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これが、本当の本当に、私が予感に逆らって、この船に乗った理由だったのか、と私は、悟った。
私たちは、進化の時期に入っていた。
まず、意識が芽生え、それから、雌雄に分裂し、結婚して、子孫を作るようになった。
それ以後、過去の記憶が、蓄積されるようになった。
その後、私たちの意識は、ある程度、私たちとは敵対する存在だった、人類の意識にも通じていることがわかった。
だからと言って、人類との相互理解は、夢のまた夢。
人類の方に、私たちの意識を理解する能力は、育たなかった。
人類の仲間だと思える、ゴリラやチンパンジーとは、意思の疎通が、ようやくはかれるようにはなったけれど、彼らと人類の間にも、意思は通い合わないようだった。
人類というのは、自分以外の存在に対して、興味も関心も無いようだった。
「あなたの希望は、何?」と私は、海上に直立する存在に、通信した。
まだ、意識も形態も未発達な相手に、うまく通じるかどうかは、まだわからない。
人類とゴリラやチンパンジーとの間の、深い溝を思った。
この相手は、ゴリラやチンパンジーにとっての人類同様、進化してから間もない新種に思えた。
そういう新種は、まず、意識を実体化させる。
私たちの周囲には、今は無い、ネバネバした触手を、私に向かって伸ばして来た。
まだ、雌雄が別れているという意識が芽生える、前段階なのだ。
ただ、本能だけで、動いている。
その未開ぶりに、差別だとはわかっていたけれど、心底ゾッとして、反射的に、「その汚い物を引っ込めて!」と叫んでいた。
そう叫びながら、私の周囲にいる、文明化されたオスには感じたことのない、ゾクゾクするような、オスっぽさを味わってもいた…
他の種族に対しては感じることのない、「吐き気がする」「醜い」という感覚は、同種のオスだから、感じたものだったのか…
私の意識の中に、雌雄に別れた直後の、先祖たちのゾクゾクする快感が、リピートされていた。
原始的に言えば、相手の野蛮さ、醜さにも関わらず、私は、恋に落ちたのだろう…




