第30話:愛と想い出の形
タイトル、[愛してる]か[愛してた]かで迷っていました。
でも結局[愛と想い出の形]になりましたね^^
――そっか…捨てられちゃったんだな。
卒業式が一刻と近づく中、実穂はベッドに身を投げ出し、何もない天井を見て居もしない笠也の面影を探す。
やっぱり……と、心の中で複雑な味を噛み締めながら、ふと、机に閉まってある日記帳を取りだす。
パラパラと、何となく読めそうな字が10ヶ月ほどの日々を書きつづってあった。
付き合い始めた5月15日。
真っ直ぐに笠也の事が好きで、好きな部分なんて見当たりもしなかった。
一ヶ月が過ぎて少しした後。
桜子への想いが笠也の心を支配し一度別れた。けれども、復縁をして、実穂にたくさんの夢を見させてくれた。
暑い夏が思い出させる。
部活の行き帰り。一緒に同じ道を歩いた。
手をつないだ。
笑い合って、家で泣いた事も思い出の後。
夏の真っ盛りには添い寝をしたり、キスをしたり、身体関係をどっと楽しんだ。
異性の身体に興奮した、思春期の実穂に笑ってくれた笠也。
あの時、笠也は何を思っていたのだろうか。
きっと、顔を真っ赤にしていた自分が、天井の模様の上で浮かぶ。
そして、頭を撫でてくれた笠也のあの、優しい視線。
いつ見ても、その文面からでは幸せで。
これが過去の自分なのかと思わせる。
「好きだったなぁ、本当に」
ペラペラとページ数を増やすごとに、自分が描いてきた恋模様が曇ってゆく。
3ヶ月の記念日に、祝うことなく別れたあの日。
涙を一杯流したあの夕方。
楽しかったと、思うことが出来たのだろうか?
今ではこんな形でしか幸せだった自分がいない。
辛い事も楽しい事も、自分の全てがここに書いてある。
人が感じる色々な情を、笠也は独りで実穂に教えてくれた。
「“愛してる”」
そんな言葉、口で言うのが難しかった。
思っていたけれども……3ヶ月の日に言おうと考えていた。口で言おうと考えていたのに、涙で言えなかった。
「せっかくなら、祝って欲しかった。それから、別れを切り出してもなぁ」
日記を元に戻して、ベッドから身を起こす。
カレンダーを見て、卒業式は3月9日。
卒業式が終ってから2日間、ボランティアがあって忙しい。
今日は3月4日。
ボランティアの準備はもう終って、あとは卒業式……。
重々しいような卒業式がありそうな予感が、実穂には何となくしていた。
●嫌な予感がする、卒業式……。はい。もう、章名どうりですね。何が起きるのか……。続きをお楽しみ(。・ω・)ノ゛
●なんだか、最終回みたいな文章になっていた気がします。それほど意識がラストに向かっている事ですね^^*




