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人間から種族:超美少女へ転生し勝ち組人生目指す  作者: 里芋御膳
第七章 幼女神さまの国と科学技術の国
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第百一話 霧の戦艦

 全長五百メートルの金属の凶器。

 そこから無数に伸びている砲座より、実体弾やエネルギー弾がこちらへ向かって飛んでくる。


「このおおおぉぉぉぉっ!」


 リンが叫びスピーダーを操り、それらの弾丸を避けまくる。

 弾幕の密度が濃く、避け切れないものもあるが、神器による魔力壁は数発当たった程度では揺るがない。


「主砲装填! ファイヤー!」


 四問の砲座から撃ち出された、高圧縮の魔力弾が敵の巨大戦艦に向かう。

 弾幕を打ち消しながら突き進み、そのまま着弾。

 大爆発と共に、その甲板に巨大な穴が開く。


「あそこから中へ行くよー!」


「おー!」


 リンの声にみんなで答え、掛け声の勢いのまま、スピーダーが巨大戦艦に空いた穴へと向けて全速力!




 と、船の中に潜入したのが今さっき。

 今はスピーダーを降り、船内の探索を開始しようとしていたところ。


「なんか、静かだね」


「うーん、真っ暗だよねえ」


 アリスがキョロキョロ周りを見るのに合わせ、わたしも周囲の様子について疑問をこぼす。

 外はあんなに激しい攻撃があったのに、船の中は静まり返っており、人影どころか明かりすら付いていない。

 スピーダーで降り立ったこの場所は、かなり広い空間みたい。甲板の穴から床までは二十メートルくらいはあったか? 明かりが付いていないせいで部屋の端は見えないため、正確な広さは不明だが。


「ナノマシンの集合体だろうから、乗組員はおらんのだろう」


 エシュリーの言葉に、


「外側だけ凄くて、中はハリボテみたいなもん?」


「えー? それだと腕試し出来ないねー」


 わたしの言葉に、リンが酷く残念そうな言葉を返してきた。


「ちょっと待って……【敵意感知センスエネミー】」


 アリスが索敵をしてくれるのを待つ。


「……うーん、船自体が敵反応あるから……よく分かんない」


「もー船を端から破壊しちゃおう!」


「モナカ待て!」


 わたしが呪文を唱え始めたのを、エシュリーが制してきた。

 何を? とも思ったが、すぐに理解した。

 部屋を覆っていた闇に、一つ二つと光が差し込んできたのだ。さらに足裏に違和感。床が脈打っているみたい。


「これって?」


 アリスが不安そうにわたしの腕を掴む。


「たぶんこれって……」


 床からも明かりがいくつも漏れだす。

 ついに、足をついていた床が沈んで砕けた――


「みんなすぐに脱出!」


「え!? なにモナカ、きゃっ!」


 何か言おうとするアリス体を抱きしめ、そのまま【飛翔フライト】の術で飛ぶ。


「えっ! ちょっと待って! 『収容!』」


 リンのポーチにスピーダーが吸い込まれていく。あんなデカい物も収納できるんだ。

 さらに、ステッキを取り出し、魔法少女に変身し飛び立つ。


「わたしを置いていくなー!」


「エシュリーは大丈夫でしょう?」


「そーいう問題では無いわー!」


 何が不満か、怒り出す女神様。


「エシュリーは、わたしにやきもち焼いちゃってるのよ」


 わたしにぎゅっと抱き付いたアリスがそんなことを耳打ちしてくる。

 うーむ、甘えんぼさんの女神様だな。


「もー、次からはエシュリーの手も握って飛んであげるから」


「絶対だからな!」


 口調は怒っているが、納得してくれたみたい。

 思い出したかのようにツンデレになるのは何とかしてもらいたいものだ。


 みんなで穴から飛び立つ。

 振り向くと、先ほどいた空間が完全に砕け散り霧のようになっているのが見えた。

 それが収束――元の船体へと戻っていった。当然穴も消えている。


「【魔力障壁マジックバリア】!」


 エシュリーがわたしたちと戦艦の間に魔法の壁を展開する。

 程なく、無数の弾丸がこちらに向かって降り注いだ。


「ダメージを受けても再生しちゃうのね。空中戦艦と同じようなものか」


「まー同じバーゼルの兵器だし、当然と言えば当然の機能だよね」


 リンが何やら満足気に頷いている。

 魔道技師アーティファクターとして思うところがあるのかな?

