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人間から種族:超美少女へ転生し勝ち組人生目指す  作者: 里芋御膳
第七章 幼女神さまの国と科学技術の国
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第百話 海戦の始まり

 この世界に来てから北西南の海は見て来たが、東側の海というのは初めて見る。

 北の氷河が浮かんでる海や、南の火山島付近の暖かい海、西の妖精の世界の甘い匂いの海、それらと比べるとなんとも普通の海であった。

 静かにゆったりと打ち寄せる海水を手ですくい、一口飲んでみる。


「うへえ、塩辛いー」


「当たり前では無いか。海水なんだから」


 口に含んだものを吐き出すわたしを、半眼で見つめるのは幼女神様ことエシュリー。

 飲むまではいかないまでも、さっきまで海水を楽しそうにペチペチ平手打ちしていたお子様に注意されるのは心外だ。


「ファルプス・ゲイルの海とあんま変わんないね」


 リンも海水に触れながら、そんな感想をこぼす。

 アリスも海に手を突っ込んでいたりするし、他国の海を見たら触れたくなるのは人間のさがなんだなと思ってみたり。


「この向こうに軍事国家があるんだねー」


 リンがそう言って遥かかなたに視線を向ける。

 ここは大陸の最東点。

 この海を隔てた先に、五柱の神の力を持ったリア・ファイルの治める国があるのだ。


「エシュリーって、リア・ファイルとかいう神様に勝てるの?」


 傍にいるエシュリーに疑問を投げかける。

 エシュリーは現在、四柱の神々の力を持っている。リア・ファイルとは一つ差があるのだ。

 エシュリーは腕を組み、口を真横に引き延ばす。眉間にしわらしきものが見えるので、難しい顔をしようとしているのだなと気付く。


「うーむ……わたし一人じゃあ無理だろうな」


「一人ではってことは、みんなでやればいけるの?」


「うん。モナカとリン、アリスも協力してくれれば、なんとか行けるんじゃないかなーーと思ってみたり」


「微妙な答えだねー」


 結局いけるのかいけないのかどっちなんだろう?


「そもそも神の力を二つ以上持った奴は、わたしとヤツ以外に今までいなかったんだ。具体的な答えは出せん」


「そっかー」


「モナカには期待してるぞ。今なら神々に匹敵する力を持ってるからな」


「そーなの?」


 エシュリーが強くなるたび連動してわたしも強くなる仕様みたいなんだけど……正直、実感がわかない。


「バーゼルの空中戦艦とか強いし、アーリアさんとの戦いもちょっと苦戦したし……」


「モナカが弱いんじゃあ無くて、向こうが強過ぎるんだ。アーリアの機械兵だって、竜王だって勝てないし神器持ちでも苦戦する」


「そーなのかー? 絵面が地味で実感わかなかった」


「絵面とか言うな」


「わたしだって十分強いぞ」


 リンが強さ談義になんか参戦してきた。


「うん、リンちゃんも強いよねー」


 リンちゃん自身も強くなってるし、例のステッキも改造しまくってるし。

 最初会ったときは力は拮抗きっこうしてたけど、わたしが強くなった今でも拮抗きっこうしてるんじゃなかろうか?


「うん! この戦いが終ったら腕試しをしようじゃあないか!」


「それはそこはかとなく死亡フラグって感じじゃない?」


「死亡フラグって?」


「……いや何でもない、忘れて」


 最近はまるで違和感無くなってたとはいえ、意思の疎通に齟齬そごがあるときがゼロではないんだな。向こうとコッチの世界の差を何か月かぶりに感じられたなー。


「わたしもがんばるね」


 さっきまで海水遊びをしていたアリスもこっちに来て会話に加わる。


「アリス大丈夫? まだ実戦で剣を使えてないでしょ?」


「ぜーんぶ、リンのスピーダーが片付けちゃうからねー」


「ふむ、連携の練習も兼ねて、今度の海戦はみなで戦ってみるか?」


「おお! それもいいねえ!」


 エシュリーの提案に、リンが笑顔で応じた。


「海戦で? 大地があるとこの方がいいんじゃない?」


 空を飛びながら戦えばいいんだろうけど、地面が無いのはいろいろと不安要素だ。


「けど、この機会を逃したら次はバーゼル本土だぞ? もっと練習に不向きになる」


「うーん、そっかー……」


 エシュリーの言うことももっともなのかな?

