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大好きな彼の背中  作者: 宵賀
4章:急がしい12月
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第17話:呼び出された忙しい日⑤


 お昼は何だろうかと、実穂はリビングにある椅子に座っていると、バックに入っている携帯が高らかと鳴り響いた。

 着信はお母さんから。

 電話に出て簡潔に対応すると、なんと珍しく怒りもせずにさっさと電話を切られた。


「ご飯はね、チャオ・ハンだよ」

「言い方、人名ですか」


 ウケ狙いで笠也は発音を中国人のようにして見せた。しかも、「チャオ」と「ハン」で区切る意味が謎である。

 笠也は以外にも料理が上手い。手料理を頂くのは今回が初めてだが、できれば、彼女の間にそれを頂きたかった。

 丁寧に実穂の目の前に炒飯が入ったお皿を置き、その隣に水が入ったコップを添える。


「お客様、大変お待たせいたしました」

「ありがとう」


 笠也が見守る中、実穂はパクっと一口炒飯を口に入れる。

 炒飯を食べたのはいつぶりだろうか。懐かしいごま油の味と、ふっくらした卵が市舌の上で踊り、実穂の頬は自然と上に上がる。


「お味は?」

「美味しい、とっても!」


 感想を聞き終えてか、笠也もいそいそと実穂の隣に自分の分の炒飯を置き、食べ始める。

 実穂は「美味しい」と口ずさみながら、あっという間に自分の分を平らげ満腹となった。

 その間にも笠也は何かを独りでに呟きながら、炒飯を食べる。


「さっきから何を話してるの?」

「え?……あぁ、味がなんか微妙だから」

「味?」


 笠也は将来料理屋を営む夢を持っている。もちろん、自分が店長の。

 だから高校も料理専門校みたいな所志望で、もう2年以上は料理と隣り合わせの生活らしい。


「油っこさを出さずにしたいんだけど……」


 残念だが、女の子でも実穂は料理の事は勉強の以上に分からない。

 実穂は眉を寄せ、口を閉じた。


――料理……勉強しなきゃダメなのか…


 すっかり黙ってしまった実穂を隣に、笠也ははっとすると申し訳なさそうに謝る。

 お皿は自分で下げ、布巾を持ってくると今まで自分等がいた所を入念に拭く。


「数学やるね」

「どおぞ」


 皿を洗っている笠也をチラチラ気にしながら、数学の問題を真面目に解いてみる。が、分かるはずもない。分かったとしても解けやしない。

 数学だけは寝まいとしていたが、気づけば授業終わりのチャイムで起こされる。

 だから数学の成績はまぁ……よろしくはない。


 勉強そのものに飽きてしまった実穂はシャーペンをノートの上に置き、頬をぺったりとテーブルにくっつける。

 数学の集中力の無さは人並み優れている実穂。


「実穂が洗い物したかったなぁ」


 笠也は実穂に何もさせてくれなかった。将来のこともあるから仕方ないが、やはり、じっとしているのは何か悪い。

 あくまで、そう言ってみる。


 が……。


「だめだめ、実穂は勉強しなきゃいけないんだから。……ってあ、実穂。体起こして!」


 キュッと、蛇口を閉める音が聞こえると、笠也は実穂の隣に座り、数学の手ほどきを教えた。

 これから数時間、実穂にとっては地獄の時間となった。


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