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眩い"闇" ②

「なんだこれ?」


 マテラから受け取った"結晶体"の中には、何やら小さな"魔法陣"の様な幾何学的な模様がビッシリと埋め込められている。

 まるで、何かの機械のようだった。


「それを握りしめてみろ。もしかしたら佑弥の種族が分かるかも知れんぞ?」


「え!本当!?」


 そんな簡単に?

 というか、そんな凄い可能性がある道具ならば、もっと早く教えてくれても良かったのでは……

 取り敢えず、言われたままに結晶を力いっぱい握りしめてみると、目の前の空間に"画面"の様な物が投影される

 覚えたてのスメーラ語で何とかそれを読んでみた。


 ______________


 炉林佑弥....種族不明


 HP ... 1400/1400

 MP ... 0/0

 力 ... 710

 魔力 ... 0

 耐久力 ... 1800

 敏捷 ... 870

 属性 ... 【黒】

 特技 ... 【重力干渉】【虚空記録?】

【重力干渉】全ての力に干渉出来る。逆にあらゆる物に干渉されない。干渉幅は0から350%

【虚空記録】あらゆる事象を完全な状態で記録出来る。記録の再現レベル2


「うおお!!これは!まさか俺のステータス画面か!ゲームや小説でよく見るやつだ!」


 厨二魂に心が震えた!!

 だが、この数字が高いのか低いのか平均値がわからない。

 種族欄も、残念ながら不明だった。

 MPと言う項目があるのに『残量0、魔力0』って事は、俺には"魔力"が無いのだろう。

 確かにそんな物感じた事も無い。

 後、俺の能力は体重操作では無かった。

 あと、記憶じゃなく記録? どう違うんだろう?

 それに、属性【黒】って何だろう?

 ちょっと悪い感じがカッコイイから良いけど、ゲームなんかでも余り見慣れない表記だ。

 黒い痣が出る事と関係が有るのだろうか?

【闇属性】みたいなもんだろうか?


 見知った知識である程度は推測出来るし面白みもあるが、やはりよく解らない……


「マテラ、これなんだけど……」


 マテラに解らない事を聞こうと思ったら、彼女は目を見開いて俺のステータスに釘付けになっていた。


「なんだ…… これは…信じられない。虚空、記録……だと?」


 マテラは、今まで見た事ない程に動揺していた。

 一体どうしたのだろう?

 俺のステータスに、何かヤバい物でも見付かったのか!?

 俺の鼓動は不安で破裂しそうになった。


「どうしたの!? それって何か悪い事!?」


「いや、すまん。佑弥…… 悪いどころか、二つとも『私も見た事も無い』とてつもないレアな代物だ……」


「え?まさか、機械が壊れてるとか?」


 俺の能力は確かに何の能力も持たない人間に比べ、遥かに便利ではあったが『とてつも無い』と、言う程の能力では無い。

 マテラの訓練が無ければ、大型怪物の一匹にすら勝てなかった程度の力だ。


 なのに、何をそんなに驚いているのだろうか?


「これは我々の先祖が、"母星"にある全ての叡智と科学に結集して、最高の解析結果を表示出来るように作られた魔法具だ。古い物だが経年劣化など有り得ない。精度は今でも100%信用出来る……」


「そうなんだ……」


「いいか?前も言ったが《重力干渉》と言う力は、とんでも無い代物だ。佑弥は、敵の体重をたった100kg増やすのに一体どれ程とてつもない『力』が作用していのか解っているか?風の魔法で100kgの物体を動かすのとは訳が違う!どんな物にでも際限なく力を発揮出来るお前のその力は、この圧倒的な質量を持つ"ゼジャータ"という"惑星"その物に干渉出来ているって事なんだ!更に《虚空記録》など、本当だとしたらスケールが大き過ぎて私にもさっぱり理解出来ん……そもそもステータス画面に【?】の文字が現れるのなど見た事もない……」


