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独りより二人。  作者: 城帽子
3/8

YUMI


真:

それから、本当にアキは電話を取らず、いつも留守番電話だった。

ということは、着信拒否はされてないってことか。

何にせよ、このまんまで良い訳がない。


店長:今着いた雑誌、棚に並べて置いて。


真:はいー!わかりましたー。 雑誌って紙なのに、これだけ集まると重いもんだな。

紙は薄いから密度が高くなつちやうんだろなうな。


新人バイト:僕も手伝いましょうか。


真:バイトにも来ないし、なにやってるんだろうな。


新人バイト:手伝いましょうか?


真:ああ、あ、はい、お願いします。


新人バイト:

お、またこの子が表紙だ。さいきん売れてきてるなー。確かに美人だよね。

でも、まだ服に着られてる感じがありますね。


真:

そうなんですか?運ぶだけで、全く見てもいなかったな。

え!これ、由美さん!なんてね。あの人、こういうの嫌いそうだもんね。


新人バイト:

うん、YUMIっていう子だね。美人さんだよねー。って、なんだ、知ってじゃないですか。


店長:うれてるからねー。で、今度うちの店でサイン会やるよ!コラボ商品売り出すらしくてね。


真:え、本当ですか!


新人バイト:そんなにファンだったの?


真:え、ええ、なんかいいなぁと思ってたんですよ。


店長:そうかい?そうかー、そんじゃ、ポスターも上げよう。特別だよー。


真:それは別にいらないかな。


店長:え、そうなの?でも、これ持ってると、サインもらえるかもよ?


真:サインですか、はぁ、考えておきます。


店長:

なんだー?おいおい、新人とはいえ、もう売れるの間違いないよ!

アイドル追っかけ歴二十数年の私がいうんだよ?


真:それじゃ、もらっておきます。


店長:その方がいいよー、家宝になるよー


真:家宝ですか?あははは。


店長:それから、当日のお世話係、頼むね。


真:僕ですかー?


新人バイト:いいなぁ。お話できるんだー。うらやましいねー。


店長:ほら、店長ともなると上の方と色々お話があるのでね。プロモーションがどうとかさ。


真:はあ、なにをやれば良いんでしょう?


店長:ジュースとか、焼きそばパンとか、言われたら買いに走る!


真:そんな、学校の後輩じゃないんだから。


店長:そんな、感じってこと、くれぐれも、粗相の無いようにな。主任。



はいはい。まあ、レジ打ってるよりは増しかもな。 しかもモデルさんだって?これって役得だよな? いいですねー主任に早くなりたいなー。 僕が来てから初めてですよ、こんなイベント。 そうなんですか? 一回、ヒーローの着ぐるみがきたかな。 中身は言わずとしれず、ですがね。 そうなのかー、なんかしらやってるんですね。 こういう店も、企業努力を惜しんではならんよ。 ですよね。 ただでさえ、薄利多売な世界だからね。 こういうプレミアムな日は、他のものもどしどし売らないとね。 本屋って差別化が難しいですからね。 下手したら、ネット販売に。果ては電子書籍に負けちゃうからね。私は紙の匂いが好きだからね、今後もずっと、普通の本を買う予定だよ。 さて、モデルの髪の匂いはどんなかなー。 そっちの髪ですか! <週末由美来店>



新人バイト:わ、本当に来てる。すごいなー。やっぱスタイルいいねー!


真:それじゃ、いってきますね。あー、本日お世話係をさせていただきます。


由美:あら、まこっちゃんじゃない?こんなところでなにやってるの?


新人バイト:ええ!お知り合いなの?マジで?


真:え、ああー、やっぱり由美さんなんですか?その恰好と、お化粧、ちょっときつ目で別人かと思いましたよ。


由美:

なんか失礼なことをいきなり言われてない?私?ま、いいわ。

あのね、メイクの人に勝手にやられるんだから、しようがないでしょ?わかる?


真:そんなにおこらないで下さいよ。 ただ、この前と違うなーと思っただけですよ。


由美:

ふーん、ま、いいわ。あーもう、ちょっと聞いてよ!

街あるいてると、なんか、すぐにサインください!とか言われていやなのよ。


真:人気あるんじゃないですか。やって挙げたら、好感度上がるかもですよ。

ファンあってのものですよ。


由美:

サインって、なんかの契約だったらどうするの?

いきなり、全財産贈与します、とか!君、責任とってくれるの?


真:

ありえないでしょ、そんなこと。しかもそんなに露骨にきますかね?

わざわざ雑誌まで持って?ないない。


由美:知らないわよ。あーっもう!嫌なものは嫌。


真:そういうのって、有名税っていうもんじゃないんですかねー。


由美:なら、あなたが書きなさいよ!私の代わりに税金払って。


真:そう怒らないでくださいよー。 美人が台無し。


由美:何?


