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閑話.温泉女子会(第三者視点)

「ふにゃああああああ……いやされるにゃあああああ……」


 温泉に浸かり、背伸びをしながらミィが言う。


「ああ、ここの温泉は不思議と癒される。何かの力が働いているようだ」


 普段は急な敵襲に備えて気を張り詰めているリーフも温泉の中では気が緩むようで、文字通り羽を伸ばしてゆったりと温泉に浸っている。


「そうデスね……ワタシの分析によれバ、この温泉は魔力を帯びているようデス」


 レムが温泉のお湯を両手で掬い、じっと見つめながら二人に説明する。

 どうやらこの温泉はただの温泉ではないらしく、魔力を帯びていてそれが身体に作用して癒し効果を発揮しているようだ。


「魔力……か。まったく、ゴローもとんでもないものを所有しているな」

「確かにそうにゃー、こんな人のいない山奥なのにあんな大きな家も持ってるし、不思議な人にゃ」

「ワタシも驚きましタ。大きさもさることながラ、設備も充実していテ……とても個人の持ち物とは思えませんでしタ」


 ゴローの持ち家は部屋数10以上、台所、リビング、トイレ、更には食糧庫などなど……とても一人で住むような大きさの家ではない。

 更に広大な畑を持ち、近くには温泉があり、川も流れているので洗濯もすぐにできる。

 正に至れり尽くせりといった立地だ。


「こんなにすごい人にゃのに、人間の番がいないのも不思議にゃー」

「確かに、魔法も使えるし剣技もそこら辺の兵士よりはできる。普通の女性ならゴローを放っておかないだろう」

「実ハ、更に魔力量もかなりのものデス。それこそ、賢者か……それ以上の魔力をもっていマス」

「そんにゃに!?」


 驚きのあまり思わず立ちあがってしまうミィ。

 肌を隠すものは何もなく、猫らしいすらりとした流線形のボディが露わになる。

 もしゴローがここにいたのなら、思わず手で顔を隠していただろう。


「ハイ、ゴロー、ミィ、リーフの三人がワタシに魔力を供給してくれましたガ……ワタシの中にある魔力の9割以上はゴローの魔力でしタ」

「……嘘だろう? それだけ魔力を使っておきながら、ゴローは魔力切れを起こしていないのか……?」

「摩訶不思議デス……ゴーレムを起動するには、一線級の魔術師を10人以上は必要とするのですガ……」

「つまり最低でもゴローは魔術師9人分以上の魔力を持っている……ということか。ゴーレムのことは知っていたが、起動にそれほどまでに膨大な魔力が必要とは……」


 リーフがレムのコアを見る。

 そのコアは煌々と輝いており、充分な魔力が注がれていることを示していた。


「……なんか、知れば知るほどゴローってすごい人にゃ……」

「それほどまでに力を持っているのなら、人間社会でも相当な地位を築けるはずだが……」

「そんな人が山奥で畑を耕シテ、狩りをしながら生活しているのは理解不能デス……」

「私はゴローの番として釣り合っているのか……不安になってきた……」


 リーフがふと不安そうに呟く。

 それに呼応して他の二人が頷く。


「……でも、そんな力を持っててもそれを鼻にかけず、優しくしてくれるゴローがミィは大好きにゃ」

「そうだな、強い力を持つ者は力に溺れることも少なくない。しかしゴローはその力を表に出さず対等に接してくれている……命を助けられたのもあるかもしれないが、私もそんなゴローが大好きだ」

「ワタシはまだそれほど長く一緒にいるわけではないのですガ……幸せになって欲しいと言ってくれたのがとても嬉しいデス。ワタシたちは基本的に戦争のためだけに造られた存在ですカラ……」


 温泉という解放された空間だからか、皆のゴローへの想いも赤裸々に語られる。

 そして自分たちの気持ちを確かめられた三人は、顔を合わせて笑い合う。


「ミィもがんばってゴローに似合う番になるにゃ!」

「ああ、私も負けてられないな」

「ワタシもデス。絶対にゴローに似合う番になってみせマス」


 こうして、三人はゴローへの想いを確かめ合い、自分を高めていくことを決意した。




 しかし、あまりに話に熱が入って長風呂になり、三人とものぼせてゴローに迷惑をかけてしまったのはここだけの話。

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