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独りより二人。  作者: 城帽子
1/8

突然の告白?

バイト先で始まる恋愛っていいですよね。


友達の恋愛話を聞く感覚で、よんでいただけたら幸いです。

本作は声劇台本風となっています。


<バイト先事務所にて>


真:はぁ〜。俺なんか、一生彼女出来ないって。


亜希:いいこと考えた!それじゃ、私がいまから彼女ね!よろしく!


真:おい、ちょっとまてぇ、なに急にいいだしてんだよ!


亜希:いいじゃない、減るもんじゃないし。


真:減るもんじゃないけど…さてさて、なにを企んでいる?


亜希:なにも企んでいないって。さーてなにを買ってもらっちゃおうかなー。


真:おいおい、やっぱり企んでいるじゃないかー


亜希:冗談だって。それでは彼氏さん、今日も一緒に帰ろうね。


真:今日「も」って、その「も」は何処からでてきたんだ?


亜希:いつだったっけ?一回だけあったでしょう?一緒に帰った日。


真:

またまたえらく古い話を持ち出してきたなー。

俺がこのバイトに入って何日目かのことだろう?かなり前の話だぜ。


亜希:ま、いいじゃない。小さな事だよ。


真:そりゃそうだけどな。あ〜あ〜、彼女かー!いいなぁ。欲しいなぁ。


亜希:だからぁ、私が今から彼女だって。


真M:

冗談みたいな告白?だったけど、本当に彼女はできたんだ。

驚きでもあり嬉しくもあり、でも、なかなか実感が湧かなかった。

もっともそれは俺だけのものみたいだったけどな。


亜希:あのさ、今度の週末、ちょっと付き合ってくれる?



(休日の駅前)


真:誰と会うんだよ?


亜希:いーからいーから、黙ってついて来たらいいの。


真:いきなりお父さんに会わせるっていうのは無しだぞ。


亜希:いずれはそうなる運びとなりますが、今日は違うよ。


真:そうなのか?とりあえず、あんまり緊張するところは嫌だぞ。


亜希:あー待った?


由美:

今来たところだよ。なーんて、10分くらいかな。

おっと、これが噂の彼氏さんだね?

ふむふむ、背は高いじゃない? その靴上げ底?


真:おいおい、いきなり失礼なこと言われてないか?


亜希:それがね、上げ底じゃないんだよ。いいでしょ?


由美:パットしない感じもするけど、あんたの趣味なんだろうね。少し変わった?


亜希:いやー変わってないよー


由美:そう?前は…


亜希:あー、前は前でいいじゃないのー。それよりー


真M:

前があったんだ…まぁ、確かに普通より可愛いよな、多分。

性格は置いておくとしてな。


由美:今日はその...、洋服見に行くんでしょ?


亜希:良い店あったんだよ、裏通りをぶらっと歩いてたらさ。


由美:

そういえば、最近何軒かお店変わったみたいね。

シャッター街ってテレビで言われてるのみた時は、愕然としたわ。


亜希:そうそうーオシャレな店と可愛い店。どっちにしようか?


真:なに気使ってるんだ?俺が相手の時は、勝手にどんどん決めて行くのに。


由美:

じゃあ、オシャレな方で、

ほら、あたしって、背が高いから、あんまり可愛いのは似合わないんだよね。


亜希:そんなことないよー、美人さんはなんでも似合っちゃうから、羨ましいなぁ。


由美:

なぁーにいってるの?合コンではいつも一番人気で、

二次会に来ないってわかった時の男性陣の落胆はぱねえっすよ!


亜希:あーごめんねーいつも。門限が。お父さん、怖いから。


由美: 大事な娘だからねー気持ちはわからんでもない。しかし、娘にも自由を!


亜希:自由を!


由美:君もやりなさいよ!


真:はい。自由を!なんだこれ。


亜希:バイトだって、やっとオッケーしてもらったんだからね。


由美:厳しいねー。あたしんとこは放ったらかしよ。一体娘をなんと思っているのかしら。


亜希:由美がしっかりしてるから、安心してるんだよ。


由美:それはそれで、どうかなー。少しは心配して欲しいよ。


真M:

そして、後はお決まりのパターンだ。

どっちがいいと思う?と聞いたくせに、おれが選ぶのと逆を選ぶ。

最初から決まってるんだよ。

なら、俺に聞くなっていうの。 そして、


亜希:「 これもコミュニケーションだから 」


真M:

だという。

こうやって荷物を持たせるのもコミュニケーションなのかねぇー わかんねえな。


亜希:さーて、後はスイーツでも食べに行きましょうか?


由美:あーごめん、この後用事があるんだー


亜希:また、合コン?


