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大好きな彼の背中  作者: 宵賀
2章:過去編
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第6話:素直になる気持ち


 実穂は笠也のために素直になろうと思っていた。

 実穂自身、今までの経緯を思い出してみるとなぜか後悔事が多く、思っていることとは裏の行動をとってしまうからだ。


 でも、素直になるためには一体どうすればいいのか?

 6月の今、笠也は実穂のために会いに来てくれることが多く、会うたびに実穂は一つや二つの後悔をする。

 

 会いたくて会いたくて仕方なかった。のに、恥ずかしがっているのか笠也が目の前に現れると、開いていた心の扉は閉じてしまう。

 まるで全てが振り出しに戻ったかのように、相手のことをちゃんと知ろうとはしない……。


 以前会った際に「俺から逃げないこと」と、そんな約束を交わした。

 実穂は逃げるはずがないと、心からそう思っていたが笠也がアイスを持って実穂に近づいてきたときわずかながら、後ずさりをしてしまった。

 瞬時に、後悔という重い気持ちが口を塞ぎ、その日はあまり言葉を交わすことが出来なかった。


――やっぱり…笠也と付き合わないべきだったのかなぁ……


 自分自身に不安を抱き続けた実穂は、いつかそう思い始めていた。

 相手が満足してくれない。

 どうやったら、自分は彼のことを好きなんだと愛情表現できるのか。

 自分に愛想つかされる前に何とかしなくては、別れてしまうのではないか……。


 実穂は笠也のことが好きだ。大好きだ。

 でも、その事をちゃんとした行動で示したい。

 そんな考えが心の中では浮かんだが、行動できる日はあまりなかった。


 ついには「別れるかも」ということも考え始め、目には涙が浮かぶ日さえも出てきた。


――きっと、今別れてしまったら自分は泣いても泣ききれないだろう。

   沢山の思い出が作れたけど、それは自分にとっては自己満でしかなくて、相手は本当にどう思っているのだろうか?

   自分は何もかもやること全てが空回りするし、相手は喜んでもらえていない……


 自分さえよければいい、そんな子供染みた甘い考えが脳裏を貫いた。

 実穂は知らず知らずのまま、心の中に言い聞かせた。

 まるで、もう一人の自分がいるみたいに……。


――自己満で一緒にいてもいなくても、今付き合っている意味を考え直せ。

   いずれは別れてしまうかもしれないけど、その時には付き合えてよかったと言えるようにしろ。


 後悔するような相方は今日で終いにしろ……。

 誰かに言われているよう感じが実穂の心に響いた。


 正直、甘えてたのかもしれない。

 好きだという感情をいつしか押し殺し、自分か特別な存在だと思い込んでいた。

 笠也とははっきりとした関係が今、出されていて、今後その在り方を問われるのは自分達だと、実穂は思い始めていた。


 好きだという気持ちを砕かれても、その結果を受け止められる器を持っておく必要があることを悟った。



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