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大好きな彼の背中  作者: 宵賀
番外編:現実はハッピーエンドにはならない
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第2話:「限界」と言われた少し前の話

 私は夏季終了式前の授業が3日あるうちの2日を学校で休んだ。どちらも無断欠席というやつ。

 学校に来てまた休んで、そして来たと思えば終了式。

 どうして無断欠席をしたのかはまぁ、色々理由がある……というか、理由は一つだけ。

 風李が家に誘ってきたからである。最初休んだ日は風李の誕生日だったから休んだ。前日になって誕生日を気づいて、プレゼントを買うお金がなかったし迷ったが口で「おめでとう」を言う事に。

 しかし、学校があるし、母親にはもう夏休みと伝えてあるため、家の出方を迷った。部活と言えば簡単に出られるのだがそうすれば格好は……。


――明日スカートな


 と、言われてしまえば、私は制服で行く事に。

 朝起きてからの動きをベッドの中で考えていると、夏の暑さのせいでなかなか寝付けなかった。クーラーは付いていないから、扇風機で我慢の毎年。

 シナリオは頭の中で描く事はできたが、暑すぎて寝れないし、少し寝れたと思えば浅い眠りだからすぐに目覚める。


「あぁぁぁー」


 扇風機の前に顔を近づけて、眠いのか眠くないのか分からない意識をもてあそぶ。扇風機から送られてくる風は涼しいが、そこから離れる事は出来まい。私はしばらく扇風機を前に、後ろにベッドでベッドの角に頭をくっつけて目をつぶった。

 瞼の裏で涼しい風が、顔を突き抜けて髪をなびいていく様が、思い浮かんだ。夏は好きではないが、夏休みがあるから好き。私はそっと目を開けて身を起こした。




 ピピピピピ――……


 携帯のアラーム音で私は重い体を起こす。今日は人生初の“無断欠席”をする日。嬉しいと思うのだが、母親や先生に嘘をつくという事実を思えば心が少々苦しくなる。

 運良く母親は仕事の早番で先ほど出勤して、家の中には義務教育を頑張っている6個下の弟と、私だけ。2個上に姉がいるのだが、彼女は私と違う高校で主席を取っているため、まだある授業を受けに出かけた。

 本来なら私も行くべき……。でも、今日は風李が生まれた愛でたい日でもあり、去年も一緒に過ごした。だから今年も……と、これは私のわがまま。

 実際家についてから「今日は部活で、それをわざわざ休んだ」と、本人の前で言ってやった。ちゃんと、その前に「おめでとう」を言ってやったが。


 前に「制服は目立つ」と言われて許可をくれなかったが、今目の前で風李の反応を見ていると、ちゃんとスカートで来たからかなんだか嬉しそうな顔もしている。

 その顔をみて、私はほっとした。不機嫌でもないなら…と、思うと私はアイスを要求。


「え……アイス?」


 風李はその私の要求に嫌々答えるかのように、キッチンへと向かいモナカのアイスを私に差し出す。

 ニコニコ笑顔なのは私だけか、と思いつつも半分ほど美味しくアイスを頂くが、何故か味に飽きる。量が多いし、風李が話の途中で家にいられるのは1時間もないと言ったからである。つまり、私の機嫌が損ねしまった。

 家に来て自分は何を望んでいたのか……と、自問自答をすればぱっと浮かび上がる。でも、それを望んでいても私は然程イライラしないし、嫉妬もしない。


「じゃあ、早く帰らんとね」


 なんて言ってみるが、風李の布団に寝転がった途端に大好きな匂いが私の思考回路を爆破させた。

 ぼかーん!……とか、言ったのだろう。風李を見たら座っている彼に自ら抱きつく。そして、耳元でおねだり………とはいかなかった。


「実穂時間。もうお終い」

「やだ!」


 ぎゅっと抱きついたまま離れない。制服がしわくちゃになろうとも、私は構わない。一緒にいたいのだ。ダメだと分かっていても、愛しい者を目の前にして我慢できないし、したくない。