「そ、そう?何か、すみません……」


 マテラは今も俺のステータス画面を、信じられない物でも見るかのように何度も何度も見返していた。

 俺の能力は、既にマテラに二つとも伝えていた筈なのだが。

 そこまで改めて驚く事なのだろうか……


「この世には稀に、『瞬間映像記憶』を持つものはいる。だが、それとて100%のものでは無い。確かに凄い能力だが"記憶容量"までが無限になった訳では無い。だが、お前の力は違う。佑弥の能力は視覚だけでなく『体験したありとあらゆる全ての事象を完全に記録出来る』という事なんだ!しかも、恐らく無限の容量で!」


「う、うん。わかっている。凄い…よね……」


 自分の力の事は俺が一番わかっているつもりだ。

 だが、ずっと昔から当たり前のように使ってきた物なので、イマイチその凄さとやらを改めて感じる事が出来ない。

 どれだけ凄いと言われても、目の前の女性にはどうやっても敵わないのだ。


「凄いね…って……お前は本当に理解しているのか!?」


 マテラが興奮して大声を上げている。

 こんな彼女を見るのは初めての事だった。

 取り敢えず、俺は訓練の甲斐あって良い結果が出せたらしい事が分かって嬉しかった。

 これでこれからの訓練にも励みが出るだろう。

 特殊能力も取り敢えず珍しくて良いやつが出たらしいしな。


「いや!分かったよ!ありがとう!これはとても励みになるよ!所でマテラのステータスはどのぐらいなの!?やってみて!!」


「え、私のか?……」


 まだ驚いていたマテラに、強引に結晶体を手渡した。

 かなり嫌そうな顔をして使うのを躊躇っていたようだが『頼む!』としつこく迫った。

 彼女は渋々と結晶体を受け取り、気まずそうな顔でステータスを表示させた……



 マテライン・アマ・スメーラ....特殊スメーラ族(最終進化生命体)


 HP ... 9999/9999

 MP ... 9997/9999

 力 ... 9999+9999

 魔力 ... 9999

 耐久力 ... 9999+9999

 敏捷 ... 9999+9999

 属性 ... 全属性(無属性)

 特技 ... 【吸収】【老化速度減少(極大)】【知脳(極大)】【変身】【回復速度(極大)】【電撃魔法(特殊補正極大)】【雷化】【物理法則無効化】【物理耐性(極大)】【魔法吸収or反射】


「なんだ、これは……!」


 俺は絶句した。


「俺のステータスなんか比較にもならないじゃないか……なんだ、これ……」


「まあ、長い間訓練しているからな……」


 彼女はここに来て、何故か謙遜した。

 全ステ、カンスト…… 更には全属性?意味が解らない。

 スメーラの科学と英智を結集させた筈の機器ですら測定限界を突破して、もはやどれだけ強いのか理解出来ない。

 特技に関してはもはや一言に【無敵】と書いておけば良いのでは無いか?と思わせる万能っぷり。


「いや、それにしたってこれは……」


 マテラは当然自分の結果を知っていたのだろう。

 だから、俺に気を使って自分のステータスを見せるのを躊躇っていたのだ。

 俺がこんなに強くなったと喜んでいると言うのに、単純に現在の俺の数倍、数十倍以上は強いって事になる。

 よくこんなステータスで俺に"力比べ"の勝負なんか持ち掛けたものだ。

 "耐久1800"越え程度で自信を持っていた俺が恥ずかしくなってしまう。

 これでは俺がどんな凄い【能力】を持っていようが勝てる訳など無かったのだ。

 よくマテラは『自分は"最強"だの"無敵"』だの言ってたが、それは大げさでも嘘でも無く、紛れもない事実だったと言う事がよく理解できた。


 改めて、マテラがこれ以上無いぐらいに頼りになる存在だと言う事も再確認出来る結果だった。


「なんか……気を使ってくれたのに、ごめん……」


「いや、こちらこそ悪かった……」



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