由美:ま、そうだねー。今度はね、大手商社にお勤めのサラリーマン様。


真:サラリーマン様ねぇー。


亜希:へえー凄いじゃない?いいなぁー。


由美:あんたも来る?半分だけ、大歓迎する。


亜希:なんで半分なのよー


由美:だって、人気高いから。ライバル増えちゃう。


亜希:またまたー。なら、やめとく、由美のライバルなんて、私には務まりません。


由美:なにをおっしゃるー 。


亜希:えっと時間大丈夫?


由美:あーまずいー!でもヒーローは遅れて ...


真:これ逃すと、三十分はバス来ないよ。

この道の渋滞をあまくみるなよー 日本のモータリゼーションは凄いんだよー

しかも、電車との接続も最悪ー


由美:あああーそれは、まずいじゃない。 それじゃ、また電話するねー


亜希:はいはいー待ってますよー。


真:うわーすんごい手を振ってるな、あれじゃちぎれちやうぜ。


亜希:あ、千切れた!…なんてね。


真:

そういやさ、こんなに買って大丈夫かよ?

そこまで安い店じやないだろ?


亜希:大丈夫、どうせ返品するんだから。


真:え、返品するの!


亜希:そうよ。こんなにお金つかったら、明日からなにも食べれないよ!


真:おい、どうした?


亜希:あの服だけは気に入ってたのに。試着室から出てきた時の驚いた顔、覚えてるよ。


真:あー、あれはな。似合ってたよ。うん。馬子にも…


亜希:あーあ。(下を向いて)


真:似合ってたよ。なんか、バイトの時とは別人って感じがしたよ。


亜希:うーん!明日から頑張ろう!絶対に手に入れてやるからなぁー!


真:そうだ、その意気だ!


亜希:またご飯減らさなきゃね…ま、ダイエットにもなるし。


真:そんな、太って無いのに、なんで女の子ってそんなに痩せたがるかねぇ?


亜希:それが女ごころってもんよ。


真:今のままで十分、可愛いのにねー。


亜希:なになに?もう一回言ってごらんなさいな?


真:もう言わない。


亜希:えーいじわるー



(再び、バイト事務所)


真:

バイトの主任ですか?

いやぁ僕なんか。 大丈夫ですか?そんな、人徳ないですよ。

はあ、そこまで仰られるのであれば。

時給アップですね!喜んて!


亜希:おお!主任どのではないですか?


真:バイトのだよ。対したこと無いって。


亜希:そんなこと言って、私より時給高いんだからね!


真:

俺の時給、知ってるのかよ?

つうか、筒抜けかよ。


亜希:風の噂でね、


真:

少ししかちがわねぇよ。

その代わり、責任三倍だからな。 前の主任、良くやってたよ、ほんと。

これじゃ割りにあわないぜ。


亜希:でもさ、意外と評判良いの知ってる?


真:いやー知らないなぁ。忙しすぎて。


亜希:君って、皆から優しいお兄さんと思われてるんだろうね。


真:そうなのかなぁ。自覚ないや。


亜希:だって、あんな事まで許してあげるんだもんね。


真:

あれは昔、俺もやったミスだしなー。

なんとかしないと、って思った矢先だからなー。

まぁ、あいつのせいだけにはできないよ。


亜希:

うーん、さすが、心が広いねー。

そしてきっと、他の皆にも優しいんだろうねぇー。


真:

皆さん平等に応対しているだけだよ。

えこひいきなんかしないぞ。


亜希:それなら、私には、もっともっーと!優しくしてよね!


真:

えー、バイト中は無理だぞ。

まあ、バイトが終わったらな。


亜希:本当だね?絶対だからね!約束だからね!特別なんだからね。(小声)


真: わかった、特別だ。


亜希:えへへー


真:なでなで。


亜希:他の人なでなでしちゃだめだからね。


真:しないよ。


亜希:うふふふぅー


真:マンガの真似しなくてもいいよ。


亜希:はいはい、彼氏殿。


真:今は主任と呼びなさい。


亜希:はい、彼氏主任。


真:なんか他にも彼氏係長とか居そうな雰囲気だな、それ。


亜希: そんなの居ないよー。それとも居た方が良いの?


真:

なんだ、お前、またまた口がうまくなったんじゃないか?

言わなくてもわかるだろう?


亜希:

ずるいよーそれ。やっぱり、口で言わないと伝わらないものがあるんです。

それに言葉で聞くから嬉しいんだよ。 心に刻まれるって気がするんだよ。


真:わかりました。大好きです。 他の人を見ないで、俺だけみてて欲しいです。(棒)


亜希:やった!はい、了解いたしました。君だけをいつまでもみています。(棒)


真:お前まで棒読みにならんでよろしい!(指でつんとつっつく)


亜希:痛っ!ぶったー!DVだよー、みなさーん、DVさんがいますよーここにー。


真:

突っついただけだろ?大袈裟な。

それに、なんかデビッドさんみたいだな、DVさんって字で書くと。


亜希:

あーそんなこと言って誤魔化してぇー!

