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大好きな彼の背中  作者: 宵賀
5章:竜巻
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第25話:新しい友人

 ブーっと、手の平で携帯のバイブが鳴る。

 メールの送信主は、なんかよく分からないけど友達になった佐々木。

 いつも笠也に引っ付いているから、話してみるとそう面白い奴だったって言うのが印象である。


『皐月山は受験ってどう思ってんの?』

『え?めんどくさい他愛もない人生のイベント(笑)』


 つまんないメールのなか、こんな事を呟きながら実穂は、クレヨンを厚紙の上を走らせる。

 厚紙というのは自己表現活動に使うもの。

 やっとイメージが固まったから、紙芝居方式で書いてみようと思い立った。


『イベントですか~なかなか面白いこと言いますね。僕なんかはなくてもいいものかと。』

『うん、そう。なくてもいいね』


 佐々木とのやりとりが、何故か超めんどい。

 何かものを言う時、遠回しになっているためか、実穂にはじれったく思えた。

 だから、返信をしたら携帯をぼふっと、ベッドの上に投げる。

 これだったらちゃんと紙芝居造りに集中できる。


――見出しは簡単に。色使いは穏やかに済まして……


 昨日願書提出に行って、やっと実穂には“受験”が目の前に現れた気がした。本番は一週間後。

 紙芝居のための作文用紙には、もう文章が書き入れている。

 が、添削がされていないのが少し問題である。

 下手な文章で落とされてしまったらたまったもんじゃないし、取り返しがつかない。

 気が進まないが、明日でもいいから担任にこの作文を見せなくては。


「あ、音楽でも聴こう」


 まだ表紙に色を付け始めて数分。実穂はスピーカーを通してクラッシク曲を流し始め、最初の曲はテンポが速い『熊蜂の飛行』が流れ始めた。

 この曲はさりげなくイライラした時によく聴くので、再生回数が一番高い。

 でも、これはシャッフル再生な為、再生回数は加算されなくなっている。


 曲数が進むごとに、実穂の周りの時間と紙芝居の紙の枚数、実穂の疲労度が積み重なってゆく。

 明日も学校がある。……しかも、嫌なことに集会が朝から。

 実穂はチラリと時計に目を配ると、午前1時30分を過ぎていた。

 予定をオーバーしてしまわないうちに手早くクレヨンと紙芝居を片付け、丁寧に机の真ん中に置くと、いそいそとベッドへ足を滑り込ませる。


「……冷たっ!」


 ピッと、電気を消すと冷たい布団に抱かれながら足をこまめに動かし、なんとしてでも熱を作ろうと努力する。

 1月の夜の気温は10℃にも満たない。

 寒い寒いと、心の中で呟きながら、豆電球だけがついた部屋で実穂は足を動かす。


 さっきまで寒さ対策の厚手の服を来ていたが、布団に入るときは邪魔なので脱いでしまう。

 それがなくては、冬は乗り越えることが出来ない。

 でも、それがあったら寝るときに邪魔になってしまう……。


「もう……なんでこんなに寒いんだし」


 ぼそりと愚痴をこぼしながらも、さっき投げ捨てた携帯を手に取る。

 やはり、佐々木からのメールが一件。


『いや~もうこんな時間ですね。僕はもう寝るとします。では』


 一方的な終り方だなぁと、心のどこかで思いながら携帯の電源を落とす。

 モソモソと布団中で動きながら、実穂は机の上にある目覚まし時計をセットする。


 こんな時間に寝てしまうと、きっと朝起きるのが大変だからいつもよりも10分遅めに目覚ましを掛けてみる。

 チチチチ…と、秒数が重なる音を聞きながら、実穂はそっと目をつぶった。



――今日は寝坊しないで、朝ご飯食べて、帰ってきたら……


 もう実穂は睡魔に意識を渡していて、帰ってきてからしたいことを考えてはいなかった。

●この話を執筆しながら、AKB48の【フライングゲット】を聴いていましたw

熊蜂の飛行もいいかなって思ったんですけど、さがしませんでした((


●新しい人物が実穂と接触しましたねw佐々木君です☆

のちのち、この佐々木君はいろんな事をやらかしてくれますよー。

後半の影メインキャラですね。

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