第15話:呼び出された忙しい日③
笠也の大きめなTシャツと少し長いたん短パンを着てみると、自分の体のサイズに服が合わないためかなり服はぶかぶかだった。
なんだかまるで、全身笠也に抱きしめられているような感じがする……。
容姿を気にしながらも脱衣所を出ると、ほんのりリビングの部屋の中は暖かかった。
12月の雨は相当寒いから笠也はきっと、暖房をつけたのだろう。エアコンのスイッチがついていた。
「お風呂上りの実穂……髪を乾かさなきゃ、風邪引くよ」
「そうだけど……」
髪を乾かせと言われても、どうしようもない。
実穂は湯上りの心地よさで気分が上がってきてきた。
「風の通り道に座って。乾かしてあげる」
「いいよ、いい」
笠也に手をと取られ気分は有頂天に達した。
ちょこんと、実穂を風通りの良い場所に座られ、どこからかドライヤーを持ってきて間もなく後ろから聞きなれた音が聞こえた。
濡れていた髪を触れられ、何となく実穂はもっと心地よさを感じた。
丁寧に触れられている髪は徐々に乾いていき、5分もしなくなるとすっかりサラサラした髪に戻っていった。
「どお?」
「うん……なんかちょっとぉ」
今度は睡魔が襲ってきた。
昨日の夜は布団に入りながらゲームしてたり、メールしてたり時には勉強をしてたりと、5時に寝たから、実穂の体はスタミナを尽きていた。
睡眠は十分ではなかった為、今更になって押さえつけようもない眠気がやはり襲ってくる。
「勉強しないで、先寝ちゃおっか?」
顔を覗きこまれても、反応できない。むしろ、実穂は笠也に甘えてしまいたい気分。
そんな気持ちが先方に通じたのか、すでにウトウトし始めている実穂を笠也は優しく抱きしめてくれた。
「とても眠そうだね、少し歩ける?」
「うん……」
もう、何も考えられないし、何も出来ない。
実穂は最後の力を振り絞る感じで足に力を入れユタユタと歩く。横になるまでの道のりが、一歩一歩長い気もした。
笠也の部屋は、玄関からすぐの右側の部屋。
リビングは廊下の先にある、そこから超スローペースで歩いていると………。
「あ!実穂、まだだよ、気を抜かないで!もう少しだから」
独りでにこけてしまった。
遠くで笠也が焦りながらも、倒れそうになった実穂を焦りながら立たせようとする。
掴まれていた二の腕にかすかな痛みを感じる気もするが、もう気には止めてられない。
「ほぉれ、着いた着いた。寝ましょう?」
布団に寝かされ、正面で抱き合うように寝かされる。
額に笠也の広い胸をくっつけ、笠也が側にいてくれていることを肌で実感する。
今まで慣れ染んできた笠也の匂いに包まれ、自然と笠也を抱きしめる。
「お休み、寝てても良いよ。傍にいてあげるからね」
笠也の優しい声が耳元で聞こえる。
これもまた、慣れ染んできたものだから、今までよりもずっと一緒にいたいと思ってしまう。
あぁ、勉強しに来たのに……。
笠也がこんなに近くにいると、頭がおかしくなっちゃうよ。
本当に私は……。
薄れる意識の中、笠也が実穂にキスをした感触が唇と脳裏に渡った。
頭を抱きかかえられ、実穂は睡魔に意識を渡した。
本当に好きなんだ。




