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【完結】動物をモフモフするためにもらったスキルでなぜか亜人ハーレムができました!?  作者: SAK


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36.中央国

「いざ……ってなるとちょっと緊張するなあ」


 ゼファーの背に乗り、中央国(セントラル)に向かう途中で呟く。


『俺様を倒したゴローなら楽勝だろう?』

『ただ、何かしら罠は用意してあると思うわ……あの自信だったからね』

『その辺の不安要素を取り除くために準備したから大丈夫じゃろう』


 そしてアグニ、ティアマト、クロノスの三人も小さくなって同行している。

 亜人の子たちは、一緒に中央国に入ると戦闘に巻き込まれる恐れがあるので、今回は留守番をしてもらっている。


『見えたぞゴロー、おそらくあそこに来いと言っているのだろう』


 ゼファーが指し示す先を見ると、開けた平野に兵士や魔術師たちが整然と立ち並んでいる。

 その少し後ろには奴隷と思われる亜人の子たちが鎖でつながれて、一列に並んでいる。

 そして、その集団から離れてこちらを注視している女性が一人……おそらくそれが賢者なのだろう。


 俺は少し離れてゼファーから降りるとゼファーたちを待機させ、辺りを警戒しながら近寄って行く。


「なに、罠なんてないから警戒しなくていい。罠などなくてもすぐに決着がつくからな」

「あなたが……フードの男が言う賢者……?」

「そうだ。ひたすら魔導を探求していたらいつの間にかそう呼ばれるようになってね。四大属性全ての属性、全ての魔法を使えるようになった……君は感謝するといいよ、至高にまで練り上げられた私の魔法で死ぬことができるんだからね」

「くくく……賢者様に逆らうなど愚かなヤツ。一応褒美の亜人は用意しておいたが、無駄だと思うので一部だけ連れてきた。これで良いか?……さあ賢者様、中央国への反逆者の始末を」


 賢者の後ろに出てきたのは例のフードの男。

 まるで虎の威を借る狐だな……、実際に戦っているのを見た事がないし。


「では後ろに控える魔術師が下級炎魔法(ファイア)を天に向かって撃ったのを合図として戦闘を開始しようか」

「ああ、分かった」


 俺と賢者がにらみ合う。

 そして、数秒後、天に向かって下級炎魔法が放たれる。


 先手必勝! まずは【岩石生成】で相手の動きを封じ込め――。




 ――スキルが……使えない!?


「何もしてこないならこちらから行くぞ! ……最上級火魔法(ギガファイア)!」


 スキルを使えず、一手遅れた俺に、賢者の最上級火魔法……全てを飲み込むような巨大な炎の塊

が襲い来る。

 そして、防御にもスキルを使えず、俺の身体は巨大な炎に包まれてしまう。


「くくく……さすがは賢者様! お前は相手をする者を間違えたのだよ! ……まあ、もう灰になって聞こえてないだろうがな!」


 フードの男の声が響く中、次第に炎は消え失せ、視界が開けていく。


「なッ……!」

「ば、バカなッ! 直撃したはずだぞ!?」


 しかし、俺の身体どころか、衣服にすら傷一つない。


「炎耐性持ちか……!? それなら……最上級水魔法(ギガウォーター)!」


 次に巨大な水が槍の形を成して、俺の身体を突き刺そうとする。

 しかし、それはやはり俺には効かない。


「ギ、最上級土魔法(ギガストーン)! 最上級風魔法(ギガウインド)ッ!!」


 同じように、土魔法と風魔法が賢者から放たれる。

 しかし、それらも同じように俺には無効だ。


「ば、バカな! バカなッ!! 全ての属性に耐性を持つ人間など……!」

「……さて、それじゃ今度はこちらからいいかな? 最上級火魔法(ギガファイア)……」


 俺は手を空に掲げて、魔法を発動させる。


「な、なんだそれは……私の知っている魔法ではない……」


 俺の発動させた魔法は、賢者の発動させた魔法の十数倍は大きい炎の塊を作り出す。

 その圧倒的な質量からくる熱気で、賢者の後ろに控えていた兵士たちや魔術師たちが次々と逃げ出していく。


「ひっ……! や、やめ……」

「『感謝するといいよ。至高にまで練り上げられた私の魔法で死ぬことができるんだからね』……だったかな? その言葉、そっくり返すよ」

「や、やだ……いやだ……私、死にたくな……」


 死が眼前にまで迫っている。その恐怖が賢者を包み込み、膝をついて地面に倒れ込み、ぴくりとも動かなくなった。

 恐らく恐怖で気絶してしまったのだろう。


「……ちょっと脅し過ぎたかな。こんなもの発動させたら、後ろの亜人の子まで巻き込むから発動させるはずないのに」


 俺は魔法の発動をキャンセルすると、スキルが発動できるか確認した。

 しかし、やはりスキルは発動できないようだ。


「ゼファー、やっぱりスキルが発動できないみたいだ」

『うむ。どうやら後ろの亜人たちが原因のようだ。スキルは使用者の意識がないと発動できないからな』


 やはりみんなが言うように罠があったようだ。

 褒美と称して亜人の子を戦闘場所に連れ込み、自分たちに有利になるようにスキルを発動させたのだろう。


「この作戦を画策したのは……お前だな?」

「ひっ!?」


 俺はフードの男を水と土魔法で拘束する。


「ああ、ちなみに逃げようと思うなよ? 転移魔法の移動先は一つしか設定できないらしいから、おそらくあの国の中だろう? 逃げたら……ドラゴンが国ごとお前を滅ぼす算段になってるからな?」

