もうこいつが主役で良いぬめ設定
・メヌールはガルド領に住む騎士爵の五男であった。王家に爵位を貰う中央騎士と違い、ガルド領主が部下に持っている爵位を貸す形をとっている爵位なので権限も収入も天地の差。警察と自衛隊は違うけど公務員という括りでは一緒だよね的な暴論でアデン国の貴族システム上ぎりぎり貴族な家柄である。
・メヌールの兄弟は彼からみて十五年上の長男(レイナードのひい祖父さん、故人)、八つ上の次男(ガルド領軍へ文官就職、故人)、五つ上の三男(年上の騎士家未亡人の愛人兼御子息の側仕え、健在)、一つ上の四男(代筆屋、健在)の兄四人と、十二才上の長女(家格同等へ嫁入り、故人)、九才上の次女(ガルドの男爵三番目の後妻、故人)の姉二人がいて実のところ末っ子である。年が近い四男とセットで母の姪にあたる従姉妹とお纏め家庭教師教育を受けたので末子の割りに兄気質もある。年が離れた兄たちより四男と従姉妹に家族的な親愛が強かった。
・アデン国貴族は成人である十五で正教会の洗礼を受け大人の権利を得る。爵位の継承権の放棄と子世代から一般市民へ降格の誓いを書かされるのだが、当主が死んだら金を使って教会から証書が消えたりすることもしばしば。そんなものだから成人の洗礼を受けるか否かは御家騒動と紙一重。五男であるメヌールは長男の孫が年上であったのもあって各種放棄や誓いを書かされるが洗礼を受けさせてもらえない立場。しかし向上心が高かったメヌールは婿入りや軍人の出世を狙い、長男と交渉して貴族子弟としての洗礼成人ができた。長男に感謝して父の死後から実家に送金したらいらんいらんと突っぱねられたりと、大人になってからの方が実家や年上血縁者と仲が良くなる。
・成人洗礼でメヌールの魔法使いの才能が露見した。ヒューマン魔法使いとしては滅茶苦茶遅い発覚である。実家が金惜しさに隠していたのではと疑惑を向けられたのもあったり、向上心と長男への感謝もあったりで物凄くやる気ある優秀な奴として教会入りをする。出る杭は打たれる貴族社会の悪いところ凝縮版が教会世界と察知して中堅司祭に弟子入りして教会政治から距離をとった。
・教会社会は貴族社会の縮図。貧乏末端貴族の末っ子で貴族感覚が薄いメヌールは貴族じゃなくなったはずなのに教会入りしてからの方が貴族らしい生活を強要された。貴族っぽい家具やら貴族っぽい服装。礼儀なんかは要領よくこなせる成人だったが金のかかる話が一番メヌールを苦しめる。庶民出身や貧乏貴族からの神官たちがアルバイトや内職をしていたので金のためにちまちまやり魔道具が専門になる。
・親から引き離されて教育を受ける神官たちと違う子供時代をもつメヌール。嫌々ではなく四男と美麗さを競った文字で聖典写本の受けがかなり良かった。大教会のどろどろ社会から抜け出して地方教会に転属しようと資金集め日課が写本内職になる。金持ち貴族や神官に「大層美しく熱心に祷りを込めた写本」「敬虔な正教会神官」と評価されてジェットストリーム出世を果たす。中堅司祭の派閥に入ったのにテラ目立つ。しっかりものな割りにやらかしちゃう所はハラーコより年季が入っていた。
・メヌールの写本販売ルートである中堅司祭派閥。不相応に資金ができた。時期は大司教の後継決めである。欲をかいた中堅司祭は大司教の条件である魔獣の宝玉の存在を知った。ガルド大教会波乱の幕開けになる。メヌールは司祭への昇格内定が決まっていたので現大司教に恩と情報を売って再北村へと旅立った。
・大司教に情報を売っていたので、中堅司祭についていたが養子で次々期後継に相応しいアランにはメヌールのやり口は筒抜けだった。メヌールはこりゃアランに恨まれるなと思っていたが、逃げ出したので確認せず。実際アランが何を思ったのかはわからないがこの騒動で魔獣の宝玉が紛失したり、隠し倉庫の存在が更に隠されたりと恨まれそうな要因には物覚えありすぎる。そんなあれこれがあったのでメヌールは大司教の継承についてや大教会の秘密や仕事にやたら詳しいのに話したがらない。若気のいたり過ぎる痛みが走るらしい。
