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地獄の出入口 ③

「ん……?」


 巨岩に押し潰される事都合3回。

 もはや感情の存在しないロボットの様に、黙々と言われるがまま4回目の巨岩を受け止めた時、俺は巨岩の重さがほんの少しだけ軽くなっている様に感じた。


 岩はさっきからずっと同じものだし、マテラの《魔法》による比重は、更に増える事はあっても減らすような優しい事は無い。


 なのに、最初20秒も持たずに潰れされていた巨岩を、30秒以上も保持する事が出来ていたのだ。

 4回目の岩潰れは、何と大幅に記録更新し40秒近くも保持する事が出来たのだ。


 信じられなかった。

 相変わらずバカみたいに重い事には変わりないが、それでも確実に数字がそれを証明していたのだ。



 ✩.*˚



 潰れてボロボロになった身体をマテラの《再生魔法》により回復される。

 放っておいても《自動回復》するのだが、一秒でも早く訓練を再開する為、との事だ。


 さっきは大幅な新記録が出た。

 いくら竜族に伝わる特別な訓練法とはいえ、そんなに直ぐ効果があるものなのだろうか?

 俺は何気なく自分の身体を眺めて見た。


「な、なんだこれ!?」


 視界には見た事が無い巨大な腕が映っていた。

 まるで引き締まったボディビルダーのようだ。

 気持ちが悪かった。

 だが、どうやらその腕は、俺の身体に繋がっているのだ。

 腕だけでは無い。

 肩はまるで"メロン"かの様に丸く巨大化しているし、胸もクッキリとした段差が出来ている。


 言うまでもなく、これは俺の身体だったのだ。


「一体どうなっているんだ!?」


 自分の身体の変化に戸惑ってしまう。

 身体全体が一回り、いや二回りは大きく、そしてギュっと引き締められている。

 まるで自分の身体では無いみたいだった。

 俺の身体はほんの数時間の間に、鋼のような高密度な筋肉と、野生動物のように柔軟な筋肉を併せ持った身体へと生まれ変わっていたのだ。


「今頃気付いたのか?お前の身体は順調に強くなっているぞ。正直、私も驚く程の成長だと思う」


「この身体の急激な成長は一体どういう事なの!?」


「私が聞きたいぐらいだよ。佑弥の成長速度は『竜族』を遥かに超えている……」


 俺は何年も筋力トレーニングを続けていた。

 その結果、いくら何でもこんなに急激に成長しない事は分かっている。

 自分の身体とは思えなかった。


「筋肉増強効果のある調味料と、高品質のタンパク源をあれだけ大量に補給していたから、上手く成長するとは思っていた。考えられるとするならば、通常数日間かけて、筋疲労より回復し時間をかけてゆっくり成長するはずの筋肉達は、異常な回復力を持つ佑弥の体質のおかげで急成長したんじゃないかと思っている……」


 あの美味な調味料に、そんな効果まで有ったのか!

 その効果に驚きながらも、俺は昔に読んだ『山本筋肉博士業績集8 筋肥大、筋力向上のメカニズム』やその他筋トレ書籍を脳内で読み返していた。

 そこで、一つの結論を見つけ、俺の身体の変化に対しての仮説を立てた。


『ストレス応答』

 筋肉とは重い物を持つ事で成長する訳では無く、筋肉が負荷を受けてストレスを感じた際に、そのストレスから身を守る為に成長していく……


『火事場のクソ力』

 人体は、骨や腱を損傷しない為に無意識に過剰な力を発揮出来ないように、無意識に力をセーブしているが、緊急時にはその潜在能力を全て発揮出来る……


 俺の身体は自己再生する。

 通常の筋トレでは、負荷によるストレスよりも自己再生が勝ってしまうので、『ストレス応答』が起こっていなかったのだ。


 巨岩を使った筋力の限界を遥かに超えた激しいストレスを与える事と、潤沢な栄養、更には『潰れたら死ぬ』という擬似的な緊急時を作り出す事によって、全ての力を引き摺り起こした。

 それらの要素が複雑に絡み合って、俺の身体は急激な成長を遂げたのでは無いだろうか。


 人間がもし同じ事を真似でもしたら、トレーニング所か命まで関わる様な鍛錬法だ。

 だが、俺の特別な体質ならば……


「佑弥の自己再生が、ここまで凄いとは思わなかったな。嬉しい誤算だ」


「うん。俺も驚いてる」


 "岩潰れ"は出来れば二度とやりたくないと思っていたが、これ程までの成果を感じた以上、やらない選択肢は無い。

 だが、それでもやはりあの"地獄"を再び味わうのかと思うと、心が重かった。

 しかし、この仮説は間違ってはいないと思うが、本当にそんな事だけでここまで成長するものなのだろうか?


「ちょっと……面白くなってきたな。どこまで行けるかやってみよう」


「うん……」


 俺も見てみたくなった。

 俺がどこまで強く成れるのかを……



 _______________


 炉林佑弥 .... ??

 HP ... タフネス王

 MP ... 無し

 力 ... ストロンゲストマン王者級

 魔力 ... 無し

 耐久力 ... トラックのタイヤ並

 敏捷 ... 獣並

 属性 ... 健康

 特技 ... 【体重操作】【超記憶力】【不思議な体質】


 特技【体重操作】全ての物の重さを増減する事が出来る。あくまでも特技なので、魔力は使用しない為、マテラですら技を使ったかどうかは判断出来ない。

 増減幅は自分の体重を減らす分には【ゼロ】まで、増やす分には2倍ぐらいまで。

 ただし自分以外の重さを操作する場合は増減幅が減る。


【超記憶】一度見たり、聞いたりした物は全て完全に記憶出来るが、思い出せるかどうかはその記憶の強弱に左右される。


【不思議な体質】人間に比べて遥かに頑丈。更に怪我を負ったとしても、怪我は黒く変色して"黒モヤ"が出て自動回復する。その"修復"速度は低位回復魔法を超える。

 その為、並のダメージでは筋肉が疲労すらしないので、今までは殆ど成長していなかった。

 限界を超えた過剰な筋トレにより、超絶進化する。





 

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