まるで虫けらの様に…… ⑤
「む!キュベラル二号が奴等を発見したようだ」
「え!何それ?」
どうやらキュベラルと言うのは、先程の"竜型"のゴーレムの事らしい。
発見報告は、ゴーレムが転移していって僅か数分の出来事だった。
余りにも早過ぎて飯を作る暇すらない。
「ガムダンにも反応があった……」
「でも、見付けるの早過ぎない!?」
ガムダンとやらにも反応があったらしい。
いくら数万匹の黒竜が居るとはいえ、大陸はめちゃくちゃに広い。
俺の想像を遥かに超える索敵速度だった。
それに、マテラは何歳か分からない程の高齢の筈なのに、なかなか良いネーミングセンスしているな…… と俺は昔見ていた大好きなロボットアニメの事を思い出した。
もしかすると、スメーラにも国民的なロボットアニメみたいな物があったのかもしれない。
「むう、やはりウジャウジャ居るな……思っていたよりも広範囲にまで進出しているようだ」
「そんな事まで分かるの?」
「無論だ。佑弥が知らないのも無理は無いが、私は『スメーラ"魔導ゴーレム"大武会』の、第一回から十回まで連続優勝し、無敗で殿堂入りした永世チャンピオンなのだ。ゴーレム達の行動を遠隔で把握する事など造作でも無い」
なんだその男の好奇心をくすぐるような大会は……
もし"次回"があるとするならば、何が何でも閲覧、否是非参加してみたいものだ。
この戦いが無事に終わった際には、ゴーレムの作り方を教えてもらう事にしよう。
「派遣した10体の内の、6体が黒竜と遭遇したようだ。合わせて1465体の黒竜の間引きに成功し…… 今、1935体になった」
「いや、減らしすぎだろ……」
仕事が早過ぎて驚かされる。
2000体弱の黒竜達を、たった6体のゴーレムで、更にはこんな短時間で倒してしまったと言うのか……
「いや、まだ安心は出来ない。まだまだいるぞ」
とはいえ、ゴーレム達の戦闘力にただただ驚くばかりだ。
探知殲滅能力が異常過ぎる。
あともう一時間もすれば、大陸の黒竜を一匹残らず全滅させちゃうんじゃないだろうか……
「凄いね…… 俺なんか何もしないでこのまま終わっちゃうんじゃない?」
「そこまで甘くはないだろう。……6669体撃破。あくまで"間引き"用の量産型だからな」
話している間にも、撃破数が加速度的に増えている。
運良くこのエリアには黒竜達が現れなかっただけで、
既に相当な数の黒竜が増えていたようだ。
ゴーレムの殲滅力も恐ろしかったが、知らない内にそこまでの数に拡散していた黒竜達の異常な増加速度にも驚きを隠せなかった。
「む…… 敵の動きに変化が見えた。私のゴーレムに勝てぬと分かって逃げる奴が出てきたようだ。……11215体。だが既に南部以外のエリアの黒竜達の数を大分間引きする事に成功したようだ。だがやはり思った通り、敵の本拠地は南部に集中している。南部が発生源か…… むっ!!」
彼女の先程までの余裕な態度が一変した。
ずっと一人で淡々と状況説明していたマテラが急に黙ってしまったのだ。
何があったと言うのか?
「佑弥……行くぞ」
「どうしたの!?」
「中央南部で今までとは違う"強力"な個体を発見した。信じられない事にガムダンでは対処しきれないようだ。私が行って直接処理する」
「ガムダンが!?」
あのガムダンが……
あんな化け物みたいなロボットでも敵わない程の怪物が居ると言うのか。
出会ってからまだ間も無いガムダンだが、その異様な造形と、黒竜を倒しまくっている実績から、既に絶大な信頼を置いていたガムダンが……
そして、あのガムダンでも敵わない様な強敵相手に、俺に何が出来るというのだろうか……
「とりあえず急ごう。《転移》するぞ」
「うわっ!」
マテラが人差し指を天に向けるような仕草をすると、足元から白い光が立ち上がり、俺達の身体が光で包まれた。
突如俺の全身を包み込んだ"白光"に驚く暇も無く、周りの景色が一変する。
いつの間にか何処かの高台か何かに移動したのか、周りには視界を遮るような物は何も見当たらない。
一瞬の事過ぎて感覚が解らなくなっていたが、ここは元居た場所からは大分離れた大陸の"中央南部"エリアらしい。
一瞬の内に任意の遠く離れた距離を瞬間移動出来る《転移魔法》。
《転移》できる距離は魔力に比例するらしく、マテラなら星の反対側にでも容易に《転移》出来るらしい。
「見付けたぞ。あれだ」
「うおっ!何て数だ……」
高台の下には、もはや数を数える気も起こらないほど大量の黒竜達と、その中心でガムダンと同じぐらい巨大な『超大型黒竜』が激闘を繰り広げている真っ最中だった。
「これ、全部ガムダンがやったのか。凄まじいな……」
周りにはガムダンが倒したと思われる、真っ二つにされて死んだ比較的綺麗な黒竜の死体。
真っ黒に焼け焦げて、元がなんだったのか分からない大量の消し炭の山。
目を覆いたくなる程のグチャグチャになった肉塊の海で出来た地獄の様な光景が拡がっていた。
(ガキーーン!)
放心している俺を凄まじい衝撃音が襲う。
ガムダンの持つ大剣が放つ衝撃音の様だったが、敵はあの巨大な大剣を、恐ろしく硬い体皮でガードしていたのだ。
「遺伝子操作されてるとはいえ、ガムダンの攻撃を防ぐ程の者がいるとは…… 黒竜達を少し侮っていたようだ」
マテラが驚いている。
量産型とか言っていた割には、ガムダンの性能に自信があったのだろう。
(ガシーン!)
ガムダンの体勢が大きく揺らぐ。
巨大な体躯を持つ黒竜がガムダンの身体に凄まじい"頭突き"を繰り出していたのだ。
間違い無く、あいつが群れのボスだろう。
今の所、防御力に優れたガムダンに大きなダメージは無さそうだったが、相手もかなりの防御力を持っているらしく、互いに決め手にかけて泥仕合のような様相になっていた。
「ガムダンでは無理か……下がれ!ガムダン四号!」
彼女が指示を出した途端、ガムダン四号は急に戦闘を中止し、何事も無かったようにマテラに『一礼』して《転移》して消えていった。
細かい所まで、なかなか作りこんであるな……
生命を持たない筈のゴーレムなのに、まるで生きているかのようだった。
「私が出る……」
マテラが前へ出た。
マテラの強さには疑いなど無い。
だが、大分数は減らしたとはいえ、まだまだ大量の黒竜は残っている。
更にはガムダンですら仕留めきれなかったボスまでも……
ゴーレムを引き上げるのでは無く、逆に全てのゴーレムをこちらに呼ぶべきなのではないだろうか?
俺は少し震えていた。
ここまで読んで頂きまして誠にありがとうございました。
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皆さんに最後まで読んで頂く為に何度も何度も修正を重ねて更新が遅れる事も御座いますが、是非最後までお付き合い下さい。
花枕




