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モフトンとモフ馬

・モフ馬を作った話

 魔獣は魔力を肉体に巡らしているのでその素材は付与魔法の親和性が高い。高級品である。というわけでアデン国では嗜好品である魔獣及び魔獣製品に贅沢税がついた。

 それに困ったのはガルド領主である。おとなしく人になつく魔獣モフトンをガルド領北部では家畜化してあちこち飼育していたのだ。

 毛をとって良し、荷を牽かせて良し、何より人を群れの仲間と認識して喜ばせようと従順。北の農村ではパートナーと言える生き物だった。

 魔獣税が発令されて、農村からモフトンが消える。農村各戸で払い続けるのは不可能だからだ。そして出てきたモフ毛不足に労働力不足。家畜化されたモフトンは野生で生きていくこともできないため絶滅危惧種に。

 領主はモフトンと馬を掛け合わせたモフ馬を作る。モフ馬は魔獣の条件である魔法も使えないし魔石もできない。脱税生物として農村に広げた。

 モフ馬の生産とモフトンの保護のためにできたのが畜産特区である。



・モフトン

 モフトンは群れで生きる草食魔獣である。

 肉食動物が何より怖い。危なくなったら魔法を使い時速80キロで逃げる。群れの危機ならその速度を使い相討ちアタックをかます。

 滅多に魔法を使わず普段はとろとろ歩いているので、その反動は大きい。かなり寿命が短くなるのだ。

 短い命を頑張って次代に託す生き方をしている。

 人が家畜として飼わなければ既に絶滅していたかもしれない。



・モフ馬

暖かくなると人に毛を刈り込んで貰い軽くてご機嫌になる。

機嫌良く手伝いをして褒められる。またご機嫌が続く。

畑でとれた夏野菜をわけてもらえる。

暑くないかと水浴びをしにピクニックに連れていってもらえる。

ご機嫌な毎日である。

収穫の荷運びをする度に褒められる。

美味しいおやつが増える。

一緒の時間が長いのは幸せだとご機嫌である。

寂しい季節である。お仕事も遠足もなくなる。

いっぱい会いたい。

モフ馬は春を待つ。



・配合率

 モフ馬はモフトンから魔獣特性を抜くために馬を掛け合わせている。故にどちらの特徴も受け継いでいる。

 モフトンの毛は北の大地では必須であるが交配の塩梅でモフトンに近い毛の量だと魔性が強くなる。故に安定する首から上が馬のモフ馬が農村に販売された。

 モフトンの愛らしいもふもふ顔はなくなり馬の顔と首をもつ。

 きっと主人公がモフトンをみたら「どうしてこうなった???」ってなる。



・モフ毛

 モフトンは基本白い毛をもつ。魔獣の不思議で、家畜化して決まった餌を与えると別の色になる。クローバーばかり食べるとピンクになるとか。

 モフ馬は変化はないが産まれて来るときに茶色や灰色、白に黒と馬の毛の色を持っている。顔と同じ色なので産まれて直ぐに色で値段を決める。

 魔力との親和性も色も値段も違うのに昔からの感覚のせいかみんなまとめてモフ毛と呼ぶ。



・リーダー

 モフトンもモフ馬も飼い主一家を群れの仲間と認識している。

 餌やおやつをくれる人をリーダーと決めるので餌やりや放牧は家長の仕事だ。

 野生であっても強いものがリーダーではなく、群れの仲間を一番大事にできる個体がオスメス関わらずリーダーになる。

 家長が浮気なんかをすると空気を読んで餌を拒否してすぐにバレる……何て都市伝説がある。


・モフ馬と馬車

 モフ馬の引く馬車が牽ける重量は、空荷の馬車本体と春は三人の重さで、冬は二人の重さである。人間一人分の毛がはえるということだ。

 飼い主の外出の度にモフ馬も同行したがる。飼い主も悪さをするわけでもなく畑の側で寝てるだけであるからたまに連れていく。

 そしてモフ馬は馬車を引いてピクニックに行くんだと馬車が楽しいものだと覚える。

 馬車をまるで玩具のように覚えたモフ馬はガタガタごろごろと難易度が上がるのを面白がる。出来れば半壊状態の馬車で遊んでみたいなんて思っている。



・創造主とモフトン

 メジャー魔獣ばかりじゃなく現地固有種が欲しいなと考えた。作るならふわふわ可愛いのが良い、北の田舎で可愛がられる奴。こうしてモフトンは特に細かい外見が未定のまま設定だけができあがる。

 姿かたちがないのに可愛い。

 設定が滑るようにできた後は可愛いモフトンをガルド領に広めようとした。

 牧畜だけで北国生きていけないじゃない……そうだ、ガルド領主に保護させよう。

 こうして外見がふわふわで設定がガチガチのモフトンのために現地の設定が変わった。

 モフトンを保護するために領主はバリバリ勤労タイプに変更させられ、アデン国は魔獣税が制定されたことになる。冒険者ギルド的なものも余波を受けて縮小。みんなモフトンのために農民になったらいいよ!

 こうして舞台は残念異世界へと構成されていくのであった。

 全てモフトンへの愛が止まらないがためである。




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