表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
大好きな彼の背中  作者: 宵賀
2章:過去編
5/44

第5話:すれ違いと優しさ

 笠也とはクラスが違うから学校であまり話さない。

 実穂はそれはつまらないと思い、昼休み、陰ながら笠也の教室のドアから覗くことを日課にした。

 彼は普段机に伏せって寝ているときが多い。最近はクラスの子と話すことが多い。


 が。


 実穂はその光景を面白いとは思っても見なかった。

 笠也が言葉を交わす友達は全て女であるから。

 実穂自身、彼の性格や行動パターンを全て知っている上で交際を申し込んだわけでもない。

 自分とだけ接してくれる笠也が素直に好きだから、今もこんなにも惹かれている。


 でも、あの笑顔を他の女に見せるのは相当苦い味がした。

 会話に入れるものならしたい。

 実穂の心にはどうしようもない“嫉妬”が生まれた。


 それは、普段の笠也を知らなかったから、知ろうともしなかったから仕方ない。

 実穂には誤算があった。

 笠也は女好きだってことは知らなかった。


 よくよく笠也の情報を聞き集めてみると、学校では女子友が多く、いつも集られていて周りの男子からの評判は良くないこと。

 それに、笠也に話しかける女以外の女子は、そんな笠也を気味悪がっている……だとか。



 このとき、実穂は心から嫌だという感情が芽生え、嫉妬し、訳が分からない気持ちに駆られた。

 メールの時に「なんで女子とばっか話しているの?」と聞けば「友達だから」と返ってきて、実穂は「浮気宣言だ」と怒りをそのままぶつけた事も合った。


 学校では言葉は交わせないものの、実穂は笠也に自分は笠也を見ていると、教えてあげたかった。

 自分の彼氏が普段、どんな風にクラスにいるのか、誰と仲が良くてどんな話しをしているのだろう、だとか。


 1ヶ月も過ぎた頃、実穂には笠也を自分の手の内にいさせたいという独占欲よ他の誰にも関わりを持たせたくないという嫉妬が我を蝕んでいた。

 そんな笠也は実穂の気持ちなんて知っているのか、ふたりきりで話した時、話しの話題がクラスに行き、そこから笠也は女子の話をする。

 当然クラスにもいない実穂にとっては面白くもない楽しくもない内容であった。



 そんなすれ違いが続いた中、事件は発覚した。

 笠也が塾帰り実穂の家に寄った時のこと。


 10時までに家に帰れば良いと言う家の約束をギリギリで会ってくれた際、実穂の機嫌は何故か悪く、笠也に冷たい態度を取った。

 会う前は、会いたくて仕方なかったのに会ってみると、何故か学校で他の女と話していたことが脳裏に浮かび、機嫌が悪くなる。


 そして、喧嘩をした。

 会ったら「大変なのに来てくれてありがとう」と、言いたかった。

 でも、「なんで来ちゃったのさ」と、問い詰めた。

 笠也は「実穂に会いたくて」と、答えたが、実穂はそんな彼の優しさには触れず追い返した。


 その後のメールで笠也からは別れ話を切り出された。

 断ったら隠しても無駄だと言われた。


 もう何がなんだか分からないまま、実穂は就寝して、夜中に目が覚めた。

 携帯をふと見てみると、笠也からのメールが。


――いつも実穂はつまらなさそうにしている。一緒にいるとつまらなくなる。


 笠也は実穂に対して不満な所を言ってきたメールだった。

 朝に改めてメールを返して、笠也は不満な所を直してくれるのかという問いに、実穂は快い返事を返した。


――好き。


 と、一言だがそう言ってくれた。

 その時にやはり笠也が愛しく感じた。



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