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ナメクジラ  作者: まきの・えり


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3/10

 走る、走る、走る。

 ついに、オレは、水面上に姿を現し、ジェル状物質を旋回させることによって、猛スピードで、水面の上を走ることができるようになった。


 これは、快適だ。

 空気抵抗の一番少ない、流線型のカッコいいオレだからこそ、できる芸当だ。

 誰に言われなくても、充分以上にりりしく、カッコいいことは、オレ自身が知っていた。

 ジェル状物質ごしに、身体に感じる風も、オレの誇りに色を添える。


 ああ、気持ちがいい。

 この世にオレ一人。

 この世は、オレのものだ、オレの思うままだ、という気持ちよさだ。

 それに加えて、スピードとスリル、それに、風。


 オレのスピードが少し落ちた。

 なぜか、スピードを落とした方がいいように感じる。

 その理由は、すぐにわかった。

 オレと同じように、水面を走る生き物がいたからだ。

 

 チッとオレは思った。

 この時の意識は、複雑だ。

 分析してみよう。


 オレは、自分だけが、この気持ちよさを知っていると思っていた。

 ところが、同じように、気持ちよさそうなヤツが現れたのだ。

 当然、カッコよさでは、オレの勝ちだ。

 相手のおバカ野郎は、空気抵抗を受けやすい、不細工な格好だ。

 ジェル状物質で、保護されているわけでもない。


 プッと笑いたくなったが、オレは笑えなかった。

 形態的に笑えないのだとは、その時、考えてもみなかった。

 一番腹が立ったのは、相手の超然とした態度だ。


 お前のことなんか、ぜ~んぜん、問題じゃないもんね~。

 関心ないもんね~~、という、クソいまいましい態度。


 オレは、怒った。

 というよりも、怒りという感情が芽生えた。

 で、オレは、わざと、相手に近づいてみた。


 すると、ボー、ボー、と叫んで、オレを威嚇するではないか。

 そうか、とオレは思う。

 オレに、勝負を挑んでいるわけだな。

 いい度胸だ。


 スピードでは、オレの勝ちだ。

 しかし、相手にも、何か、とんでもない戦力があるような気がする。

 一瞬でも気を抜いたら、この戦いに敗れるかもしれない。


 オレの誇りが、芽生えたばかりの意識の中の誇りが、地に、いや、水にまみれるかもしれない。



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