 まあ、そもそも最初の戦いで練習してればよかったという話しだろうけど――いろいろと、行き当たりばったりだなーわたしら。


「アリスは空中戦いける?」


 リンが心配というより確認するように、アリスの顔を覗き込んでいる。


「うーん、大丈夫だと思う。あの剣と、リンからもらった装備があればいけるんじゃあない?」


 こうして、海での歩兵戦が決まった。




 永遠と続く海の上をスピーダーで飛んで行く。

 今回もわたしたちが先行して飛んでいるのだ。


「うん、敵と遭遇した時どうするか、今のうちに再確認するね」


 人差し指を立てつつ、みなの顔を順番に見る。


「まずは面倒な雑魚をスピーダーで一掃しちゃう」


 リンの方を見る。操縦のため前を向いたままだが、右手の親指を立ててOKのサインを送ってくれた。


「数隻残った空中戦艦か海上戦艦だかを、スピーダーを出てみんなで叩きに行く」


「うむ」


「わかったわ」


 エシュリーはいつも通り神の衣を着ただけの簡単装備。

 アリスはリンがクイーンアーマーと呼んでいる鎧に身を包んで、神剣リーシェインを大事そうに抱えている。

 わたしもゴッドスレイヤーのつかに手をかけておく。


「あと、百キロメートルでバーゼル本島に着いちゃうけど――」


 リンが自信無さそうに声をかけてくる。


「どうしたの?」


「敵影が全然レーダーに掛からないんだ」


「えー」


 普通なら敵がいないのはいいことだが、これでは練習にならない。


「うーん、無警戒過ぎるなー。バーゼルなら一個艦隊くらい置いてるはずなんだけど……」


 エシュリーは困惑の表情を浮かべている。


「わたしたちの練習戦は本島に着いてからかな?」


 アリスがわたしに聞いてくる。


「うーん、敵がいないならそうなるけど……」


「リンよ、レーダーに何も映らないのか?」


「うん、なーんにも――」


 リンが返答した瞬間、スピーダーに軽い揺れが生じた。


「ちょっ!? 攻撃を受けた!」


 リンが驚きの声を張り上げる。


「どこから!?」


「レーダーにはまったく映ってない!」


 またも揺れを感じる。

 慌てて窓から外を見回してみるが、視認も出来ない。


「わたしが【敵感知センスエネミー】で確認してみる!」


 アリスが叫び、すぐに目を閉じ意識を集中させる動作を始めた。

 確か、敵意を持つ存在を感知する超能力だったかな?

 すぐにアリスが目を開く。驚きの表情のまま、口を開いた。


「敵はこのスピーダー全体を覆ている!」


「そうか! ナノマシン群だ!」


「えーと、北国シャルハルバナルの港とかで見た様な、砂粒の塊みたいなの?」


「それが覆っているから目で見えないのね」


「レーダーもあんな小さい熱源は感知できないしね!」


 さて、どうするか……


「リン! スピーダーを高速で上空へ飛ばして!」


「はいよ!」


 スピーダーが真上を向き、そのまま高速で飛んで行く!

 さすがにこの動きでは座席の方にも影響があり、後ろへと強く引っ張られる感覚が感じられた。


「攻撃は!?」


「依然続いている!」


 ちゃんと付いてきてるんだな。


「回頭して真下に向かって主砲ぶっ放して!」


「オーケー!」


 座席にベルトが無いもんだから、急激な回転を耐えるため、わたしたちは座席にしがみつく。


「ファイヤー!」


 リンの叫びと共に、巨大な四つの光球が海へと高速で飛んで行く。

 海面へと到達し、大爆発により視界が光で覆われていった。


「リン! 攻撃は!?」


 今ので向かってきたやつらを一掃できたか確認。


「攻撃は止んだよ。全滅させたかな?」


 見た目では分からないから、なんとも分かんないな。


「周囲にはいなくなったみたい」


 アリスがまた【敵感知センスエネミー】を使ってくれたか、状況を教えてくれる。


「良かったー」


「けど、海面に敵意が集中している……」


「え?」


 アリスの指摘に、海面を見てみると、なにやら黒いモヤモヤが現れていた。


「なんか、霧みたいだね」


 リンがそうこぼすが、あれはたぶん……


「やつらめ、変なものを作り上げたな」


 エシュリーが不敵な表情を浮かべる。

 見ている間に、黒い霧が濃くなっていく。周囲に散らばったナノマシンが集まてきているのだろう。

 それは段々と巨大になり、それが姿を現す。


「船?」


 アリスが、それをそう表現した。

 船で間違いないだろうけどそれは――


「アリスよ、あれは戦艦空母という名前の船だ」


 戦艦で空母なのか?

 青と白のカラーリングは汚れも無くすごくキレイ。縦長で流線型の船体に、無数のレーザーとインパルス砲台。後部は巨大な飛行甲板のようだ。全長は五百メートルくらいあるんじゃなかろうか?

 艦首? はなんかUFOみたいな見た目であり、ゆっくりと回転している。

 正直、今までの人生でSF映画でも見たこと無いような不思議な形状だ。


「丁度いい練習相手だね!」


 リンはちょっと楽しそう。

 そうだ、練習戦をするんだ。


「アリス、リン、エシュリー、準備はいい?」


 みなに聞くと、オーケーの返事が返ってきた。

 あの巨大な船を全力で沈める!

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