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大好きな彼の背中  作者: 宵賀
2章:過去編
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第4話:初めての笠也宅


 過去編では少し笠也との絡みシーンが出てきます。

 危ない表現はありませんが、親密度が高くなるにつれて危なくなるかもです←



 付き合い始めてから少しして、初めて笠也の家に行ったのはよく晴れた部活帰りだった。

 独りで道路の端っこを歩いていると、スタスタと同じ学校のジャージの人に抜かられたと思えば、瞬時にその人は大好きな笠也だと思った。


「どうして? 残って部活してなかったけ?」

「うん? 部活してたんだけどさぁ…本当は実穂と一緒にいるべきじゃないのかなって思ったの」


 その言葉を聞いて実穂は嬉しかった。今、一緒にいることも嬉しいのだが、部活よりも自分を選んでくれた事がまず嬉しかった。

 内心、部活の行きは一緒に行ってたからてっきり、帰りも一緒だと思い込んでいた。

 が、彼は残って部活をするといってたので少し寂しかった。


 でも、もう実穂の家はすぐそば。

 すぐに帰らせたら悪いので少し雑談をすることになった。


 笠也とはいろいろな話をした。

 こちらを向いて笑ってくる笠也の顔を独り占めしているのと、2人きりしかいないこの小さな場で楽しげに会話を交わす心地よさが、自然と実穂の笑顔の源になる。


「あ、うちに来る?」


 会話の途中で笠也がそう言った。

 聞けば今日は父母共にいないらしくて、開いているらしい。

 実穂は急いで着替えて、笠屋と共に家に向かった。


 実穂の家から笠也の家まで、少し遠かった。最低自転車で10分はかかるぐらいだが、歩いているためか20分ぐらいかかってしまった。

 笠也の家は大きなマンションで、県境の川沿いに面していた。

 エレベーターを使い5階へ。

 ドキドキを胸に持ちながら、今度は屋上の階段で話しをした。


「とっても見晴らしがいいね。しかも川が目の前にあって綺麗だよ」


 すっかり360°見渡せて、花火には絶好の場所。

 実穂はさらに笠也と体の距離が縮まった事と、誰もいない緊張感、それに目の前で笑っている彼の顔を直視できなくて少し焦った。


 普通に話している中、少しお互いの手が触れ合った。と、思えば、笠也は少し強引に実穂の手を取って、手をつないだ。

 実穂はもう心臓はバクバクのドッキンドッキン。

 手をつないでいるから鼓動が分かってしまうのではないかって思ってもいた。


 指を交差させて、これが恋人つなぎかぁ~と心と体で嬉しがっていると、つないでいる手から何か少し伝わってきた。

 笠也は実穂に信号を送るように、間隔を置いて手に力を込める。

 実穂も手に力を入れて同じことをしてみた。


「俺、初カノなんだよねー」


 嬉しそうに言う笠也。

 そんな彼を見ていると、手をぐいっと引っ張られ、今度はぐらりと視界が変わった。

 今まであった川の綺麗な景色が階段の白い色一緒に変わってしまったのだ。


 何をされているのか、気づいたときには笠也が実穂の頬をつんつんしていた。

 誰がどう見ても分かる膝枕(男女逆バージョン)である。


「柔らかいね、実穂の頬」


 見ている角度が違うからか、笠也の目はさっきよりも優しくなっていた。

 ぼーっとしてしまっている実穂の体勢を戻し、また手をつないで、そこで1時間ほど話していた。

 その時、初めて笠也が彼氏でよかったと心から思えた。


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