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8 勇者

 

 勇者達の傷を治癒して誉められたが、ヒール草を料理に入れるのは却下された。

 仕方がないので自分の皿にだけ乗っけた。



 午後はカナリアの家に行くことになった。

 勇者達のお礼と薬草エキスについて聞きたいらしい。



 勇者達とおっさんの4人の居る部屋に通された。

 ドワーフとエルフは完全に治って無いので、ベッドに横になっている。

「クーとやら。おかげで二人が助かった、礼を言わせてくれ」おっさんと勇者が頭を下げる、怪我の二人も目礼した。

「構わん、よ?」

「気にしないでいいそうだ」ナルバとカナリアも入ってきた。広い部屋だね。

 クッキーと紅茶が運ばれてきた。甘く良い香りが部屋に広がり、サクサクのクッキーが香ばしい。いくつか収納しておく。


「彼は木剣を下げているが魔法も使える剣士なのか?」

「僕はタ……「クーは治癒の魔女の弟子よ!身を守る方法をナルバに教わっているの!」

 ナルバからひそひそとタヌキなのは秘密にすべきと言われた。

 もぐもぐ。ふーん。リーシャの知り合いじゃないもんね。

「ほぅ、それならばアーサーと試合をしてみないかね?まだ荒いがアーサーの剣を受けられれば一般の相手なら問題なかろう」

 熊は一般に入るのだろうか?ナルバは強すぎてよく分かんないし「いいよ」受けてみましょ。



 広い庭で自分と勇者が向かい合って木剣を構える。


 ピョンピョン跳ねながら木剣を振る。様子見の攻撃は簡単に防がれる。

 勇者の横凪ぎをしゃがんでかわす。ジャンプ先に剣を振られるが、剣同士を当てて手前で着地する。

 跳ねながらスライドを混じらせる。すり足が入ると予測が難しくなるらしい。

 勇者もナルバ程ではないが受けて、此方に剣を当てにきている。


 カンカン攻めているけど危ないのは自分の方だ。

 うーん、跳ねると着地を狙われるね。小さなステップで狙われないように移動しながら隙を狙う。隙がどこだが分からないので適当に振っているだけだが。


 勇者が一瞬で距離を詰め、剣を振れない程の近くで剣を前に出してぶちかました。ぶっ飛びゴロゴロ転がる自分。


 また剣が何処かに行った。

「参りました」仰向けで青空に雲が見える。一度は雲を食べてみたいなー。


 勇者に起こして貰って握手した。

 おっさんはよく分かんないが頷いている。

「最初隙だらけだったが、後半良くなってたな。攻めは強くないが身を守るなら十分。アーサーも負けてられないな!」



 勇者達と別れ、休みたいけどヨードの部屋に連れていかれる。

「ヨード、来たわよ!」

「お待ちしておりました、席へとお座り下さい」

 四人がテーブルに向かい合って座る。クッキーを取り出して食べる。もぐもく。


「クーに聞きたいのはヒール草の雫についてよ!あれはリーシャに教わったの?」

「リーシャは知らない。治癒魔法で草の治す力を取り出した」

「あの雫は軟膏と同じなのね?リーシャでも作れる?」

「魔法で出すから軟膏より強い、リーシャがヒール草食べれるなら作れる」

「強い分、健康な人には毒と同じ訳ね。治癒魔法が使えてヒール草の悪影響が無い、あなたにしか作れないわ」

「ですのぅ。クー殿、この瓶に治癒の雫を入れては貰えませんか?薬としての力を調べたいのですが」


「……ヒール草が無い」悩ましく斜め上を見ながら言っておく。勿論収納の外に無いだけなのだが。

「此方にありますヒール草でお願いします」カゴいっぱいのヒール草がテーブルに乗せられる。



 取り敢えずひとつ食べて、両手でヒール草をすくって魔法を使う。ぽとぽとと手の間から透き通った緑の雫が、小さな香水入れみたいなガラス瓶に入っていく。雫を出した草は収納して、カゴから同じ作業を繰り返す。カゴのヒール草が無くなる前に瓶がいっぱいになった。


 余ったヒール草を収納しようとしてると、瓶を見ているヨードが此方を見ないで言った。

「此方にある軟膏に雫を混ぜてもらえますか?」

 混ぜたらヒール草が無くなるであろう数の軟膏がテーブルに置かれる。耳が垂れる。


「美味しいお菓子を報酬としてあげましょう」

 耳が上がり、やる気で雫を作って軟膏に混ぜる。

 作りたてより綺麗な緑の軟膏になった。


「瓶欲しい……」お日さまに当たって緑の影がキラキラ揺らめく姿にうっとりしながら言ってみた。

「用意しておきましょう」おー、言ってみるもんだね。


 この次の日から忙しくなった。チヨとの料理作り、ナルバとの特訓、アカリちゃんのつかまり立ちの支え、ヨードとの契約による治癒患者の対応。午前中はこれで終わる。


 午後は自由時間だ、ヨードの部屋の本を読んだり、森の探索で食材探し、弓で狩りもやっている。



 で、現在森で気配を追っている。複数の気配は群れかな?そろそろ見える範囲なので、弓を準備をして確認する。


 あっ、バレた……おっさんが此方を見ている。

 おっさんは狩りの対象ではないので表に出ると勇者達もいた。怪我した二人も元気そうだ。

「おぅ、坊主か。気配を殺している感じがしたが……あー、狩りの獲物探しか」

「うん、勇者は西に?」

「いや、まだ西は力不足だからね。もう少し良くなったら北のダンジョンに行く予定だよ」

「これをあげよう、ゲンコツが痛かったら使ってくれたまえ」この前作った治癒の雫の瓶を一個勇者に渡す。

 勇者は嬉しそうだ。笑顔がひくひくしている。


 勇者と別れて狩りを再開して鳥を1羽持ち帰った。2羽捕まえたのは内緒だ。


 アカリちゃんは1人で立てる様になった。

 チヨとナルバはアカリは天才だとはしゃいでる。

 自分は料理しながらそんな3人を見ている。


 夕食の鳥肉が1羽分増えた。


クーの収納中身はヒール草、毒食材、水、魔力、珍しい石ころが大半です。

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