ドメスティックバイオレンスの略なんだぞー!

とても駄目なことなのですよー!わかってるのぉ?


真:ごめんごめん、私が悪かったです。すいませんでした。もうしません。


亜希:はーい、わかればよろしい。


新人バイト: 主任さーん!この品物、何処に並べればいいの?(遠くから)


真:ああ、それはですねー、あの3番目の棚に!


新人バイト:うーん、ちょっとわからないなぁ。


真:

ああ、今行きます!ちょっと待っててもらえますかー?

また、帰りにな。


亜希:忙しいねー主任さんの仕事は。


真:あ、帰りちょっと待っててくれよな。一緒に帰ろうぜ。



(帰り道)



真:待たせたな。ごめん。


亜希:うん、しようがないよ、主任って引き継ぎもあるんでしょ?大変だね。


:色々、漏れがあると後でトラブルになるかもしれないからね。

そんで、これ、(カバンの中をガサゴソ)

お詫びの印に。どうぞ。


亜希:なにこれ?くれるの?ただで?


真:プレゼントだよ。 バイト主任と平バイトの差額で買いました。


亜希:でもなぁ、タダより高いものはないっていうからなぁー。


真:なーに言ってるんだよ。なんもないよ。


亜希:ふーむ、柔らかいものだね。どれどれ。


真:もっと、こう、キレイに開けようとか、そういう気持ちはないのかね?


亜希:少しでも早く開けたくて。 ってこれ、この前お店に返品したやつだよね?


真:ああー、そうだったかもしれないな。


亜希:あらぁ?値札ついたままだよ。こういうのって…


真:いや、そうか、忘れてた。値札って取るものだったな。


亜希:まさかの…レシートも入ってるぞぉー?ふふふっ。


真:あああ、慌ててたからな。 いや、もうそういうのはいいから。 気持ちね気持ち。


亜希:今から着てみていい?


真:良いよって。おっと、こんなところでいきなり脱ぐなよ?


亜希:羽織ってみるだけだよ。これ持ってて。


真:はいよ。結構重いな。バッグの中なに入ってるんだ?


亜希:そういうものなの。開けたら針千本だからねっ!うんしょ、うんしょっと。


真:もう少しスマートな掛け声ないのかね。


亜希:エンヤとっとエンヤとっと。


真:余計ひどくなったな。もう何も言うまい。


亜希:ほーらぁー!これやっぱりいいよねー!


真:

うん。まあ、あそこで試着してたものの中では、一番似合ってる気がしてたからな。

なんか、勿体無いと思ってな。


亜希:んふっ、似合ってる?


真:おいおい、だから買って来たんだぞ?


亜希:もう!似合ってる?


真:うん、似合ってるよ。すごく、可愛い。


亜希:やったーありがとう!


真:よしよしー


亜希:あ…ありがとう…


真:う、うん?なんだなんだ?


亜希:嬉しいの…とても、嬉しいんだよ。


真:お、おい!俺、昔から女の子に泣かれるの苦手なんだよ。


亜希:なぁに?昔からって、いつの話?


真:

バカ!小学生の頃にな、ちょっと女の子からかってたら、泣いちゃってさ。

あんときゃあ、先生に怒られたなー。


亜希:えー、そんなことしてたの?


真:いやーほら、小学生ってよくあるじゃん? 好きな子をからかうみたいなさ。


亜希:それねー本当は、女の子傷付くんだよー、知ってる?


真:

まぁー後悔したなー、うん。

そんでさ、中学の時、その子が友達と付き合ってるの聞いてさ、

今度はこっちが傷付く番になったとさっ!


亜希:…好きだったんだねぇ。


真:そうだなー、そうなんだろうなー


亜希:今でも?


真:

まあ、思い出の中ではな。

ただ、今はあの子もどうなってるかわからないよ。

変な意味じゃないよ。


亜希:そうか、そうだよねー。みんなそれぞれ、人生があるよね!


真:

そういう事だ。 お前ー大人になったなー!

背、伸びたんじゃないか?


亜希:ん?この服のせいかな?


真:あーら、大人になったのは見かけだけか?


亜希:なによーその言い方。


真:いや、そのままでいいよ、そのままがいい。


亜希:わかった、そのままでいる。


真:さあ、帰ろう。おいで。


亜希:うん。


真:今日は素直だな?


亜希:今日だけね。


真:今日だけかー。


亜希:じゃあ、時々ね!(キュッと手を握る)


真:ふふっ。亜季の手、あったかいな。


亜希:うん、あったかいね。

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