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大好きな彼の背中  作者: 宵賀
4章:急がしい12月
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第11話:夢にまで出てくる笠也


 やめて。

 もうこれ以上何もしないで……。



 寒い寒い12月。

 実穂は部活を引退して、毎日やりもしない勉強と向き合って時間を無駄に使っていた。


 誰もが受験勉強に励む中、しかし、実穂は本当に勉強はしない。

 やれと言われてもやらない。

 素直にもなれない。

 ただ反発をするだけ。


 担任の先生も困っていた。

 実穂が勉強しなかったり、授業には参加するものの寝ていたり……。

 気が抜けない日々を、いつも気を抜かして過ごす。


 一言で言えば荒れていた。

 自傷行為はないものの、実穂を苦しめる“何か”が心身を蝕み、ぐったりとしていた。

 だから授業中も寝てしまったりしている。



――実穂…ほんと可愛い


 最近同じような夢を見ていた。

 夜になると、笠也が毎晩まぶたの裏に現れて、実穂と一緒にいる。


――いつまでも一緒にいようね、約束だよ。


 笑顔で実穂に語る笠也。

 実穂はただ、その光景を見ていることしか出来ない。


――実穂が一番好きだよ、愛してる。


 あぁ、笠也はずっと前にそんなことを言ってくれた。

 好きだ、愛していると。


 でも。


 夢が覚めて、真夜中。

 ふっと目が覚めて、今まで見ていた夢を思い出すと、涙が視界を覆う。


 嘘だ、笠也は捨てた……私を捨てた。

 愛しているだなんて、甘い……。


 力の入らない手で拳を作る。それを両目に当てて、実穂は静かに泣いた。

 夢にまで自分は笠也に助けを求めている。

 笠也はもういない。


 現実を受け止めたくない、そんな意思が夢になっているのか、実穂は睡眠不足になった。

 母から睡眠薬を貰った夜はゆっくり眠ることが出来るが、それを服用しなくなると笠也は甘い言葉と共に現れる。

 実穂の精神と体を蝕む……。



「皐月、皐月山(さつきやま)ー、おきろぉ。おきろよ」

「………」


 大きく肩を揺すられ実穂はむくっと、机から頭を離す。

 また、授業中に寝てしまったようで目の前には担任が。


「ちゃんと起きてろ」


 それだけ言うと担任は黒板に向けて歩き出す。

 あぁ、最後の列だからって寝れないんだなぁ……

 実穂は重々しい体を起こし、残り15分の授業に参加した。


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