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第十一話 新兵器 その二

 再びインパルス砲の砲身が輝きだす。

 それに向かって、足元の石をおもいっきり蹴り飛ばしてやった。発射前にぶっ壊してやる!

 しかし、副砲レーザーによって石は消し飛ばされてしまう。


「テルト! 隕石でも何でもぶつけてやって!」


「ほいさ!」


 呪文を唱え始めるテルトに対し、上空の一機が反応した。

 二門のレーザー砲がテルトに照準を合わせる。

 全力で走り、テルトを抱えてその場から走り去る。レーザーはなんとか避けられた。

 テルトは一連の動きの中でも、詠唱を止めなかった。


「【隕石召喚メテオストライク】!」


 巨大隕石が落下。

 インパルス砲台に直撃! だが煤けただけで目立ったキズ無し!?

 またもインパルス砲が放たれる!

 全力で避け、直撃をまぬがれた。

 わたしはそのままインパルス砲台に全力疾走! 副砲レーザーが二発放たれた! 一つは避け、もう一つは剣で切り裂くって、レーザーは切れないか!

 ちょっとカスったけど、服がちょっと裂けただけ。

 本体に到着! 前面の装甲に向かって剣を振り下ろす!


「せいやああっ!」


 一気に剣を振り下ろした。

 少しだけ切れたけど、なんだ? 泥の山を木の棒で叩いたみたいな、酷く鈍い手ごたえ。


「これ、なにで出来てるの!?」


 動きの止まったわたしに、飛行体がレーザーを撃ってきた!


「ちょっとくらったー!」


 鎧は無事だったけど、服だけ風穴がー。弁償しろー!


「【全回復フル・リカバリィ】!」


 ニャンコの魔法が飛んできて、ビシバシ受けてたダメージが全回復。


「ニャンコ、サンキュー!」


 飛行体からまたもレーザー! わたしはすぐに避ける。

 もう一機からもレーザーが、ニャンコたちの方に!? エシュリーに当たったー!


「エシュリー!」


「ええい、バーゼルどもうざいわー!」


 めっちゃ元気だった。

 固い! 固いぞエシュリー!

それを見てひらめいた。あー、もう、この手でいくか。


「ニャンコ!」


「はい!」


「エシュリー借りてくね」


「え?」


 返事を待たずにエシュリーを抱きかかえて、敵へと走る。


「おおおぉっ!? モナカ! わたしをどーする気だ!?」


 いやたぶん予想は付くかと思うけど……

 エシュリーを失ったニャンコは、その場でうつ伏せに寝転がってる。うん、たぶんそれなら当たりにくい。

 走って行くわたしに向かって、インパルス砲台の副砲及び飛行体たちのレーザー、合計六門から一斉に撃ちだされた。


「エシュリーガードー!」


 前方に掲げたエシュリーで全部受け止める。


「モナカ!? わたしは盾じゃあないぞ! いい子だから離せー!」


「エシュリーはいい子だから、素直に盾になってなさい」


「あんまりだー!」


 インパルス砲台に到達! 一気に駆け上がって頂上へ!

 副砲レーザーがこちらへと照準を向けてきた。


「ていっ!」


 エシュリーを副砲にぶん投げる。


「ぎゃあああっ!」


 エシュリーの悲鳴が聞こえるが、とりあえず無視!

 

 副砲の付け根(といってもつなぎ目が見当たらないけど)に、全体重をかけて剣先を打ち込む。

 やっぱり鈍い感触がするけど、力任せにずぶずぶとねじ込ませる。


「うにょらー!」


 両手で柄を握って、全力で引き裂く! 一門沈黙。

 同じ要領で、もう一門も破壊。

 やった! と思う間もなく、飛行体二機がこちらを向く。来るかと身構えた瞬間、両機が爆風で吹き飛ばされた。


「あれっ? テルトかな?」


 そういえばさっきから姿が見えない。


空間転移テレポートしてるのは見たよ」


 エシュリーが戻ってきて、わたしの背中に張り付いた。

 飛行体にはさらに二度三度と爆発が襲っている。


「幻魔って、彼らの信仰する神の力で、無限の魔力を手に入れているから、魔法の飛距離も効果範囲も無限に拡大できるんだよ。だから、めっちゃ離れた所から攻撃仕掛けてるんじゃない?」


 高火力の狙撃兵みたいなものか。

 何発目かの攻撃を受けた後、飛行体のうち一機が超高速で飛んでいった。


「テルトを探しに行ったのかな?」


 大丈夫だろうか?

