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新たな脅威 ②

 正体不明の魔力の塊は、こちらへと向かってどんどんと近付いてくる。

 そこまで大きな魔力では無いとはいえ、魔力反応は三つ。

 間違いなく、何かが俺達を狙っている。

 さっきも見た、モンスターと言う奴だろうか?

 危険性は無さそうだが、出来ることなら、無駄な戦闘は避けたい。


「ふんふんふ~ん♪」


 イワノス達は、呑気に景色を見ながら鼻歌なんぞ歌っている。

 どうやらまだ、モンスターに狙われている事に気付いていない様子だ。


「あの、イワノスさん……もしかすると少し急いだ方が良いかもしれません。何かに狙われているみたいです……」


 イワノスに、暗に危険を伝える事にする。

 先程のキラーワーム程度の敵なら、どれだけの数に襲われようとも、俺一人で何とか出来ると思うが、この世界のモンスターの生態がどのぐらいの物なのかは分からない。

 食べれるのならともかく、戦わずに済むのならそれに越した事は無い。

 それに俺が戦う姿は、なるべくなら見せたくは無い。

 この世界の事情を把握するまでは、最大限に警戒し無駄な戦闘は避けるべきだろう。


「ガッハハハ!!何いってやがんだ!?モンスターの一匹や二匹!俺達【竜の髭】にかかれば、逆に返り討ちよ!キラーワームだろうがゴブリンだろうが切り刻んで酒のツマミにしてやるってなもんよ!」


 イワノスは声高らかに大声で笑っている。

 そうなのか……過剰に気にし過ぎたのだろうか。

 酒のツマミって、あんな不気味なモノを食す気には到底なれなさそうだが、そこまで言うのならば俺も余計なお節介をして、わざわざ目立つ必要も無い。

 このまま襲われたとしても、イワノス達が退治してくれるのだろう。


「良かった!安心しました」


 これ以上不審がられないように、このまま記憶喪失で弱者のフリを続ける事にする。


「おう!俺達がいるから心配すんな!敵が来たら直ぐに知らせてやるし、ちゃんと守ってやるからよ!」

 

 イワノスは分厚い胸板をドンっと叩いて力を鼓舞した。

 しかし、本当に大丈夫なのだろうか?

 魔力反応は更に近づいている。

 急激に近づいている気配は、もう、俺達のすぐ真下まで迫っていた。

 敵の標的は間違いなく俺達だろう。

 なのに、まだイワノス達は何も気付いていないのだ。

 意気込みだけはとても頼りにはなるが、少し心配な気持ちが拭えない。

 本当にこんなに気楽で良いのだろうか……


 って思ってる間に、ほら来た!


(ドバァ!!)


 やはり、さっきのキラーワームとやらだ。

 一斉に地面から飛び出してきた。

 俺の探知どおり、敵の数は全部で三体。

 あんなにずんぐりむっくりしてるくせに、地中を進む速度はそこそこ速いらしい。

 有難い事に、俺達が逃げられないよう囲うように、包囲されている。

 虫みたいだが戦略を練る程度の知能もあるようだ。

 一匹だけ、色違いで体躯の大きい奴もいる。


「三匹か。潰したら何か変な汁とか出しそうで嫌ですね……本当に食べれるんですか?」


「……」


「イワノスさん?あの……」


 あれ程威勢の良かったイワノス達の顔が"青色"に引き攣っている。

 何かとんでもない物でも見た様な顔をしている。

 まるでワームみたいな顔色だ。


「イワノスさん!?大丈夫ですか?」


「やべぇ、クィーンまで居やがる……こんな所にこんな大物がいやがるなんて、しくじった。知らない内にどうやらクィーンの巣に入っちまってたようだ……」

「イワノスさん!やべぇっす……」

「うわぁあもう終わりだぁ!」


 イワノスと部下達は、まるでこの世の終わりが来たかのような顔をして震えていた。

 さっき迄の自信満々な威勢はどこへ行ってしまったと言うのか。

 それとも、この赤色のワームはそんなにヤバいと言うのか。

 魔力反応からは、他のワームとそんなに違うようには見えないのだが……


「大丈夫ですか?酒のツマミにして食べるんじゃ……?」


 念の為に、もう一度確認してみた。


「すまねぇ。相手が悪過ぎた。せめて、お前だけでも逃がしてやりてぇが、クイーン相手に逃げ切れる保証はできねぇ。すまねぇがお前も覚悟を決めておいてくれるか?」


「あ……はい」


 さっきとは余りにも言ってる事が違い過ぎている。

 念の為にもう一度魔力反応を探ってみたが、ワームとクイーンから感じられる魔力量に、そこまでの戦力差がある様には感じられない。

 それとも、俺の感じる事の出来ない何か不思議な力でも持っていると言うのだろうか……

 というか、イワノス達ってもしかして……


「あの"赤い"のは、そんなに手強いんですか?」


「あいつは普通のキラーワームとは訳が違う。単体でも生きて帰れるかどうか分からねぇ程の強敵なのに、それが部下のワーム共と連携して襲ってくる。悔しいが、俺達の手に終える相手じゃねえ……」


 イワノスは、既に死ぬ覚悟を決めたような顔だった。

 部下達は怯えきり、楽観的な表情をしている者は誰一人として居ない。

 ここが"最後の死に場所"とでも思っているかのようだ。

 先程までのあの威勢は一体何だったのかと問い詰めたくなったが、仕方ない……

 どうやら、俺も戦うしか無いようだ。

 見せたくは無かったが、我儘を言っていられる状況では無くなった様だ。

 イワノスは自分を犠牲にしてでも、俺を逃がそうとするような発言をしてくれていた。

 ここで俺が力を出し惜しみして、イワノス達が死んでしまいでもしたら、"寝覚め"が悪くなってしまいそうだ。

 強敵らしいし生態も不明だが、俺なら倒せない敵では無さそうだ。

 イワノス達に協力して、この場を切り抜ける事にする。


「みんな腹をくくれ!来るぞ!」


『シャアア!』


 キラーワーム達が、不気味な奇声をあげて襲いかかって来た。


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