表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

聴き逃し配信だと思ったのに

作者: 蜜蜂

 えっ? 何か怖い話はないか? ですって?

 しかも、自分で体験した話がいい? なんでまた?


 小説投稿サイトに怪談を投稿したいからネタを探してる?

 えっ? 作家さんなんですか? 違う? 趣味で書いてるだけ?


 でも凄いですね。文章なんて小学校の読書感想文くらいしか書いたことないです。

 しかも私、文才なくて。先生に、これじゃ本を写しただけだ、ってすごい怒られたんですよねぇ。


 あっ、すみません。怖い話ですよね?

 う~ん、申し訳ないけど、私、霊感とか全くないんですよねぇ。


 あっ、そうだ!

 少し不思議な話ならあります。怖いかどうかはわからないですけど。それでもいいですか?


 はい。では、始めますね。


 私、車通勤なんで、いつも車でラジオを聴いているんです。

 聴き逃し配信っていうんですか? あれ便利ですよね。

 私が学生の頃はそんなものなかったです。好きな番組を寝落ちで聴き逃した時とか、悔しかったなぁ。


 あっ、すみません。話が逸れましたね。

 その日の朝も前の晩の番組を聴いてました。

 梅雨も明けたって言うのにしとしと雨で。少し肌寒い朝でした。


 その時聴いていたラジオで面白い企画をやっていたんですよ。

 ラジオで百物語、って言うんです。リスナーから怖い話を募集して百話を目指すんですって。週一回のラジオで百物語って気の長い話ですよね。


 でも、その日の放送で九十八話目をやっていたんです。来週には百話いくんじゃないか、って。

 へぇ〜、意外と続くものなんだなって感心したのを覚えてます。

 

 で、次の日。その日も雨でいつも通り車でラジオをかけたんです。

 番組も終盤、もうすぐ会社に着く頃に九十八話目が流れたんです。

 どうやら昨日と同じ番組を聴いちゃったみたいで。

 終盤まで気が付かないなんて呆れてしまいますよね。


 更に次の日、また雨でした。何日続くんだよって少しイラっとしたのを覚えています。

 雨の日って車通勤でも嫌なんですよ。視界も悪いし事故も多いですからね。

 で、二度あることは三度あるっていうか、何と言うか。また九十八話目が流れたんです。


 その時点で番組を変えようと思ったんです。でも、もうすぐ会社だし。

 自分の迂闊さに腹が立ったけど、諦めてその日はそのまま聴きました。


 四日目。雨はまだ続いていて、ただでさえ苛々していました。

 朝なのにどんよりとした暗い曇り空。けぶるような雨で視界もすごく悪くて。

 それなのにまたやっちゃったんです。さすがに今度はオープニングで気が付きました。

 例の番組の例の回なんです。


 情けないやら、腹が立つやら。

 絶対に番組を変えようと思って車を路肩に止めようとして。そこで妙なことに気が付いたんです。


 私が使っているアプリって聴き逃し配信は一番組につき一回きり。四回も聴けないんです。

 でも私は実際に同じ番組の同じ回を四回も聴いている。


 おかしなことと言えば、昨日、会社に行った記憶もないんです。

 昨日だけじゃない。一昨日もその前も。

 朝車に乗ってラジオを聴いて、気が付いたら次の日の朝。

 その間の記憶が何もないんです。


 どういうことだ? って思った瞬間、目の前が真っ白になりました。

 対向車のライトが真正面から私の車を照らしたんです。


 それで思い出したんです。

 聴き逃し配信を四回聴いたんじゃない。

 私が同じ朝を四回繰り返していたんだって。


 私、死んでいたんだ、ってね。


 あぁ、やっぱり怖くないですよね? すみません。

 あっ、でも、今お話ししていてもう一つ不思議なことに気が付いたんです。

 こっちの方があなた好みかも。






 ねぇ、アンタ、なんで俺の声が聞こえてるの?

読んでいただきありがとうございます!

怖い話が苦手なくせしてホラーに挑戦してしまいました(>_<)

折角なので今のラジオっぽい要素をいれたいな、と思って聴き逃し配信のお話にしてみました。

最後の一文でヒヤッとしてもらえたらいいなぁ、と思って書いたのですがどうだったでしょうか?

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] とても可愛らしいお話でした(^^) 私は、稲川淳二さんとかの怪談が好きなので、 ポップな印象でした。 でも、こういう、軽い感じの怪談、好きです
[良い点] おおう! ((( ;゜Д゜))) 同じ時間をさ迷うものだったとは! 意表をつかれました。
[良い点] 軽妙な語り口調から、グググッと急ハンドル切るかの様に不気味さが表れてくるのがとても怖さがあり良かったです。 もう一つのお話とのリンクが、絶妙でした。何の気なしの部分につながるのだもの……怖…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