ショートショート 食糧事情
乙女3人の会話からなるショートショートです。
楽しんでいただければ…うれしいですね。
「あっ、お久しぶり-!」
「あらこんにちは。」
「お久しぶり。」
「ちょっと唐突になるけれど。
最近何を食べればいいのか悩んでるのよ。
ほら、食べ物に食品添加物なんか入ってるでしょう?」
「怖いよねー。」
「この前食べたアメリカ産のにも、いろいろ入ってたのか?!」
「あり得るよー。
着色料とか、保存料とかさ。
そんなのいらないよねー、体に悪そうだもん。」
「どこの食べ物が一番安全なのかしら。」
「小さい農業国とかどう?」
「ダメよ、最近は農薬をいっぱい使ってるらしいもの。」
「日本はどうかな?」
「うーん、厳しいわね。最近は輸入とかも多いから。」
「中国とか、インドとか…」
「うーん…田舎の方ならいいかもしれないけれど。」
「昔はよかったよなー、添加物とか一切なくて。」
「そうかなー、その分筋張ってておいしくなかったよ?」
「栄養が不十分だったからかしらね。」
「最近は脂がのってきていい傾向だと思ってたのになぁ…
変なもん入れられてるなんて知ったらそうそう食べらんねえよ。」
「じゃあさじゃあさ!
自分達で育てるのはどうかな?
ほら、有機何とかの食べ物だけでさぁ。」
「それは名案ね!
さっそく育てる幼獣を調達しましょう。
餌については…まあ、頑張れば私たちでも作れるでしょう。」
「じゃあ逃げないように檻を作っておかないとね!」
「幼獣調達か…今度洞窟にでも行ってみるよ。」
「洞窟?そんなとこにはいないよ?」
「ええ、普通ならいないけれど。」
「あいつら情報が早いからな。
ちょっとすれば≪ドラゴンが出た≫ってわんさか寄ってくるだろうよ。
何匹かさらってくるのなんてちょろいもんさ。」
「お願いするわ。
ただし気を付けて、最近の連中は結構な武器を持ってるんだから。
バンバンいうあれなんか、当たったら鱗が剥げちゃうわ。」
「安心しろ、珍しい物好きの観光客が消えたってニュースになるころには
とっくに別の場所に逃げてるさ。」
「それもそうね。」