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人間から種族:超美少女へ転生し勝ち組人生目指す  作者: 里芋御膳
第七章 幼女神さまの国と科学技術の国
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第百六話 五神の力

 神器と化したエシュリーをリア・ファイルに向ける。


「いよいよとうとう終わりの時よ!」


 わたしの口上が気に入らなかったか? 数条の光の帯がリア・ファイルより解き放たれてきた。

 見た目から、インパルス砲の光弾だと分かる。


「モナカ!」


 やや距離を置いた位置にいる、アリスの悲鳴。

 だがそれらがわたしに着弾する前に、


「ヤハルタ!」


 わたしに着弾し大音響を奏でる、圧縮されたプラズマ弾たち。

 だが、それらがわたしにダメージを与えることは無い!


「おお! カッコイイ!」


 爆炎の中から現れたわたしの姿を見てか、リンが感嘆の声を上げる。

 ヤハルタの力で生み出された、神の鎧。

 白銀の輝きと、所々に青のカラーリング。機械回路を思わせる輝きが随所にあり、ちょっとメカニカルな感じ。

 リア・ファイルの方に手をかざすと、全身からミサイルが飛び出す。いっけー!

 だが全弾着弾するも、やつの外装に損傷は見られない。


「やっぱ硬いねー」


「どんどんいくのだー!」


 わたしのため息に、エシュリーの声援が重なる。


「フリューネクス! ――って、うわあああああああっ!?」


 軍船の力を解放した瞬間、ジェットエンジンでも付いてるかのような急加速が発生し、リア・ファイルに突っ込んでいく形に!?


「ちょおおああっ!? ストップ! ストップううううううぅぅぅっ」


 かざした両手足から逆噴射が発生、今度は急ブレーキがかかってしまう。


「ぐげえ」


 ちょっと体の負担が大きいな。

 この力の操作には、なかなか慣れそうにないわ。


「モナカ! ミサイル!」


 エシュリーの心の声。

 目の前まで来たわたしに向かって、リア・ファイルが放ったらしいミサイルがいくつも飛んできている!


「フリューネクス、お願い!」


 前に北の国で見たときの様な光線が、全身から撃ち出されミサイルを追尾し、ことごとく撃ち落としていく。


「ついでに!」


 再度撃ち出し、今度はリア・ファイルへ!

 着弾! これはさすがに効いたのか、外装が吹き飛んだ!


「やった!」


 もう一度撃ち込んでやれ! 三度目の光撃発射!

 着弾し、再度各所で爆発が起きる。

 それを確認してから、いったん距離を置くため全力で飛ぶ。


「たぶんそろそろ……」


 離れる方向に飛びながら、後方を振り返る。

 やはりというか、リア・ファイルの必殺の主砲に光がともっていた。

 しかし、慌てず騒がず次の手を打つ。


「今度は――イルミナル!」


 わたしの周囲に四枚の盾が出現する。

 青い表面に光り輝く文字が浮かぶ、わたしの数倍の大きさは有ろうかというそれが、前方へと集まる。


「来た!」


 盾と盾との隙間から、着弾の強い光が漏れ、着弾したことが分かる。

 あの強烈なダメージの光球を、揺るがずに完全に受け切った。この盾強いな。


「イルミナル! そのエネルギーを吸収しちゃえ!」


 わたしの命令に答えるように、盾が輝きを強めていく。

 そして、リア・ファイルの光球が完全に消え去ってしまう。

 イルミナルの封印の力だ!


「えっと、あとはダグダの魔窯まがまの力だけど……」


 よもやこの場面で手から食べ物が出るだけとか無いよねえ。


「モナカよ、案ずるな」


 わたしの心の声が聞こえたのか、エシュリーが解説を始めてしまう。


「ダグダの力は無限に食べ物を生み出す力。食べ物は生き物のエネルギーの源……つまりは無限のエネルギーこそが真の力なのだ!」


「そーなのかー」


 いまいち実感がわかない。

 無限のエネルギーってどうなんだ?


「……無限、無限……うーん、……あっ!」


 ひらめくものがあった。

 試してやろう!

 呪文の詠唱を始める。


「そうそう、それだ!」


 呪文を聞いてわたしの意図をくんでくれたか、エシュリーが納得している気持ちが伝わってきた。

 リア・ファイルからは今もレーザーやら主砲やらが飛んできているが、全部イルミナルの盾が防いでしまう。

 向こうからしたらイラつくんだろうなあ……よし、もっとイラついてもらおう。


「【炎の嵐ファイヤーストーム】!」


 炎の嵐! だけど規模が違う!

 リア・ファイルを全部包み込む、直径一キロメートル越えの超巨大な炎だ!

 テルトがよくやっていた、超拡大魔法だ!


「さらに! 【雷の矢ライトニング】!」


 数百という雷の矢が生み出され、一斉にリア・ファイルへと突き刺さる!