真:いえ、美人は怒っても絵になるなぁ、あははは。


由美:あーあ、もう、ほんっと、嫌になっちゃう。なんでこんなことしてるの私。


真:なんででしょうね?

んー。 やっぱりモデルさんだね。なんだかんだで絵になるなー。

でも本当は結構、可愛い物も似合うんだよね!

えっと、ちょっと話たいことがあるんですが。


由美:ほぇ?私に話ってどうしたの?


真:

ほぇ?ってどこから声だしたんですか?

えーっと、アキが、すねちゃってて、電話に出ないんですよ。


由美:そうなのー?って、そういえばなんか、連絡来てたなー なんだったっけ? 最近忙しくて。


真:本当ですか?今すぐ見て!ほら!


由美:

ああ、分かったわよ。 マネージャー来てなくて良かったわねーほんと。こんな姿なんか見せられないわ。


真:いいから。早く確認してー!


由美:男なのにうるさわねー。ほう。あー、あなた、アキは諦めなさい。


真:えー!なんて書いてあるんですか!


由美:もう耐えられません。尼になりますってさ。


真:へ?尼!どこのお寺なんですか!


由美:

本気にしなさんなよー。 そんなわけないでしょー。

あなたの素直じゃない所が嫌いー!だってさ。


真:んーそうかなー?素直じゃないのかな?


由美:

私はアキとは違って正直よ。 だから単刀直入に行きましょうか。

アキじゃなくて私にしない?私を選んだらキスしてあげてもいいわよ。


真:何いっちゃってるんですか、そんな急に。


由美:では証拠を見せましょう。 こっち見て。


真:どうしたんですか?またまたー冗談でしょ?


由美:冗談なんかじゃないよ。んっ。


真:

へ?、本当にキスしてるじゃないですかー!なにやってるんですか!

会社にバレたらどうするんですか!


由美:あんた、なんの心配してるの? あーあ、アキが嫌になるのもわかるわー。


真:えーそんなー。


由美:

まぁ好きになるのもね。 さーて、冗談は置いて置いて。

今から電話するから、出たらすぐに変わりなさい。

えーっと、どこにいれたっけ?


真:多分、サイドの小さいポケットだと思いますよ。


由美:あらほんとだ、詳しいわね、人のバッグなのに。


真:何いってるんですか、前、バスの中で僕にカード探させたでしょ?


由美:あのときは助かったわ、ありがとう。 そんで起きたらあなたが隣で寝てて。


真:またまた、何いってるんですか、ちゃんとタクシーにのせたでしょ?


由美:そうだったね、ちぇっ。


真:今、ちぇっていいました?


由美:いってないわよ。地獄耳!


真:でもー、あの時のせいでアキとは喧嘩になったんですからね。


由美:あら、そうなのー?あの子らしいわね。ふふっ。あったあった。


真:そんな大きいストラップつけてても見つからないなんて。


由美:なんか言った?


真:電話見つかりましたよねー?早くかけましょうよ。


由美:自分でかけなよ。


真:人の電話だしプライバシーの侵害でしょ?そういうわけにはいきませんよ。


由美:

待って、わかったから。 これかな。ふふふんーと、何がでるかなー♪

ああ、マネージャー?私。この子とキスしちゃった!えへっ!


マネージャー:

ふーん、気分良さそうね。それじゃぁ本当なんだろうね。

分かったから、その子と変わっって。


由美:はい。かわっててさ。


真:へ?僕に?もう?


マネージャー:あーもしもし。あなた、責任とってもらいますよ!


真:えええ! なんですか!?


マネージャー:なんてね。キスの一回や二回、どうってことないわ。こちらは一切プライベートには関わらない契約なのぉ。

上手くやってよね。ただし、週刊誌には気をつけて。チャオー。


由美:どうだった?


真:どうって、会社のひとじゃないですか!


由美:あはははー良い顔してる。 さっきより全然良い顔。今こそほんとにチューしてあげたいわ!


真:酔ってるんですか?


由美:んなわけないでしょ? 仕事中よ、曲がりなりにもね。

ははーん、そかそかー。へそまげちゃったか。

おしえてあげましょう!こういう時はね、うふっ。


真:本当にそんな方法でいいんですか!


由美:絶対大丈夫だよ!上手くいったらなんかおごってね!


真:モデルさんにおごるのかー、そんな高級なものおごったら、生活がー!


由美:なに、そんな高級なものなんかいらないわよ。まあ、その辺のラーメンでも一緒にすすりましょうか。


真: そんなもんでいいんですか?


由美: そんなもんとは!今、日本中のラーメン屋を敵にまわしたわね、あなた。


真: いえいえ、ラーメンは大好物ですが。


由美: いいじゃないの、あまり食べたこと無いのよ。でも、まずい店だったら、美味しい店に当たるまでハシゴするわよ。


真: はいはいー。

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