表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/3

最弱無敗

読んでいただきありがとうございます。

 内界──ブリタニア。巨大な壁、聖者の(アリス)ィアに護られた世界。だが、その壁を外界から迫る悪しき者達から守護するのもまた、内界の人間に変わりはない。螺旋の如く、この世界は平穏が赦されず。


 しかし、人は目を背けか背けずか今の生活を順風満帆に謳歌している。魅せる笑顔も猛る怒りも果たして本物──なのだろうか。


 この窓から見る景色すらも──


「最弱無敗? なんだそれ」

「馬鹿ッ。声がデケーって! つか知らねーのかよ?」

「知るも何も──クラス替えしたせいで全く人を知らないし。つか矛盾じゃねーか」

「あの窓側に座る奴を見てみろ。あいつが──」

「人類初の無属性であり、この軍学校・ファランクスに入って尚、未だに試験や訓練を欠席。故についたあだ名が最弱無敗。くだらねーな。と言うか俺様から言わせたら徴兵制度ってのもくだらねー。そんなンがあるから、ああやってやる気ねー奴まで」

「……えっと君は?」

「俺様か? 俺様はラインルハル=シュベルスタ。いずれ外界に出て四天の座に就く男だ」


 なんとでも言えば良いし呼べばいい。別に馴れ合うつもりもないし、背の高い奴が言った通り俺にはやる気がないなる気もない。出来ることならこんな学校を直ぐにも辞めたいが、辞めれば非国民の名がついて回る。それだけは恩人の為に避けはしたい。


 てかさ、馬鹿じゃねーのか。態々なんだって危険が蔓延る外界タナトスに行かにゃならんのだ。コイツらは自分の命が惜しくねぇのかね。


 ──自分の命は一つしかないってーのに。


「四天て、まさかあの四天?」

「おうよ。その四天だ! 外界にて巨大な力を権力的にも武力的にも所持した英雄達さ!」

「ばっかじゃない……」

「ンだと? このアマ!」

「アンタみたいな人間が四天の座につけるはずないじゃない。ましてや扱う属性は?」

「……火だ」

「火? ふうん。まだ四式ししき? 火属性の極地である炎桜えんろう──四光よんこうにすらなってもないのね。体だけじゃなく口もでかくちゃ生きにくそうね」

「ンだと?! 産まれ付き才能に恵まれたからって調子くれてんなよ?アマが」


 うわ。新学年早々に火花バチバチかよ。いやまあ、見慣れたものでは有るけれど、慣れたくはないものだ。


 ──だが、背の高い男は兎も角、あの黒い髪の女性は確か。


「彼女って」

「間違いないわ。あの赤と黒、左右不対称な色をした瞳。神導の巫女──ゼノン=マイリ」


 人間には産まれつき属性が宿っており、個々の才覚により強弱が現れる。故に就職先も軍に入れなかった場合でも、属性を基準に考えられる訳だが──稀に二つの属性を所持した者が産まれる。彼らの事を期待と希望を乗せて人々は神導と習ったのを思い出す。


 言い方を変えれば化け物、か。恐ろしく畏ろしい。


 さりげなく横目で見ていれば──


「まあ、私はアンタに用事があった訳じゃないのよ。興味もないの」


 なぜ俺と目が合う。つかこっちに来てやいませんかね。揉め事とか勘弁して欲しいんだが。そんな思いを乗せて再び空の景色を眺める。迫り来る足音を聞き流していれば──


「ライル」


 何故俺の名前を知っているのだろうか。友を作らず目立たず空気のように一年間生活してきたと言うのに。成績優秀、容姿端麗の貴女なら兎も角。とりあえず無視をしよう。それがいい。


「ライル=カイン。私は今から貴方に決闘を申し込むわ」

「えっと……はい?」


 思わず目線を交じあわせれば、大きく綺麗な瞳に強い信念を宿しているように見える。俺には一切なく、手を伸ばしたとしても届かないような心構えを感じざるを得ない。そんな──爺の言葉を借りるなら、いい色をした瞳をしていた。


 そして彼女と交した初めての対話だった。


ランキング入をめざし、皆さんが面白いと思える作品を頑張って手掛けていくよう努力します。もし、続きを見てもいいと思っていただけたのならブクマなどして頂けると幸いです

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