 だが、着弾前に薄い輝きがリア・ファイルを包み込み、全ての矢がかき消されてしまう。


「【魔法障壁マジックバリア】か!」


 エシュリーの叫び声。

 ならば!


「【神聖武器セイクリッドウェポン】」


 久々に唱える、武器具現化の魔法だ。

 出現させたそれを両手で支えるが……やっぱ重いなこれ!


「モ、モナカ……えげつないな……」


「えげつない言うな! 向こうの手をそのまんま返すだけよ!」


 そう、リア・ファイルの主砲――魔道インパルス砲を生み出してやったのだ!


「ファイヤー!」


 問答無用でぶっ放す!

 超高速で飛んで行った巨大な光球がリア・ファイルの【魔法障壁マジックバリア】を簡単に突き抜け、本体へ――主砲へと着弾。

 世界全体が白に塗り替えられたかのように景色が明るく塗り替えられ、空間そのものが弾けているかのような大音響が、この閉じた無限世界にこだまする。

 主砲のエネルギー球体と反応したせいなのか、想像以上の大爆発に、撃った本人であるわたしが驚いてしまう。


「……なんか、申し訳なくなっちゃうような大爆発だったね……」


「自分で撃っておいて何を言う」


 エシュリーにあきれられてしまったわ。

 周囲の色が戻っていくにつれ、自分がやったのがどれ程の威力であったかが分かってくる。

 リア・ファイルは主砲が消えて無くなるのみならず、上部の前面部分が大きくえぐれている。さらに全身の外装の大半が剥がれ落ち、そこかしこが破壊され火花が散っていた。


「……あー、やっちゃったかなー?」


「まだだぞモナカ!」


 気を抜こうとしたわたしに、エシュリーがげきを飛ばしてくる。


「とどめの一撃だ!」


 エシュリーのイメージが流れ込んできた。


「え? これ?」


 そのイメージが何か理解し、それが使えるのかと問うてみる。


「うむ、わたしの信者であるモナカだからこそ使える力だ!」


 そうなのか……

 流れ込んできたイメージ通り出来るのかな?

 両手を前にかざす。

 リア・ファイルは満身創痍まんしんそういなためか、抵抗のそぶりを見せない。

 両手の平に力が集まっているのを感じる。


「いっくよー」


「うむ、いけ!」


「女神エシュリーよ! 我に力を!」


 女神エシュリーの破壊の能力。

 両手の平から炎に似たエネルギー塊が撃ち出され、リア・ファイルに着弾。

 半壊の空中要塞の全身が炎に包まれていく。

 炎に焼かれた端からボロボロと砕け落ちる。

 もはや力尽きたのか、その巨体が大地へと落ちていく。

 リア・ファイルと地が接したところより、大きな土煙が上がった。


「モナカ!」


「うわぁっ!」


 前振りも無くいきなり大声で背中から抱き付かれ、思わず心臓が飛び出しそうになる。


「び、びっくりした!」


「わ、ご、ごめん」


 抱き付いて来た本人――アリスは、イタズラしたのを叱られた子供みたいに首をすくませ、すまなさそうに謝って来た。


「う、うん……まあ、いいよ」


「そっかー! なら改めて! モナカー!」


「うぎゃああああ、背中で跳ねるなー!」


 まったく元気なお姫様である。


「勝ったねー」


 リンもわたしのそばまで寄って来た。

 アリスみたいに抱き付いてくるかと身構えたが、どうもそんなそぶりはない。ちょっと安心。


「うん、勝った勝った」


「それで気になったんだけど……」


 リンが少し言いよどむ。


「どしたの? ――ああ!」


 わたしは、手に持つエシュリーを宙に投げた。

 ポンッとか軽い音が聞こえそうなほどあっさりと、いつものロリっ子に変わる。


「投げるな!」


「いやいや、どんなアクション起こせばいいか分からなくて……」


 エシュリーに適当に謝って、リンに向きなおる。


「という訳で、ほら、エシュリーは無事だよ?」


「えーと……そういうことではなく……」


 違うのか? 何だろう?


「リン、早く言っちゃってよー、わたしも気になるよー」


 背中のお姫様も気になってしょうがないみたいだ。


「……えっとね……結局、リア・ファイルって……エシュリーとモナカ、どっちがとどめを刺したのかなって……」


「なんだそんなことか。あれはいわば二人の共同作業だ」


「エシュリー、その言い方はいろいろと問題があるって」


 いや確かファルプス・ゲイルだと同姓婚も合法なんだっけ? いやいや――

 しかし、リンは何やら納得いってない模様。


「どしたの? リン」


 リンが困ったように眉をひそめて、人差し指を立てた。

 立てた指をそのまま下に……リア・ファイルの死骸の方かな? そっちに向けてるのかな?


「ほら、とどめを刺したものに神の力が宿るっていうじゃん。リア・ファイルの力をどっちが受け継いだかなって」


「あっ……」


 わたしとエシュリー、二人は絶句した。

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