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爆縮と体温の機知(9)

喪家之狗

ささやかな朝食は

コーヒーと線香の香りが混ざり合い

泣いて

寂しさを紛らわすことにも

疲れ果てた鼻には

ちょうどいい慰めになるのかもしれない

空気が違うから

いつもと違うのか

中心を忘れた生き物達が

各々の食事のリズムで

焼いた食パンと卵焼きに

手を伸ばしていた

忘れものをしながら


朝になろうと目覚めない

人とは違うことが

人であった者に変わる瞬間

寒空に降る雪は

音を消していく

涙が見え易いように

フワフワと風で舞っている

氷の下には水がある

深く深く、何処かへ潜る

意外と温かい場所であり

そう呼んではいけないような

そんな場所へ行く


寒空の下で歩いている

ボロボロの衣服と真新しいコート

貰い物

ホット缶コーヒーを奢りながら

そう返ってきたから

こちらも何処か安心して笑顔を作る

空気が違うから

いつもと違うのか

おちぶれた形を笑いながら

各々の死ねないリズムで

白い息と缶コーヒーの湯気が

目の前で混ざり合う

虚像を見せながら


朝になろうと変わらない

人とは違うことが

人になれなかった者になる瞬間

寒空の下に居ることが

声を消していく

人が全く見えないように

ガヤガヤと風になって吹いている

空の下には生き物が居る

遠く遠く、何処かへ逃げる

意外と人間文化があり

そう呼んではいけないような

そんな場所へ行く


影に居ることを恐れて

誰かが居なくなることを嫌って

元気の意味を忘れたなら

本末転倒だろうな

桑間濮上でも

無いよりはマシだろう

彷徨うのは悪くはない

そう言いながらとどまることは

何処かしら甘えがある

生まれて消えるまでの価値しか

僕等には無い

空間を埋めるだけの作業だ

そう言えば

簡単に思ってくれるのだろうか




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