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ナメクジラ  作者: まきの・えり


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8/10

 これが、本当の本当に、私が予感に逆らって、この船に乗った理由だったのか、と私は、悟った。


 私たちは、進化の時期に入っていた。

 まず、意識が芽生え、それから、雌雄に分裂し、結婚して、子孫を作るようになった。

 それ以後、過去の記憶が、蓄積されるようになった。


 その後、私たちの意識は、ある程度、私たちとは敵対する存在だった、人類の意識にも通じていることがわかった。

 だからと言って、人類との相互理解は、夢のまた夢。

 人類の方に、私たちの意識を理解する能力は、育たなかった。


 人類の仲間だと思える、ゴリラやチンパンジーとは、意思の疎通が、ようやくはかれるようにはなったけれど、彼らと人類の間にも、意思は通い合わないようだった。

 人類というのは、自分以外の存在に対して、興味も関心も無いようだった。


「あなたの希望は、何?」と私は、海上に直立する存在に、通信した。

 まだ、意識も形態も未発達な相手に、うまく通じるかどうかは、まだわからない。

 人類とゴリラやチンパンジーとの間の、深い溝を思った。


 この相手は、ゴリラやチンパンジーにとっての人類同様、進化してから間もない新種に思えた。

 そういう新種は、まず、意識を実体化させる。

 私たちの周囲には、今は無い、ネバネバした触手を、私に向かって伸ばして来た。


 まだ、雌雄が別れているという意識が芽生える、前段階なのだ。

 ただ、本能だけで、動いている。

 その未開ぶりに、差別だとはわかっていたけれど、心底ゾッとして、反射的に、「その汚い物を引っ込めて!」と叫んでいた。


 そう叫びながら、私の周囲にいる、文明化されたオスには感じたことのない、ゾクゾクするような、オスっぽさを味わってもいた…

 他の種族に対しては感じることのない、「吐き気がする」「醜い」という感覚は、同種のオスだから、感じたものだったのか…


 私の意識の中に、雌雄に別れた直後の、先祖たちのゾクゾクする快感が、リピートされていた。

 原始的に言えば、相手の野蛮さ、醜さにも関わらず、私は、恋に落ちたのだろう…



 

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