2
私には何となく、予感めいたものがあった。
この船に乗ってはいけない、と。
けれど、年老いた両親は、この船の旅を、非常に楽しみにしており、私の予感ぐらいのことでは、その情熱を冷ますことは、できなかった。
「死ぬまでに、一回、オーロラが見たいんや」と父が言った。
「噂には聞いてたけど、オーロラいうもんが、どんなもんか、一度、この目で見てみたい」
「そうや」と母も言った。
「私もお父さんと一緒。
友達が、自慢げに通信してきたオーロラが、どんなもんか見てみたい。
あんたの予感は、時々は当たるけど、三回に二回は、外れてる。
打率にしたら、3割3分3厘しかない。
それやったら、私は、予感が外れる方に賭ける。
もしも、その確率で、当たり! やったら、そら、しゃーない。
運が悪かったんや、と諦める。
あんたが一緒に行きたないんやったら、それは、あんたの自由やから、誰も止めたりせえへんもんねー」
ここまで言われて、絶対に行ったらアカンとか、私は、行かへんとは、言えないのが、私の性格だ。
私も、それほどまでに言う、両親の願いを叶えてやりたかった。
私達は、差別される側に立っており、いつ何時、命を失うかわからない境遇にあった。
友達から通信のあった、この船旅だって、天から降ってきたような、チャンスだった。
『みんなで、オーロラを見てこまそうキャンペーン!!』
何て、おバカなネーミング!! とは思ったけれど、両親が、『オーロラ』という呪文に金縛りになっていては、仕方が無い。
そして、私達は、旅に出て、本当に、大変な目にあったのだった…




