第13話:呼び出された忙しい日①
この章は結構長いです(ll'→д←`;困)
惚気シーン満載なので、50%創作と50%リア話です。
やっとゆっくりできる、最初の冬休み……。
実穂は再び変な夢を見た。
今度も笠也の話だが、何故か胸は痛くならない。むしろ、苦しかった思いが軽くなっていた。
現実でも夢の中でも、笠也の存在に慣れてきたのだろう。
笠也とは“友達”という関係で今を過ごしているから、苦しくなる事は少なからずない。
「さて、今日はどうしましょうか~」
うんっと、背筋を伸ばしベッドから一番近い窓に手をかけ、カーテンを開ける。
綺麗な朝の光がぁー……と、実穂はそれを期待していたのだが、どうやら冬休み初日は曇りらしい。
「厚い雲がよぉ空一面にありますねぇ」
間の抜けた独り言を呟いて、ベッドから降りる。
家の中は物静かで、家には誰もいないことを悟る。
♪~~♪~~
どこからか携帯の電話着信音が鳴った。いつもは電源を消して寝ているのだが、昨夜は消し忘れたらしい。
急いで携帯を探し出して、電話に出る。
「もしもし?」
「おはよう!」
「あ、はい」
朝から電話をくれる奴は誰かと思えば、本日も夢に出てきた笠也。
実穂は黒い雲を見ながら笠也からの用件を聞いた。
「なんか親がいないからまた来て。勉強教えてあげるしお菓子あるし…ね?待ってるからさ!すぐ来て!じゃあね☆」
ぶつっと、実穂は電話が切れる音がして、ようやく朝という感じがした。
寝起き早々から呼び出されたのか…と思っていたが携帯に表示されている時計を見ればもうとっくに8:30となっている。
寝起きの状態から「すぐ来い」と言われて、実穂は寝巻きのままでバックの中に勉強道具を詰め込み着替えをする。
今日は雨が降りそうな天気だから、ジーパンに七部の厚手のTシャツ、一枚を着て急いで髪を解かし、歯を磨く。
ここまでで軽く10分は無駄となった。
早くしなければきっと、笠也の機嫌が損ねてしまう。
鏡を見ながらふと、歯ブラシを持っている右手の動きが止まる。
異様に胸騒ぎがする上に、前にも体験したような不思議な感じがする……。
そう……これは!
彼女だったときに感じてた興奮と、抑えようもない嬉しさが込み上げた、懐かしい感情。
「そっか…友達でも笠也の事は好きなんだ……」
悲しいような嬉しいような、後悔の感情が次に入ってきた。
付き合っていた時はデートなんかに行っていないが、今となってはいい思い出だ。
内心、行きたかった気もするが、服はないしお金もないし……。
一緒にいられるだけで満足感があったから、別に後悔はない。
実穂は心の中でため息をひとつつくと、口を濯ぎ玄関へと向かった。
朝ご飯は食べる暇さえもない。
今は一秒でも多く笠也に会いたい一心で暗い空の下、実穂は急いで自転車のペダルを動かした。
冷たい風が頬に当たる中、実穂の目は空色よりも明るかった。