 そう思った瞬間、足場が動き出した。


「わおっ!」


 思わず掴まる。

 インパルス砲台め、攻撃手段が無くなったから、ふるい落とそうとしてるのか?

 ロデオマシンの如く、揺れまくる足場に、なんとかバランスを取り、耐える。


「モ、モナカ……」


「な、なに? し、しゃべると……舌、噛む、よおおぉぉ……」


「お昼ご飯、吐きそう」


「わたしの背中で、吐くな!」


 わたしがインパルス砲台にべったり張り付いてるので、飛行体はこちらに攻撃出来ないまま、静止している。

 このまま膠着状態が続くと、わたしの背中が大惨事になるので、なんとかしないと。

 ニャンコの方も、放置しっぱなしだと心配になるし……


「あ、そうだ」


 ニャンコを見て、反撃手段を思いついた。

 ほとんど使ってないけど、一心に祈ってみる。謎の神様ナンバー〇〇一ゼロゼロワンに向かって。


「【神聖武器セイクリッドウェポン】!」


 光り輝く剣が、手の中に現れた。


「できた!」


 神の力で、代用の武器を生み出す神聖魔法である。

 普通の人が使ったら、自分の筋力に合った武器が出るだけで、強くも無い魔法であるが――


「お、思ってたより、でかい……」


 刀身だけで四メートルは超えそうな感じである。

 規格外の筋力持ちだとこうなるわけだ。


「ほいやあああっ!」


 そのバケモノを全力で叩きこむ!

 今度は、抜けたー! あのやたら手ごわい、泥みたいな装甲を抜けて、内部構造まで到達。

 外装を切り裂いて、露出した部分にさらに叩き込む!

 めった斬りにすると、インパルス砲の砲身の輝く球体がふいに消えた。

 配線が切断されたのかな? もうインパルス砲台は無視していいだろう。

 そっからジャンプして、待機していた飛行体へ飛び移る。

 そいつも暴れるが――


「おとなしくしろー!」


 光る巨大な刀身を、そいつにも打ち付ける。

 こいつも同じ装甲か!

 やっぱり硬めの泥装甲を、全力で打ちまくって、ひっぺがし、内部まで切り込む。


「えいっ! えいっ! しねえええ!」


 暴れなくなり、しばし停止。

 そのまま落下した。


「ぎゃああああっ!」


 わたしたちも一緒になって落下する。

 大地に強くぶち当たり、わたしの足に来る落下の衝撃。


「し、しびれたあああ」


 そして――


「も、だめ~げろろろろろろ……」


「ぎゃあああああっ! やめろおおおおお!」


 そんなやり取りとしている間に、遠くで黒煙が上がるのが見えた。

 テルトが残る一機をやったのかな?




「うわあぁぁ、気持ち悪かったよおおお」


「わははははっ! モナカ、きったなーい!」


 泣きながらニャンコに介抱されているエシュリーに、わたしを指さして全力で笑うテルト。

 なんというか、阿鼻叫喚である。


 あの後、インパルス砲だけが動けたようで、それだけ帰っていった。落下した飛行体は放置。あとでバーゼルの人たちが回収に来るだろう。

 ちょっと手こずったけど、敵をなんとか撃退出来たわけだ。一人一千万円の仕事をしたと思えば、楽なものであろう。

 しかし、本来ならば街に寄らずに、そのままカッコよく旅立つはずだったんだけど……


「とりあえず、お風呂入りたい。領主の屋敷に行こう……」


 別れのあいさつを済ませたばかりの相手の家に、お風呂を借りに行くのって、やっぱり気まずいよねぇ~。

一日、間が空いてしまいました。

今後は毎日投降を心がけますが、もし抜ける日がありましたら、お待ちいただければ幸いです。

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