「わ、分かりました! 約束通り亜人をどれだけ連れて行っても構いません! だ、だから命だけは……」

「もう二度と亜人に関わるな! もしまた同じようなことをするなら……分かってるな?」


 俺はそう言うと、後ろに控えているゼファーたちに目を向ける。

 ……こういうことにみんなを使いたくはないのだが、今回はみんなも同意してくれている。

 やはり中央国の人間たちに恨みがあるからか。


『ふん……ゴローは優しすぎる。俺様なら亜人以外は全員殺すぞ』

『それには私も同意ね。でも私のゴローがそう言うなら、生かしておいてあげるわ』

『まあ……いずれこのような国は亡びるじゃろう』


 ……みんな言いたいことを言ってるな。相当鬱憤が貯まってるのが分かる。


『さて、ゴロー。亜人のみんなを連れて帰るぞ』

「ああ、それじゃみんな、よろしくお願いするよ」

『帰ったらデザートだぞ。疲れるから大量に頼む』

『俺様もゴローの作る料理は美味いから好きだぞ』

「もちろん、腕によりをかけて作るよ。まずは亜人の子たちだね」




 こうして、俺たちは中央国での決闘を終え、1000人を超える亜人の子たちを連れ帰ることになった。

 国の規模の大きさから考え、充分な食料などの用意はしていたけど、それでもみんなで手分けしなければ迎え入れられなかっただろう。

 中にはかなりやせ細った子や、心が壊れかけている子までいて、しばらくはこの子たちの心身のケアが中心になっていくだろう。

 いつか、この子たちも元通りの生活ができるようになればいいな……そう思うのだった。




**********




『ゴロー、連れてきたわよ』

「ありがとうティアマト。さ、ここにかけて」


 俺は椅子を引くと、ティアマトが連れてきた子に座ってもらう。

 彼女はいわゆるケモノ寄りの種族で、全身が毛でふさふさの犬のような子だ。


「ア……アノ……ワタシ……ワルイコト、シタノニ……」

「大丈夫、君は悪くなんてないよ。自分の命を守るため……俺に【能力無効化(スキルキャンセル)】を使ったんだろうし」

「ハイ……ワタシ、ソノスキル……モッテマス」

『歴史上でもほとんど見ないレアスキルよ。……スキルが強いこの世界で、それを無効化するなんて強すぎるからね』


 そう、賢者との決闘の際に俺がスキルを使えなかったのはこの子のスキルが原因だった。

 そして、俺はこの子のスキルにとある使い方を見出したのだ。


「あの……ゴロー様? わたしに用事とはなんでしょうか?」


 ちょうど、フーが家に来てくれた。


「うん、実は試したい事があって……今からこの子に【能力無効化】を使ってもらって、その後俺の言葉が分かるかどうか判断して欲しいんだ」

「わ、分かりました」


 【能力無効化】でスキルはどこまで無効化できるのか。

 俺の予想が正しければ……。


「それじゃ、俺に【能力無効化】を使ってもらえる?」

「ハ、ハイ……」


「それじゃフー、俺の言葉が分かる?」


 俺はフーに話しかけると、フーは首を横に振る。

 ……【言語翻訳】も無効化されたようだ。これなら……!

 俺は合図を送り、【能力無効化】を止めてもらう。


「ありがとうフー、これで確信が持てたよ」

「聞きなれない言葉でしたが……あれがゴロー様の故郷の言葉でしょうか?」

「そう、『日本語』って言うんだけど……これで共通語が作れそうかな」


 中央国の件で大量の亜人がこの町に住み始めた現在、言語は一つの問題となっている。

 かねてから共通語が欲しいという要望があったものの、俺には【言語翻訳】のスキルがあったため、共通語は作れないでいた。

 だが、【能力無効化】のおかげで日本語が共通語として普及できるようになったのだ。

 ……日本語はちょっと難しい言語だと言われるけど、俺はこれ以外の言葉を知らないからな……。


 ただ、一つだけ問題がある。

 俺の目的だけに彼女を使うことは……中央国と同じように彼女を利用しているだけだ。


「……もし、君が嫌なら辞退してくれていい。もう君は自由なんだから」

「ア、アノ……ワタシ、タスケテクレタ、アナタノ、ヤクニタチタイ……ダカラ、ダイジョウブ……」

「……ありがとう。君は優しいね」


 俺は頭に手をポンと置き、撫でると、彼女の耳と尻尾が嬉しそうにゆらゆら揺れる。


「いいなあ……」


 フーがぽつりとつぶやく。俺はそれを聞き逃さなかった。


「それじゃフーもおいで。いつもお世話になってるからね」

「えっ!? く、口に出てまし……は、はい……」


 フーは諦めたのかおずおずと頭を差し出してくる。


『ゴローったら、モテモテねえ』

「じゃあ後からティアマトも撫でようか?」

『もぉ……ゴローったら。でも、たまにはそういうのもいいかもね』


 年長者ということもあり、撫でられるのはちょっと抵抗感があるのだろう。

 それでも素直に撫でられてくれるのは、それだけ親密になれたと思っていいのだろうか。




 こうして、中央国の問題は解決し、共通語の目途も立ったのだった。




 ちなみに中央国は亜人がいなくなったことで生活基盤が崩壊。

 そして東西南北の別の国に移住する人が続出し、次第に国力が弱まっていき、最終的にはドラゴンたちの真実を知った他の国から攻め滅ぼされることになるのだが、それはまだもう少しだけ先のお話。

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