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その瞬間のオレの意識と肉体を、どう説明すればいいのだろうか。
瞬時に、オレは悟った。
オレの周囲のジェル共が、奇妙に戦闘的意志を失い、オレ自身も、他のことは何も考えられなくなった。
オレに意識が芽生えたこと、また、オレが、異常な速度でカッコよく走っていた理由が、今、オレの目の前に、けし粒ほどの姿を現したのだった。
オレが探し求めていた物は、コレだったのか。
なぜか、オレを走らせる。
なぜか、オレを呼び寄せる。
オレは、自分の取っている態度が、自分でも理解できなかった。
オレは、流線型のオレの身体が、最もカッコよく見える位置に移動し、水面上に、直立した。
何て、無防備な態勢なんだ…
ジェル共は、オレの身体の周辺で、伸びたり縮んだりし、その対象に向かって、触手を伸ばそうとしていた。
やめろよ、カッコ悪い、とオレの意識は不平を言うのに、実際のオレときたら、もっとカッコよく見せる術はない物か、と四方八方に、触手を伸ばしているのだ。
「あなた、誰?」とオレの意識に通信が来た。
ウウッ! とオレは、相手の魅力に、痺れた…
「オレは、オレだ」と答えたけれど、この答えが失敗だったら、どうしよう、とオレ本体だけでなく、オレの周囲のジェル共までが、ブルブルと震えた。
「見た目ほど、悪いヤツではないのね」という通信は、ますます、オレを痺れさせる。
オレの意識と肉体を…
なぜなんだ!!
「あなた、自分が何をしているか、本当に、わかってるの?
騒いで逃げ回っている人間のことは、どうでもいいけど、私のお父さんとお母さんを、海水で殺すつもり?!」
これは、この通信は、この存在は、オレにとって、悪魔に近い魅力だ。
通信を聞いているだけで、ゾクゾクする。
オレは、あまりの快楽に、ほとんど分裂しそうになっていた。
「今、分裂したら、ダメ!!!」
オレの意識がわかるみたいに、相手が言った。
オレは、グッと我慢して、自分が分裂するのを食い止めた。
そして、どう、オレ、偉いでしょ? という風に、相手の出方を待っていた。




