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生まれたての天使

作者: 花丸鉛筆

 生まれたばかりの天使Aは、自分の使命を知っていた。

 西暦20××年2月17日水曜日の午前0時56分、地球がある回数で回った時、ある国のある地方のある一戸建てに住む老婆がベッドの上で老衰するので、その魂を回収しに行くのだ。


「人間の前に現れる時、光輪と翼をつけた人型の姿になることを忘れるな。てきとうな姿で現れた天使が幽霊に間違われてしまった事例もあるからな」


 いつの間にか傍にいた先輩の天使Bが、釘を刺すように思考を伝えてきた。

 ちなみに普段の天使は思念体で、人間には知覚できない姿をしており、意思疎通はテレパシーのようなものを使っている。


「なんで光輪と翼をつけた人型の姿が天使だと認識されるんですか?」


 Aは素朴な疑問を投げかけた。


「できるだけ威厳と神々しさを表した結果なのかもしれないが、わたしも詳しいことは知らない」


 Bの返答を受けて、Aは試しに光輪と翼をつけた人型の姿に変身してみた。


「これが威厳と神々しさを表した姿ですか。かわいくないです」

「かわいいかどうかの問題だろうか?」

「かわいい方が人間を警戒させないし、ウケがいいと思うんです」

「”かわいいは正義”か」


 Bは人間が使っていた言葉を引用した。


「でも、かわいくても、キューピッドと一緒くたにされた姿は全裸なので嫌ですし、他の好きな姿で現れて天使だと伝えるのはいけませんか?」

「それだと嘘吐きの妖怪か悪魔だと思われてしまうだろうから、やめておいた方がいい」

「翼が生えた猫なんてかわいいと思うんですけど、だめですか?」

「だめです」

「わかりました。いってきます」


 Aは一瞬で移動して、目的地に着く。

 月明かりの差さない部屋の中、ベッドの上で苦しそうに喘いでいる老婆がいるのをはっきり認識する。

 まもなく、老婆は静かに息を引き取り、肉体から魂が出てくる。


(よし、今だ。光輪と翼がついた人型……かわいくないし……やっぱり、えいっ!)


 Aは光輪と翼をつけた猫の姿に変身した。


「天からお迎えに上がりましたニャ」


 老婆はAの姿を見てハッとする。


「タマ!?」


 タマというのは老婆が昔飼っていた猫のことらしいと、彼女の記憶から察した。


「姿が違っていてもわかるよ。迎えに来てくれたんだね」

「う、うん!これから天国に連れて行ってあげるニャ!」


 老婆があんまり嬉しそうにしているので、天国の門に連れていくまではタマだということにしておこうとAは考えた。


 といっても、天国の門までの道のりは遠くない。来た時と同じく瞬間移動である。

 門の前に到着すると、すぐ横で天国の入国者名簿と門の鍵を持っているペテロが立っている。


「亡くなられた方をお連れしましたニャ!」

「名前は?」


 Aが老婆の名前を教えると、ペテロは名簿を確認してうなずいた。


「あなたの名前は載っている。入りなさい。」


 ペテロは鍵を差し込んで門を開いた。


「じゃあ、わたしはこれで……いや、また後で会おうニャ!」


 Aは老婆とペテロに何か追及される前に、サッと最初の場所へ瞬間移動した。


「その姿はなんだ?」


 だが、移動先にはBが待ち構えていた。

 当然、AはBに叱られたという。

掌編を書いてみようと思って書きました。

たぶん、続かないと思います。

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