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5 熊討伐

 カナリア達三人は一晩小屋で過ごし、アルン村には夕方に着いた。

「ちょっと村まで遠いわね」

「我々の町はどちらかと言うと森の外側ですから近いですよ」

「馬車で4日が?」

 カナリアとヨードが喋っている間にナルバが村長と話していつも借りている一軒家を使わせて貰う。


「森の外の風も良いわー」

 馬から降りて馬小屋へ止めて飼い葉と精霊に頼んで水をあげる。

 家の中の埃を風で飛ばして入る。


「良い村ですね」ナルバが家に入って言った。

「リーシャがここに住んでいる理由でもあるからね」

「エルフの町へ来ないのもですか?」

「えぇ、彼女は人間ですもの。残念だけど」

「薬の作り方を教わったりは?」

「一般的な作り方よ、魔法以外は。彼女固有の力だからどうしようも無いってこと」

「なるほど」

「村の人から野菜を分けて貰いました」

 ヨードが野菜を持って家へ入ってきてきた。

「料理よろしく!」

「お嬢様……」

「よろしく!」

「……はい」

 ヨードは台所へ向かい、ナルバは苦笑いで装備を外していく。




 ヨードの野菜スープと携行用の硬パンで夕食をとっていた三人は精霊のざわめきを感じ取る。

「相当な魔法を使ってるわね」

「装備を着けて行きましょう!」


 急ぎ装備を済ませて村の外へと飛び出す。リーシャの家の方角が騒がしい!

「もしかしてリーシャ!?二人共、急ぐわよ!」


 全力で走り、精霊に追い風を頼む。

 火の魔法が遠くに見えた!


 後ろから二本の火矢が放たれる。

 人影と熊が見えた。魔法で矢に火を灯し熊へと放つ。


 結果を見ずに人影へと向かう。

「リーシャ!無事?」

 レイピアを構えて熊と対峙する。

「カナリア?無事だけど何故貴女がここに?」

 ナルバが熊へと剣を振り下ろし、熊は後ろに下がる。

「ヨードから獣の話を聞いて面白そうだから」

 熊がナルバへと爪を振り、剣で受けきれずにナルバが下がり、カナリアが前に出る。

 背中に矢が刺さり熊がヨードの方を見る隙に赤い眼球へとレイピアを突き刺す!

 脳にまで達したレイピアに熊は痙攣し倒れこんだ。

「逃げられなくて良かったー」


 ヨードが熊へと近づきナルバと熊を仰向けにして腹へとナイフを入れる。

 左手を腹部へと入れてゴソゴソ何かを探している。

「うげー」

「ん?あったぞ」

 ヨードが手を出すと血に濡れた赤い宝石のような物が炎にきらめいている。

「魔石持ちですね」

「こんな場所まで出てくるとは、悪い予感が当たったのぅ」

「魔石って魔界の?」

「そうですね魔物を食べて狂ってしまったのでしょう」


 血まみれの手で近寄るヨードに熊の周りで逃げるナルバ。

 カナリアが冷たい目で眺めている。

「あの、助かりました」

「気になさらずにリーシャ様。こやつを狩るのも予定にあったことですから」ポンポンと熊を叩く。

「そういえばリーシャは何で村の近くまで?」

「熊に追われてクーと逃げてきたのよ」

「クー?」

「えぇ、助けたこの子よ」

「ふーん。この状態でよく寝てるわね……」

 鼻提灯を膨らませて口をモグモグしているクーにリーシャも苦笑いで答える。

「さっきまでクーは魔法を使い続けてたから」

「え?タヌキが魔法を?リーシャじゃなかったの?」

「えぇ」

「とりあえず村へ行きましょう、早く手を洗いたいですからね」



 ―――



「成る程、不思議なタヌキですね。知能が高い動物が魔法を使えるとは聞いたことがありますが、会話まで出来るとは」

「長老様に見てもらった方がよくない?」

「リーシャ様はどう思いますか?」

「そうね、狙われる可能性が何かあるのかも知れないし、確認したいけれどクーが行くかどうかね」

「たしかに、それもそうですな」

「餌で釣ればいいのよ!」

「お嬢様、そんな簡単にはいくわけないでしょう」



 ▽▽▽



 エルフの町に遊びに行くことが決まりました!

 カナリアと言う人は笑顔で、ヨードはため息ついてます。


 硬いパンをガリガリして食べる。旨い。


 リーシャは大工のドーグさんとやらと家へ帰るようです。

 熊がドア壊しただろうからね、くま、不器用ですから……。


 エルフ三人が熊を倒したんだって、凄いね。

 熊は毛皮以外を処分しにナルバさんが行っている。

 食べたらお腹壊すから燃やすって。

 自分なら美味しければお腹壊しても食べるけど。



 リーシャとお別れの頭ポンポンされ、カナリアに首を捕まれてプラプラ移動する。何故か落ち着くのは何でだろう?

 鞍の後ろの荷物の上に乗せられる。


 馬のしっぽを眺めていたら寝ちゃったようだ。

 落ちるかと思ったけれど紐で荷物としっぽを結んでくれたみたいだ、逆さまで起きた。


 途中馬車と出会った、薬を貰いに行くんだとさ。

 逆さまの世界で村へ進んでいく馬車を眺めていた。もう少し寝ようかな。



 起こされると逆さまの小屋が見える、カナリアによると今夜泊まる場所らしい。しっぽの紐を解いてもらって馬から降りる。

 変化して小屋の扉を開けて中を見るけど何も無い。

「何も無い」

「泊まるだけの小屋ですからね」

「食事無い?」

「持ってきた硬パンと干し肉だけですね」

 ヨードが出してきたパンを貰って魔法でしまうと彼は驚いている。

「周り、歩く、食べる」



 固まっているヨードを他所に小屋を出て久しぶりの森を満喫しに出かけるクーであった。




彼の名前は高熊健。

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