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大好きな彼の背中  作者: 宵賀
4章:急がしい12月
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第18話:呼び出された忙しい日⑥

 数学が終ってから、壁掛けの時計に視線をずらすともう2時になっていた。

 やりたくはない数学のくせに時間を経つのを忘れていた実穂は、そんなに集中してたのかと、驚く反面、教えてもらった嬉しさで少し数学への見方が変わった。

 というのは、笠也あ教える数学は丁寧で教えやすく、問題が出来るごとににこっと、こちらを向いて微笑みかける。


 子供は褒めて育つ。


 確かそんな言葉があったような、なかったような……。

 重要な事が頭に入っているのかどうかは関係のなく、まずは“一応”数式及び問題が解けたことを実穂と笠也は喜んだ。


「休憩しよ、きゅーけー」


 飽きたと言わんばかりの声で、実穂は持参したバックの中からポテトチップス、通称ポテチ(塩味)を取り出す。

 おやつの時間は後少し先だが、自分の勉強道具をさっさと片付けてしまうと、笠也が用意してくれたお皿の上に実穂は袋を開けたポテチを豪快に入れてみせる。


「美味そうだね♪」

「そうだね」


 きっと、実穂は自分の一番の欲は食欲、次に性欲、そしてわずかの差で睡眠欲となっている。

 既に勉強を終えてのご褒美をポテチ以上にこれからを心待ちにしている。


 目の前にオレンジジュースがコップ半分ほどに注がれるのを見ながら、実穂は早速一口ポテチを食べ、絶句と言わんばかりに次々にポテチに手を伸ばす。

 パリパリと口の中で塩の美味しい味と、渇いた喉を潤してくれるオレンジジュースに笠也と乾杯した。


 美味い美味いと、実穂は口ずさみながら手をお菓子に進めてゆく。

 お菓子がなくなるスピードはあっという間で……。


「実穂食べすぎ、もうお終いね」

「やだー」


 まだ皿の上にポテチ等の豪華なお菓子―チョコやらクッキーやら―が残っているのに、笠也は皿を上げた。


「あ……」


 目の前から消えたご馳走を目で追いながら、寂しさが残る心を自分自身でそっと励ます。

 食べたかった……全部。

 ……食べたかったのだ!


「食べたかったのぉ」


 悔しさ一杯の目で笠也をキッと睨んでやるが、笠也はそんな実穂をなだめるように言い聞かせた。


「俺も勉強しなきゃなぁ。今度は実穂が俺に教えて?」


 実穂の返事を待たず笠也は実穂の手を取って、リビングを後にした。

 いよいよ実穂の第二欲が高鳴りを始めた。





 再び布団の上に寝かされると、実穂は胃の中で今さっき食べたものが混ざる感覚と吐きそうでそうではない感じがして、すぐに起き上がった。

 ポテチを最後まで食べたかった……というのが、本音だがあそこで全て胃の中に入れてしまったら、次の楽しみが楽しみではなくなってしまう。


「苦しい……」


 はははっと、笑って見せるが、笠也は少し困った顔をする。


「しばしのハーフタイムを下さい」

「仕方ないなぁ」


 ふぅふぅと、数分の深呼吸をすると胃の中のものは徐々に原形を崩し始めて、実穂の胃はスマートに戻ってゆく。

 その間、笠也は待ちきれないという素振りを見せながら、座っている姿勢ですでに、自分の腕の中に実穂を仕留めていた。


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