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大好きな彼の背中  作者: 宵賀
1章:実穂の想い
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第3話:メールが起こした誘い

 手首の痛みを感じながらも部活を引退した実穂は本当に笠也と縁が切れている日々を送っていた。

 ごく稀に笠也からメールが来るが返信はしないためか、もう1週間はメールは来ない。

 それに学校にいてもこちらは無視状態なので、なにも衝突する事がないが、とある一通のメールからまた笠也との関わりを思い出させてしまった。


 それは、ぼけぇーっとテレビを観ていた時であった。

 実穂は勉強もしないのに、側にあった教科書を何となく手に取ると、そこから自分の携帯がするりと落ちてきた。

 携帯のお知らせランプが点滅していたために画面を開けて何かと確かめる。


「メールじゃん、しかも……」


 送り主は笠也から。いつもは内容も見ずに消去してしまうが、ボタンを連打したためメールが開く。


――木島から聞いた、実穂、手首切ったってほんと?


 むっと、脳裏に赤い色の感情が溢れ出てくる。

 木島というのは、去年実穂と同じクラスだった男子で2年になって初めてアドレスを交換した人。

 しかも同じ部活だったために、仲はそこそこ良い。


 そんな木島に今回の小事件を相談して、自傷行為を言ってた事はすっかり忘れてしまっていた。

 でも、笠也は関係がない。

 あれは家庭的な問題である。

 どうして木島は竜也に言っててしまったんだろうか。


 仕方なくメールを返信する実穂。

 送ってからすぐに返信が返ってきた。


――なんでそんな事したの?


 なんて返信の速い奴なんだと思いながらも、「関係ないじゃん」と、冷たく返信を送る。

 久々のメールなのにこんな風でいいのかと、心のどこかで思いながら携帯を画面を見てはボタンを押すの繰り返し……。


――人を心配させて何にも良い事はない。命を大事にしない奴は嫌いだ


 悪いけど、こっちの方が先に嫌いなんですけどね。

 って思った実穂。でも、そういう風にメールは送らず、「関係ないってば」っと返信。


――もうそんな事しないで

 

 「わかったってば」


――明日うち来れる?実穂の顔が見たい


 急な話し転換と、自宅への誘いに実穂は思わず手を止めた。

 笠也は何を考えているのだろうか、そしてどうしてそんなこと言ったのだろうか。


 本来ならずっと会いたかったし、話したかった。

 でも、今の実穂にとって竜也にどんな顔を見せて会いに行けばいいのだろうか。

 返信を待たせると悪いので「何時?」と返信。


――1時に集合。俺、塾あるからまたな(^-^)ノ


 と、話しを強制終了。

 しかも顔文字付き。

 どんだけテンションが上がってるんだよ…と、考えながらも心に渦巻く気持ちは押さえ込まずにいられなかった。


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