第37話:恋と愛の違い
――君は僕をあんまり必要としてないでしょ?
いきなりメールで佐々木にそう言われた。
実穂は「は?」としか、言いようがない。
「え、何。なによこいつ。うわ、まじで?」
急に気持ち悪くなって、実穂は携帯を投げる。
やっとの思いで高校生になった実穂は、これからが佐々木との恋愛は本番だと思っていた矢先。
こんなメールが送られてきた。
これは……佐々木からの文句メールだろうか?
実穂は首をかしげながら「なんだお前?」と、聞いてみる。
――いや、なんでもない。忘れて。
「忘れられるわけがないだろうがッ!」
机をドン!っと、実穂は拳を下ろす。
上にあったコップが、ゆらりゆらりと水面が少し動いた。
――いや…本当に忘れて。
この時、実穂は裏で悟った。こいつ、何か隠していると……。
言っちゃ悪いが、実穂は佐々木よりも恋愛体験は上。相手のこんなメール、裏があるに違いない。
実穂はすぐさま佐々木に電話をして、後日この話の詳細を聞くことに。
もしからしたら……っと、心のどこかで少し期待をした。
そして、その話しを聞く後日。
実穂は佐々木を追いに追い込ませ事情聴取を開始。
「この前の、聞かせてくれる?」
脳裏では、自分が刑事、佐々木が犯人役のどこかの刑事ドラマがスタートした。
佐々木は、少しためらいながらも話し始めた。
「あのですね……」
実穂は黙って、佐々木の話しを聞く。
佐々木はこう言った。
自分は皐月山の彼氏は務まらない。しかも、男友達が多いから自分なんて忘れられてしまうのでないか。
お前は可愛いから、きっとモテる。学校も違うから長くは続かないし、正直付き合えるなんて思いもしなかった。
実穂は「あぁ、なるほどね」と、考えた。
「用に、お前は自信がなくなったと?」
佐々木は黙り込む。
――ここが。
実穂は思った。
――ここが、違いだ。
「卒業する前は、すぐに終るとか考えてなかったけど……。今は…」
完全にネガティブ思考に走っている佐々木をよそに、実穂はグミを一口食べる。
一つ、佐々木にも分けてやり、実穂も口を開ける。
「いろんな事を経験しなさい。てか、佐々木がうちに内心のこと言ってくれたから、うちもいっていい?」
少し、自分も話したいと思った。
違いが…恋と愛の違いが分かってしまったから、もう、この想いを留める事は出来ない。
佐々木に承諾を得て、実穂は短めに言った。
「別れたい……でも、すぐじゃない」
「……え」
意外な事を言い出す実穂に、佐々木は少し驚いた様子だった。
「佐々木とは、友達のままがいい。……自分は最低だと思う、こんな答えだしちゃって。でも、別れたいのは、佐々木が彼氏を嫌とかじゃなくて」
「僕が彼氏だとだめ?」
実穂は言葉に詰まった。
佐々木が彼氏…というのは、まず、根本的からにして無理。それを伝えるのにはどうしたらいいのだろうか。
今まで友達だったのに、いきなり告白されて、自分は判断を誤って、辛い思いをして。佐々木も実穂も、どこかで同じ辛い思いをしている。
「佐々木には感謝してるけど。ごめん…」
これで、自分の間違った判断を取り消しする事が出来る。……けど、もう少し時間が要る。
実穂は佐々木の様子を伺いながら、話し始めた。
「別れるってさ、案外分からないものなんだよ。うちは笠也とで1回経験したから、分かるけど佐々木は初めてでしょ?」
うん、と、佐々木が頷く。
「けど、別れの形は人それぞれ。うちはね、佐々木と別れて佐々木をすっごく辛い思いをさせたくないの。きっと、今も悲しくて辛いと思う。だけど、その悲しみと辛さをやわらげたいの」
途中、実穂はかっこいい事を言ったはずだが、言葉が色々混ざってることに気づいた。
“けど”と“だけど”が混ざったせいか、佐々木は少し難しい顔をしている。
「あー、ごめん。馬鹿だからさぁ」
「え、大丈夫」
「つまり」と、実穂は改めて言い直して、佐々木に言う。
「今までとは変わらないように、でも付き合ってはない事にしたいって事。分かる?」
実穂は自分が言っている言葉を、佐々木がちゃんと理解しているのか不安になってきて確認を取った。
「今までとは変わらない?」
「そう、変わらない。これは、うちのわがままだと思うけど、うちはもう誰とも付き合いたくなかったのが、佐々木と付き合う前の気持ちだったから……。自分に嘘をついてまで人と付き合った罰って言うことなのかな」
やはり、自分で何を言っているのか分からない。
実穂はまた、グミを一つ食べて、また、佐々木に分けてあげて……。
「佐々木とは友達に戻るから、元カノとしての責任でしょ?元彼を辛い思いをさせなくする役目は」
●執筆中にも、自分が何を書いているのか分からなくなりました;; 実穂と同じ気持ちがございますw
●短く書いてしまわれましたが、佐々木君と実穂は1ヶ月の恋模様でしたw




