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ナメクジラ  作者: まきの・えり


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2/10

 私には何となく、予感めいたものがあった。

 この船に乗ってはいけない、と。

 けれど、年老いた両親は、この船の旅を、非常に楽しみにしており、私の予感ぐらいのことでは、その情熱を冷ますことは、できなかった。


「死ぬまでに、一回、オーロラが見たいんや」と父が言った。

「噂には聞いてたけど、オーロラいうもんが、どんなもんか、一度、この目で見てみたい」

「そうや」と母も言った。

「私もお父さんと一緒。

 友達が、自慢げに通信してきたオーロラが、どんなもんか見てみたい。

 あんたの予感は、時々は当たるけど、三回に二回は、外れてる。

 打率にしたら、3割3分3厘しかない。

 それやったら、私は、予感が外れる方に賭ける。

 もしも、その確率で、当たり! やったら、そら、しゃーない。

 運が悪かったんや、と諦める。

 あんたが一緒に行きたないんやったら、それは、あんたの自由やから、誰も止めたりせえへんもんねー」


 ここまで言われて、絶対に行ったらアカンとか、私は、行かへんとは、言えないのが、私の性格だ。

 私も、それほどまでに言う、両親の願いを叶えてやりたかった。


 私達は、差別される側に立っており、いつ何時、命を失うかわからない境遇にあった。

 友達から通信のあった、この船旅だって、天から降ってきたような、チャンスだった。


『みんなで、オーロラを見てこまそうキャンペーン!!』


 何て、おバカなネーミング!! とは思ったけれど、両親が、『オーロラ』という呪文に金縛りになっていては、仕方が無い。


 そして、私達は、旅に出て、本当に、大変な目にあったのだった…



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