・大教会から逃げ出したメヌールは三十路で最北村の教会司祭になった。当時の最北村は特区になる前のマフュブの衛星村から分裂本村化して十年そこいら。メヌールより若い歴史しかないが教会司祭は六代目という左遷用としか思えない村だった。二つの衛星村をつけた最北村は司祭を貴族扱いするので仕事も金も入らないし出ていかない。大教会で貧乏暇なしをパッシブ発動していたメヌールには耐えがたい暇さであった。
・何かあったとき用に貯金しないと、長男に恩返しをしないと。ワーキングホリックのメヌールは仕事を作って金を産み出す都会からきた変人であった。お陰様で最北にある辺境村なのに死亡率が下がったり、写本買い取りの商人が呼んでもないのに巡回したりと謎の発展要素を産み出した。メヌール本人は知らないが転生チート主人公のNAISEIみたいに周りからの評価が高い。ベッチーノが裁定で公平を考えたり教会の秘匿情報があるのか疑ったのはメヌールの優秀さの裏返しであった。
・レイナード養子騒動では最北村本村は衝撃を受けていた。黒い話のせいではなくメヌールに息子ができることについてである。村を発展させる何でもできる司祭は、婚姻はしないが村では一番人気のいい男(中年)だったのだ。村人にとって幾ら貧乏底辺貴族出身だといっても都会からきた高貴な血を引く優秀な王子様(中年)が子育てすると脳内変換される。妻は無理でもメヌールの息子の母ポジションをと、既婚未婚問わず愛人希望者が事務職へ就職希望に殺到した。レイナードが教会事務員をメヌールの愛人かと疑ったのはこんな事情と勝者の気合いのせいである。そして鈍感ではなく水面下であったのでメヌールは関知せず。
・レジーナが最北村へきた時も本村は揉めた。美中年(村人目線では)は、年上の女性司祭と禁断の愛を育み都落ちしたのではと噂される。後の手紙やらでレイナードの安否情報などが村に入ってきているのでレイナードはレジーナとメヌールの実子ではなんて噂まであった。
・メヌールは実際に恋愛をしたことがない。年上の兄弟がいつまでも結婚や出世をしない状況を目の当たりにしてガリ勉の少年時代を送り、大教会で必死に逃亡の足場がために勤しみ、田舎村で金を産み出すことに明け暮れていたのだ。余裕ができた時には婚姻ができない神職で、分別つく年齢で、養子もくる。司祭なだけあってアラムウェリオ神がそう作ったのだろうと悟りの境地になったのだ。周囲もそんなメヌールに粉をかけても暖簾に腕押しなので噂はわいても恋愛を意識する対象ができなかった。おかしなことにハラーコの妖精的伴侶になって、神職もなくして養子も手を離れていることに気付きちょっとドキッとした。でもじじいなのですぐ冷静になって言語の違いだなとときめきは忘却している。
・ゾンビ事件が発生したときメヌールは自分を責めながら大多数のベターエンディングを目指そうとすぐに覚悟を決めた。本編登場のキャラのぶれぶれ感は自分が悪役になって誤魔化したり、大計画をするために信用を得ようとしたりと新情報がわくたびに方向を変え続けた悪戦苦闘の結果である。
・ハラーコのおかげで吟遊詩人編からメヌールの人生は新しくなった。重責や立場から解放されて気儘な生活に心が踊っている。口ではハラーコのために同行すると言っているが、この時点では何の疑念もない友人的な感覚がありツンデレに進化していた。ハラーコ目線だと回りくどいしゃべり方をする偏屈爺のままだが、メヌール目線だと第三の人生出発でリフレッシュしている。
・メヌールからみてハイラルはレイナードと被りまくりの子どもだった。エルフ編に入っても本当は心配している。でもハラーコとうまくいく未来が見えないので結局ハラーコをとった。今更また子育てはできないだろうと爺自覚をしている。