4 くまー
リーシャがお婆さんぽくない……
50代の美魔女とお考え下さい。
現在自分は入浴中。
リーシャが体を拭くついでに洗濯桶を外に置いて、アップルミントを入れて、精霊から水出してもらった。
料理されてるみたい。
桶の中をぐるぐる回るよー、渦ができるよー。
止まろうとしても流されるよー。
遊んだら水をブルブルして飛ばします。
精霊に風を出して貰って体を乾かす。
アップルミントを食べる。旨い。
ちなみに普段漏れてた魔力を魔法の入れ物にしまっておくようにした、精霊にいたずらされるからね。
最近賢くなったような気がする。
言葉も少しずつ覚えているし、変化にも慣れた。
背中に鳥の翼を出したけど飛べなかった、坂道を精霊の向かい風の助けで滑空は出来たけどスピードが出て超怖い。
後、着地で滑ってごろごろ転がった。傷口がしみる。
そんな訳で汚れた自分は洗ってさっぱりしてひなたぼっこ中。
自分は凄いタヌキらしい。確かに色々出来るね、でも人間の方が凄いんだぜ!トマト育ててさ……うまうま。
乾いてきたので家に入る。
「ただいま、かえる、クー」
変化して喋る。
「お帰りなさいクー、綺麗になった?」
「旨い……綺麗」
口の周りを拭かれる、なぜばれた?
「今日はこの世界の始まりの話をしましょう。昔々、女神様が何もない場所に世界樹を植えたの。世界樹は無から大地や水を生み出して、溢れる力から精霊が生まれた。その大地に動物達を女神様が世界樹の力を元に創られた。どちらも世界樹の力で生まれたから精霊に力を借りられるという話よ。世界樹に感謝しないとね」
「ヒール草、旨い、作る、世界樹感謝」
「くすっ、そうね」
「女神作る、魔力つくれる。精霊違う、魔力つくれない?」
「そうね、魔力を貰わないと精霊は力を発揮できないわ」
「精霊作れる?」
「使い魔という存在を昔の賢者様が作ったという話はあるけど、精霊かは分からないわね」
「使い魔……」
「さてと、夕御飯の準備をしましょうか。何がいい?」
「茹でる、芋ハーブ」
「ハーブと茹でるのは美味しくないかな?ハーブはサラダに入れましょう」
リーシャが料理を始めるので元の姿に戻る。
家の中をうろうろしているとドアを叩く音がする。
「はーい、エルフの人かしら?」
リーシャがドアへ向かう。
ん?熊の匂いがする。
まずい、変化して止めなきゃ。
「開ける、ない、怪我!」
熊の言葉を知らなかった、ヤバい開けちゃう。
「きゃっ!」
奴がドアを押し開けてリーシャが転んでしまう。
熊が家に入ってくる。
リーシャが逃げる隙を作らないと。
あたりを見回すクーは台所へ向かう。
熱い鍋を掴んで熊へ投げる。芋……食べたかった。
『ぐおぉぉぉ!』熊がお湯をかぶって苦しんでいる。
「にげる!リーシャ」
リーシャを起こして裏へのドアを開ける。
包丁持ったリーシャと裏へ出た。
「クー、ありがとう。クーを怪我させたのはあの熊なのね!」
このまま森に行く?追いかけてくるだろう。
あのスピードはリーシャが逃げ切れない。
追ってこれなくしたい……それだ!
ダッシュで表のドアへと回る。
まだ熊は家の中だ、ドアを閉めて閉じ込める。
心臓ばくばくでリーシャの所に戻る。
「熊、家いる、閉める」
「熊を閉じ込めたのね、ドアが耐えきれるか不安だけど、アルン村に向かって助けて貰いましょう」
頷いてリーシャについていく。
もうすぐ日も沈む……村へと先に着ければいいんだけど。
後ろを確認しながら、じんじん痛む両手を我慢して腹減ったなーと思い出した。
ドア閉める時に拾った2つの芋を魔法で取り出す。熱い。
「リーシャ、芋食べる」
「ありがとう、あの状況でもクーはぶれないのね」
二人で歩きながら芋を食べて村まで残り半分過ぎた所、暗くなったのでタヌキに戻って精霊にしっぽにくっついて貰う。
精霊の見えるリーシャへの目印、実際に光ってないので月の明かりで進んでいく。
熊の匂いが近づいてくる。
「きゅーん」
熊が来た合図だ、リーシャは包丁持って後ろを確認している。
魔力を出して精霊に足止めをお願いする。
火種や水の塊が飛んで行く、ダメージは無いけど熊のスピードは遅くなった。
村へとさがりながら魔力をガンガン使う。
結構な時間魔力を使っている、疲れた。
何故か精霊の足止めの威力が上がっている、魔法を沢山使って慣れたのだろうか?
貯めていた魔力も取り出して使う。
魔力の使いすぎでぐったりだ、リーシャに抱えられる。
もうすぐ魔力も使いきる、ヒール草食べたい。
後ろから何か来る音がする。
『ヒュッ!』
火の付いた矢が地面に二本刺さる。熊の背中に一本刺さってる。
呻いて熊が止まった。村の人だろうか?熊に食べられなくて良かった。
緊張の糸が切れて、クーは疲労の限界で眠ってしまう。
リーシャに身を任せて……
クーの味覚はまともですがヤバい味を食べたがる性格です。
ヒール草のおかげでキノコや草の毒耐性を持っています。