 イヤイヤをするように首を動かし、さらに強くしがみつく。


「みほぉ…じゃあ屋上、ね?」


 頭をぽんぽんされて、頬を引っ張られ、犬みたいに顎の下を撫でられて。私はもうこれだけでとろん…となってしまう。

 甘い…というか、風李には弱い。身も心も。


「ゆくー」


 荷物を持って、玄関へと向かう。その間に風李は私の肩を両手で持ってくれて汽車ぽっぽごっこをしているよう。少し照れた。

 お決まりの屋上で、私は少し思い出に浸った。

 初めてここ(屋上)に来た時、手を長い間握り合った時、初めてディープキスをした時などなど……。うん、良い思いでばっかである。おまけににやけてしまった。


「実穂、いつものポジションは?」

「しゅる」


 屋上の階段でひとつしたの段に風李が座り、私がその後ろに回る。もし風李が後ろを振り向き、目線を下に動かしてしまえば私の下着は見えてしまう……けど、許す。さっき家の中で見られたと思うし。

 一瞬変態かと思ったが、そんな事を口にすると頭を軽く叩かれる所ではなくなる。


――見られてもいいのだ。風李だけは許可する。それ以外はコロス……


 何のために、身体の接触を許したのかと心の何処かで思いながら、座りおんぶされているように足を広げて、風李に首に腕を回す。

 そして、自分こそが変態だ……と、思いながら風李の耳を口に。はむッと、耳の軟骨を優しく甘噛みをするが風李は特に何もない。逆に楽しんでいるのは私だけ。……かっこ、笑い。

 でも甘噛みを一度止めたとき「みぃちゃん舐めないの?」と、聞かれて正直めっちゃ嬉しかった。

 たまに“実穂”ではなく“みぃちゃん”と呼ばれることがある。私はそれでも反応するのだが、どちらかと言えば“みぃちゃん”の方がめっちゃ、心から甘えたいと思ってしまう。

 しかし、それが隙となった。風李が右手をスカートに忍ばせて……。


「あ、ちょっとぉー」


 半分嫌な心を持ちながら、髪をぐしゃっと弄る。これでお相子だぞこのヤロー!とか思っていたら、さらにスカート捲りをする。


「この後俺部活。みぃちゃん悪い子、お仕置きー」

――ススス……スカート捲りも程があるー!


 この後、私は風李宅の屋上で少しエッチな声を上げてしまっていた。もちろん、誰にも聞こえないように声を抑えていたが。
















 でも、その日のメールは少し残念な事が私の身に降り注ぐ。風李が嫌だと、私を拒否をした。

 「俺は普通に恋がしたい。実穂とは嫌」とはっきりと述べられる。


「えー……馬路か」


 ショックなのか、それでいいのか……。自分でもよく分からない気持ちになる。

 私は別に風李がいなくたって独りで歩いていけると、そんな気持ちがもう前から思っていた。けど、風李が誰かと付き合うとか聞くと無性に腹が立つ。と言うか嫉妬する。

 彼が好きだからとかではなく、いられたら困るという自己中心的な考えから。

 私はそれでもいいから、しばらくの間自分の近くにいて欲しいと言ったのだが、それも嫌と……。

 トコトン嫌われてるという現実が心にずーんと圧し掛かってきて、枕に涙がぽろぽろ。


――分かってるさ、分かってる。でも、独りは嫌なの。


 私が佐々木と付き合って別れた時みたいに、近くにいて欲しいという願いは叶いもしない。私はそんな事、甘い考えだと分かる。

 でも、それを望むわけはまだ風李が好きだから。それに、好きだからこそ、分からせて欲しいと言う想いもあった。

 愛しい相手が自分に好意を持っていない事を、時間をかけて分からして欲しいと。


 私は甘い。

 そう、風李は冷たい態度で何度も教えてくれた。私が涙を流すたびにそうなる。自分の甘さについて行けないと。

 だから……って。


「俺限界……ごめん」


 何かが吹っ切れた気がした。

 でも、それは半べそになって朝目覚めた時の事だった。

●何故か昨日投稿もしていないのに読者数が大変なことに…。少しビビリましたね…何が起きてるのでしょうか。謎であります。


●最近はネタ探しで投稿が遅れちゃいます。ゴメンナサイ。

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