第40話:好きの後に残るもの
笠也の手を、今度はいつ握る事が出来るであろうか。そして、いつ、自分は笠也以外の人を好きになれるのか……。
実穂は、高校生になってそれなりの青春を楽しみたいと思って3ヶ月。恋もしたいし、勉強もそれなりに……。
恋の行方は、少し複雑であるが……。
部活の先輩に手を出されてしまったが、付き合う事無く過ごした。
好きな人が出来たが、当時は笠也の事が忘れられなく、そのまま諦めてしまったり。
片想いの青春ではなくて、両想いの青春を望む実穂にとっては、諦める事や、手を出されるといった寄り道な恋道は要らないと考えを持った。
もう、ないとは思っている、笠也との思い出。
身が焦がれた、辛い日や嬉しい日。涙があって、後悔した日。
そんな日々を望むし、他の日々をも望む。
――自分を大きく包み込んでくれて…
自分の小さな手の平を見て、実穂はこぶしを作って見せた。
――将来は結婚。それを最終的に望む。それ以外の男は要らない。
少し…人格が変わったような一面もある実穂は、白黒はっきりとさせる事を気をつけていた。白でも黒でもない、灰色は実穂の中では質が悪い色。色がないに等しい。
面影を探し続けて迷った7ヶ月は、あれこそが色がない日々。
今更……だと自らでも思うのだが、実穂は結局は良かったのだと思う。
先輩に手を出されても、それなりに対応したし少しは自分のためになった。
入らぬ片想いをして、人の情の有り方を感じることが出来た。
どちらにせよ、自分はこのままでいいのだ。とも、思う。
恋人がいてもいなくても。好きな人がいてもいなくても。
どれも変わることはないのだ。
過去に木島が言ってくれた。
【お前の人生はお前にしか変えることが出来ないんだからな】と。格好つけて言ったのだと、すぐに気づいたが実穂はやはり木島はなんか凄い奴だと思った。
色々助け舟を出してくれたりしてるから、人間としては正解である。……正解ってなんなのか、実穂は知らないが。
「夫……欲しい」
まだ結婚も出来ないのに、実穂はぼそっと呟く。結婚は辛いものだと、知っている。アマチュアな恋しか描いたことがないけど、それを望む。
できれば……笠也が希望。
今までの最愛だった奴を一応キープ。
――他の奴と付き合ってもいいけど、手までだからね、それ以上いったらもう知らない
なんて言葉が、目の前にあるが。やはり、笠也は謎である。
20歳になるまでは、笠也は実穂を恋愛対象としては見ないらしいから、実穂は自分が選ぶ恋愛対象と恋をする。そう決めた。
で、ただいまフリーという、寂しげな結果。
青春のせの文字もない、日常。つまらないと言えないが、毎日が疲れる。
惹かれる男の人はいるのだが、今一、ピン!とこない。
惹きに惹かれて、実穂を虜にしてしまうそんな恋……というか、片想い。
「気長に待ちますか、これは」
早くしないと、20歳になってしまう。と、心でそんな未来をもてあそびながら、毎日を実穂は過ごしている。
――好きな後に残るもの。それは、最高な思い出と次、恋をするときに重要な役目がある後悔。そして、一途に誰かを想う人間のあり方。
実穂は一年前のことを思いながら、学校の階段を登った。
クラスには数少ない友達が、実穂のことを待っている。
その中に、惹かれる男子はいないが。
END
●これで本編は終了です。




