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新たな脅威 ③

「危ない!後ろ!」


「うおっ!ちくしょう!」


 キラーワームの巨大な口部が、イワノスの隊員を目掛けて背後から襲いかかる。

 俺の声に反応した隊員は、なんとか攻撃を防ぐ事に成功するが、ワームはその体躯を生かしそのまま隊員を押し倒そうとする。

 鋭くて不気味な口が、隊員の顔面に迫る。

 隊員は必死でそれを押し返そうとするが、3m近いワームと普通の人間では体格差が有り過ぎる。

 明らかに力負けしている様で、このままでは隊員が殺されてしまうのは時間の問題に見えた。


「くっ……」


 やんわり援助するぐらいにしておきたかったが、これ以上は見ていられない。

 俺は行動を起こそうとする。

 だがその時、駆け付けたイワノスが隊員を襲うワームの頭部を激しく斬りつけた!


『ギシャアア!』


 ワームの頭部から不気味な体液が噴き出す。

 ワームは気持ちの悪い呻き声を上げながら、やっと隊員から離れていった。

 ギリギリの所で助かったようだ。

 しかし、ピンチだった隊員は救えたものの、ワームに致命傷を与えるには至らなかったようだ。

 ワームは血を流しながらも、まったく戦意を曇らせてはいない。

 むしろ手負いになった分、先程よりも執拗に敵意を剥き出しにしていた。


「バッツ!油断するな!二人一組で対応しろ!一人で戦おうとせずに防御係と攻撃係に別れるんだ!」


 イワノスが号令を飛ばす。

 隊員達もそれなりに訓練は積んでいそうだが、明らかに顔に不安の色が見て取れた。

 そこまで戦闘慣れはしていないようだ。


 これは、不味いな……


 今の動きを見る限り、どうやら隊員達のレベルは余り高く無いらしい。

 出し惜しみ出来る余裕も無さそうだ。

 逆に俺ならば、このワーム程度なら造作なく処理する事が出来そうだった。

 やはり俺も、前に出て積極的に戦わないと駄目なようだ。


「クイーンは俺に任せておけ!!雑魚はお前らだけでやれ!『竜の髭』のメンツにかけて、何が何でも"迷子"をここから逃がすんだ!」

「はい!」


 俺の心配を他所に、イワノスはたった一人でクイーンの前に立ち向かっていく。

 何が何でも皆を守ろうとする男気が感じられる。

 更には、見ず知らずの俺の事を命をかけてまで……


「おりゃああ!死ねぇ!」


 イワノスがクイーンに向かって突撃していく。


「くらえぇ!必殺〖爆撃斬〗!」


 イワノスの大剣が大上段からクイーンに見事命中した。

 クイーンの肉体に巨大な大剣が深々とめり込んでいく。

 だが、クイーンの身体はまるで"硬質ゴム"のように『バイ~ン』とイワノスの剣を弾き返してしまった。

 悲しい事に、全くダメージを与えられた様には見えない。

 どの辺が"必殺"だったのか分からないが、どうやら普通のワームに比べ遥かに耐久力があるらしい。


「ぐぅ!硬ぇ!」


 大層な名前の割にはイワノスの攻撃はクイーンに全くダメージを与えていない。

 隊員達に比べれば少しはマシではある様だが、イワノスも決して戦闘力は高くは無いようだ。


 このままでは、全滅は免れないだろう。

 やはり、俺もやるしかない。

 だが、やはりまだこの世界で俺の『力』の全てを見せる訳には行かない。

 厳しいが、何とか素手でこのワーム達を制圧しなければ。


『ギャィシャアア!』


 ワーム達が咆哮する。

 幸いな事に、ワーム達の意識は武器を持つ隊員達に集中しており、まだ俺の事は警戒されていない。

 俺はなるべく目立たないように気配を消して、ワームの背後へと近づいていく……


「おい!危ないぞ!"ワームの尾"も強力な武器なんだ!」


 隊員の声に反応し、ワームが俺の存在に気付いて振り向いた。

 せっかく気付かれないように気配を殺して近付いているというのに、なんと余計な事を……


 しかし、それでも俺の方が一歩早かった。

 何とかワームの尾を両手で掴む。


「う……」


 ブニュっとして、とても気持ちが悪い。

 殴り飛ばしてしまえばそれが一番簡単なのだが、この不気味な体液を浴びれば、どんな病気になってしまうかわかったものでは無い。

 と、言うよりとこんな気持ち悪くて臭い液体は、絶対に浴びたくない。


「よいしょっ!」


 握り潰してしまわないように、優しく()()()()た。

 3m程度のミミズなら《減重》するまでもない。

 千切れないように優しく慎重に振り回し、もう一匹のワームに向かって放り投げる。

 宙を舞ったワームは綺麗な放物線を描き、もう片方のワームに見事に激突する。


(グチャ!)

 

 ワームはぶつかって爆散し、中から気持ち悪い内蔵と体液を撒き散らしていく。


「想像どおり、脆いな。危なかった……」


 危なかった。

 あの程度で爆散してしまうとは……

 殴ったり蹴ったりしなくて正解だった。


 そして、もう片方のぶつけられた方のワームはまだ原型を留めて居たものの、今の衝突が相当応えたのか、グッたりとして動かなくなっていた。

 今ので、気絶してしまったようだ。

 どうやら、今まで散々戦っていた硬い鱗や骨格を持っている巨大な怪物種達に比べれば、こいつらはかなり脆いようだ。

 これなら『力』など使わなくても、単純な腕力だけで余裕で押し切れそうだった。


「よいしょ……」


 そして、弱って気絶していたワームを同じ様に振り上げた。

 クイーンの方向には、イワノスがいる。

 イワノスには当たらないように、ワームをクイーン目掛けて放り投げた。


(グッチャァ!)

   

 放り投げたワームがクイーンに直撃し、爆散する。

 いくら他のワームよりは頑丈なクイーンとはいえ、3mもの肉塊が爆散する程の勢いで直撃する"ワームアタック"は流石に効いたらしく、横転して"ピクピク"していた。


「よし、これで大丈夫だ!」


 イワノス達は手こずっていたが、やはり今の俺なら脅威となるような敵では無い。

 どうやらこの世界の"モンスター"とやらは、ゼジャータの怪物に比べて、遥かに弱いようだ。





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