レベル4
帰り道、俺は電車に揺られていた。
結局塾には行かなかった。
先生に腹痛で行けない、と言っておいたので、親に連絡はいかないハズだ。
「……ン」
気づいたら眠っていた。
「……やっべ!」
飛び起きて電車から降りると、丁度自分の家の最寄りだった。
「ひゅ~、あぶねーあぶねー」
が、すぐに気づいた。
剣を電車に置きっぱなしだ。
まあいいか、と俺は家に帰った。
あれから数日が経過した。
はっきり言って、あのじいさんにかまけてる暇なんてなかった。
期末試験まで1週間を切ったからだ。
俺は3年のため、この期末は絶対に手を抜けない。
なぜなら、期末は直接成績に響き、その成績を見て、推薦で入れる学校が決まってしまうからだ。
休み中にノートをまとめておけば、家で面倒な手間が無くなる。
俺はノートを取り出すべくカバンに手を突っ込んだ。
しかし……
「あれっ、ねぇっ」
「どしたどした~?」
前の席の天草が声をかけてきた。
「いや、ノートがねぇんだよ」
「あんな呪文みたいな字のノート誰もとらねーよ」
っのやろ、字はコンプレックスなんだよ!
だが、いくら探しても見つからない。
家に帰ってもう一度探すしか……
そこで俺は、まさかあのじじいが転移魔法を使ったんじゃ、と疑った。
「絶対異世界なんて行かないぞっ!」
俺は放課後、病院へと向かった。
俺が病室に入ると、じじいはコンビニのおにぎりを食べていた。
「おっ、順調か?」
「っざけんな! お前、ノート異世界に飛ばしただろっ」
「そんなのワシは知らん」
しらばっくれやがって……
俺がじじいの胸ぐらを掴もうと思った時、スマホの着信が鳴った。
病室で出るのはマズいと思い、一旦外に出てかけ直した。
着信は母親からだった。
「何?」
「あんたノート忘れてかなかった? 机に置きっぱなしだったけど」
……!
そうだ、昨日机でノート読んでたらそのまま寝てたのか。
「机の上かよ、もう少し早く言ってくれって」
スマホを切ってホッとする。
あれがないと教科書で勉強しなきゃならなくなる。
早く帰ろ、と踵を返すと、じじいがいた。
「ワシを疑ったな?」
「……悪かったよ」
「ノートなんかより、剣の稽古はどうなってる?」
やってるやってる、と適当にあしらってじじいをかわそうとした時だった。
じじいがいきなり剣を取り出し、俺の方に投げた。
咄嗟につかみ取ると、じじいが杖を振り上げ、襲いかかってきた。