 それはさておき……


「どーやろうか?」


「作戦とか、この面子では必要ないんじゃない?」


「うむ、全力放火で一気にたたみかけるまでだ!」


「モナカ、それでいい?」


 うーむ、頭使うまでも無いということか……


「えーい! みんなの意見採用! これより、敵戦艦に正面から突撃します!」


「おーっ!」


 わたしの宣言にみなから拍手が送られてくる。

 何の拍手だそれ。


「準備はいい?」


「待って!」


 アリスが神剣を引き抜く。

 途端、アリスから大きなプレッシャーがうまれる。神剣の力を解放したか。


「オーケー! 行きましょう!」


「三数えたら、魔力障壁を解くぞ!」


「さん!」


 わたしも剣を抜き、意識を集中させる。

 敵のせん滅もそうだが、みなのサポートも忘れないように。


「に!」


 アリスはちょっと不安げ、リンはやる気満々で目が輝いていたりする。


「いち!」


 魔力障壁が消える!


「ゴー!」


 わたしの号令と共に、みなで船へと突っ込む!

 敵の攻撃は避け、あるいは武器で受け近付く。


「【極大爆破アルティメット】!」


 偶然にもわたしとエシュリー、アリスの声がハモる。

 船体の一部が吹き飛ぶ!


「戦闘機が来るよー!」


 リンの警告の声。

 こちらに向かって無数のレーザーが飛んできた!


「そいえば、これ空母でもあるんだっけ!?」


 わたしたちを襲う戦闘機の一つを剣で切り裂く。


「とどめ!」


 まだ健在だったその機体に、アリスの神剣が突き刺さり火を噴き落ちていく。


「【極大爆破アルティメット】!」


 エシュリーが効果範囲を拡大し撃ち放った極大爆破で、空一面が光り輝く。光が消えた先には戦闘機は一機も残っていなかった。


「てーい!」


 背後からリンの声。そして無数の爆発音。

 戦艦からの攻撃を撃墜して防いでくれたらしい。


「ありがとー!」


 リンに声をかけつつ、わたしも呪文を解き放つ。


「【雷竜エレクラゴン】!」


 生み出した雷の竜を操り、レーザーやミサイルを飲み込ませる。

 その竜が突然吹き飛ぶ。


「モナカ! インパルス砲が来るよ!」


 アリスの警告の声。


「【魔力障壁マジックバリア】!」


 飛んで来た数発のインパルス砲の砲弾をなんとか防ぐ。


「【極大爆破アルティメット】!」


 アリスの放った魔法が、インパルス砲の砲座と思しき輝く球体たちをほふる。


「吹き飛べ!」


 リンの杖から飛び出した巨大な魔力弾が船体の一部ごと残りの砲座を薙ぐ。


「えーい! 超拡大! 【極大爆破アルティメット】!」


 エシュリーが放った超広範囲の爆発が、船体の真ん中を吹き飛ばした!

 それで沈んでいくかと思いきや、砕け散り霧へと変わる。


「また再生する気!?」


「させない! 【収束アキュムル】!」


 有翼人ルーファレティウスたちが使っていた呪文だ。

 中空に生まれた魔力球に、霧が収束していく。


「おお、モナカ。考えたな!」


「再生されてばっかだと、時間かかってしょうがないからね」


 見る間にナノマシン群が集まっていき、ちょっとした山の様な塊となる。


「【極大爆破アルティメット】!」


 わたしとエシュリー、アリス三人の呪文と、


「ファイヤー!」


 リンの巨大な魔力弾。

 それらが一気にナノマシン群を襲い大爆発。

 視界が真っ白い光に覆われて、一瞬周囲の様子が見えなくなる。

 その光が消えた場所には、チリひとつ残らず、敵戦艦だったものは消えて無くなっていた。


「勝ったーっ!」


 みなで手を振り上げ、勝利の雄たけびを上げる。

 霧の怪物を倒した後の海は青くキレイで、恐ろしく穏やかであった。

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