひとたまりも無いだろう。インパルス砲には、あらゆる障壁は通じないのだから。


「貴様らー!」


 【空間転移テレポート】で、突然ラグナが現れた!

 ローブはボロボロであちこちから血が流れている。まさに大破状態だ。

 そんな傷もお構いなしというように、テルトに槍を突き刺す!


 だが、テルトはまるで表情を変えない。


「モナカ、精神体になると、物理が通じなくなるんだよ」


 特に痛がりもせず、落ち着いた声だ。


「やっぱり? 幽霊だもんね」


「幽霊じゃあないって」


 テルトが手に生み出した剣で思いっきりどつかれて、ラグナは地上へと落ちていった。


「さて、こっちは片付いたね。そういえば、いろいろ聞きそびれたけど、その体って大丈夫なの?」


「うん? これ? まー大人になるのは早かったけど、特に異常は無いかな?」


 テルトはショックを受けてるわけでもなさそうだ。

 うーん、複雑な気持ち。


「うちの国では、精神体の人の方が多いから、特に何でもないよ」


 テルトがわたしを安心させるためか、優しく説明してくれた。

 体だけじゃなく、精神的にも成長しちゃったのかな? 娘の成長を見る親の気分である。娘いないけど。


「リンは大丈夫かな?」


「そうだ! リンは!?」


 リンが戦っている方を見る。


「ただいまー」


 目の前にいた。

 手には、気を失っているのか、力なく垂れている天使のフレイアを持っていた。


「勝ったんだね」


「大変だったよー。最初から全力で向かってくるの、初めてだったから、慌てちゃった」


「こっちもやっつけたよ」


「ご苦労さんって、テルトなにそれ?」


「これ? 戦いの中で成長したんだ」


 なんか、少年漫画の主人公みたいなこと言ってるけど、実際はさなぎから羽化したみたいなもんだろう。


「幻魔って、大人になると、こうなるみたいだよ」


 リンがテルトをまじまじと見ている。

 触ろうとしても、透けて触れられないことまで確認している。


「なんか、幽霊みたいだね」


「もー、リンまでそー言う!」


「あはははっ、やっぱり、リンもそう思うよねー」


「だよねー」


「精神体だって!」




 捕まえたフレイアさんは、リンの発明品とかの超強力なロープで縛って、アリスたちのところへ転がして置いた。

 アリスやエシュリーたちは問題無さそうである。

 近付く敵は、全部ニャンコが片付けてくれていたようだった。


「ニャンコ、お疲れ様」


「みなさんも、お疲れ様です。けど、まだ戦いは終わっていません。ご注意を」


「あっ! みんな、有翼人ルーファレティウスたちの軍艦を見て!」


 アリスに言われて見てみる。


「なにあれ!?」


 地上の無数のポイントから、大量の金属の粉が舞い上がっているのだ。

 それらが、軍艦に張り付いていっており、黄金色に輝く船体が、徐々に金属色に覆われていく。


「エシュリー、なにあれ?」


「わからん。共闘中なのに、いきなりバーゼルが湿原の国ディグレイス・メイルズまで攻撃し始めたのか?」


「何のために?」


「サッパリ」


 両手をあげて降参のジェスチャーをするエシュリー。

 バーゼルの行動が、まったく分からない。


「意味は分からないけどチャンスじゃない? 今のうちにバーゼルをやっつけちゃおうよ」


「リンの言うとおりね。分からなければやっつければいいのよ!」


「相変わらずの脳筋だな」


「脳筋とか言うなー!」


 エシュリーに軽ーく延髄蹴えんずいげりを食らわせておく。

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