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プロローグ

初めての作品な上にプロローグなのでとても短いですが、ぼちぼち書いていきたいと思います。

 隙間なく敷き詰めて積み上げた石材の何処から入ってくるのか、風のすすり泣きが響く。決して陽が射すことのない石廊は黴臭く、濃厚な死の気配が漂う。その先では、今か今かと怪物の口が顎を開いて待つ。闇を孕むその口は、揺らめく瞳を伴う故に完全な闇へと成りきれずにいる。ゆらりゆらりと瞳が瞬いて誘う。啜り泣きが旋律へと変わり、衣擦れと靴音が伴奏を刻む。刹那的且つ即興の二重奏。

 異国語の旋律が大きくなるごとに怪物の口が広がり、待ちかねたようにその身を吞み込んだ。

 

 怪物の胃袋のように広がる部屋の中には、数多の背の高い棚。大小様々な髑髏が、最早何も見つめることのできない眼窩を恨めし気に宙に向けて所狭しと並ぶ。

 奥の棚から、旋律が一歩一歩獲物に忍び寄る。空虚な視線に縛り付けられて動くことのできない身の前に、覆い被さるように黒い影が姿を現した。影の腕の中では、白く小さな髑髏がカタカタと嘲笑する。緩慢に影を仰げば、歌うのをやめた口がゆっくりと吊り上がって開く。風の如く掠れた声が耳元で囁いた。


「ようこそ地獄の入口へ——お嬢さん。」


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