3 タヌキ立つ
暴走しそうなキャラ。でも、お転婆お嬢様は鉄板だもんね、仕方ないね。
走れないけど傷はくっついたらしい。
彼女の後ろについて外にも出た。
ハーブと言う草を食べた、そこそこ美味しい。
匂いが強いけど癖になる。
魔法も理解した。
なんと!食べ物をしまっておける!
凄いぞ魔法!
後、治癒もちょっと出来る。
魔力は治癒に回してるけどポカポカして寝てしまう。
寝なければ凄く効く……はず!
魔法も便利だが、あの手が便利だ。
疲れるけど何とかなりそうな気がする。
魔法だってできたし!
▽▽▽
「カナリアお嬢様!」
「ナルバ、どうしたの?」
「ヨード様がお呼びです、何でもリーシャ様から連絡が来たとか」
「リーシャ?分かった、行こう」
私を呼ぶなんて薬以外に何かあったのかしら?
ヨードの部屋に入ると手紙をしたためているじぃがこちらを見て言った。
「お嬢様、今回の薬の輸送をナルバに行ってもらおうと思います」
「ナルバが行くような事が起きると?」
「最近の森の異常の影響かもしれません。リーシャ様が近くで大型の獣に傷を負わされたタヌキを助けたそうです」
何か面白そうね。
「私も行くわ」
「しかし、お嬢様」
「リーシャと10年位会ってないし、ナルバ程ではないけど私だって近接は強いのよ」
「……分かりました。私も行きます」
ため息をついてじぃは折れた。エルフだし見た目はおじいちゃんじゃないけどため息なんておじいちゃんね。
私が意見曲げないからだけど。
人の生活範囲に大型の獣ね、無い訳ではないけど今の森の事を考えると排除すべきだわ。
治癒の魔女の為にも……ね。
外で素振りをしていたナルバを見つけて声をかける。
「ナルバ、薬の輸送任務にあなたと私、ヨードも行くことになったから、馬の用意もよろしくね」
「えっ!?はい!何か問題があったのですか?」
「リーシャの近くの森の安全確保よ。大型の獣の痕跡があったみたいだし、魔女に何かあったら相当な損失よ」
「念のためですか、分かりました準備いたします!」
敬礼して走るナルバを見送り、自分の武装の準備に向かう。
「楽しみだわ」
―――
翌日私とナルバ、ヨードは馬に乗り、ナルバの部下三人は馬車に乗り込んだ。
私はレイピア、ナルバはソード、ヨードは短めの槍、後は皆弓を背負っている。
ヨードは近接上手くないから近づかれないための装備ね。
アルン村には2日あれば着くでしょう、馬車は後からくれば問題無い。
馬車が来るまでに解決してリーシャとお話して待つ。
完璧な計画ね!
うふふ、待っててリーシャ。
▽▽▽
この子は本当にタヌキなのかしら?
私の真似みたいに治癒の魔法を自分にかけている。直ぐに寝ちゃうけど……。
治癒は私の影響っぽいからまだいいけれど、魔法使える時点でタヌキじゃないわよね?
……うん、エルフの人が来たら聞いてみよう。
今日は野菜スープと黒パンにしましょう。
ヒール草は……もう無くなりそうね。
クーの食事で結構使ったからエルフが来るまで節約だわ、可哀想だけど森にも行けないし。
「さぁ、食事にしましょ……」
振り向いたらクーが二本足で立ってるけど、なんなの?
「あぁ、分かった。私の真似ね」
プルプルしてなんか子供の時の息子みたい……
思い出した記憶を振り払い、クーを抱き抱える。
「あの子の生まれ変わり?まさかそんな事無いよね?」
パンをちぎってクーにあげるとスープに浸して食べる私を見て、前足でパンを挟んでスープに入れて食べる。
「クーはお利口だね~」
頭を撫でて食事を眺める。
治ったら森に帰るのかしら?……でもたまには遊びに来てくれるといいな。
―――
クーの手足が変化した……
赤ちゃんの手足みたいだけど、よたよた歩いてる。
あっ!ひっくり返って戻ったけど、変化の魔法?
タヌキらしいけどファンタジーじゃ……ファンタジーね、魔法あるし。
言葉教えてみようかしら?
「クー、ヒール草って言ってみて」
呼ばれてこちらに来る。
「ヒール草って喋れる?」
「きゅーん」
頑張ったけど流石に無理よね、困った顔も可愛い。
クーの魔力が活性化して全身が変化していくけど……この顔はユウスケ?
飾ってある私と息子の子供の時の写真を見て変化したのね、服装も写真の姿。
しっぽと耳がクーのままだけど……
「ひーゆそー」
えっ!?本当に喋れるなんて……
息子の記憶が甦り、涙がこぼれてクーを抱き締める。
違うのは分かってる……でもまたあの子に会えた気がしてうれしい。
会いたくても会えない、後悔の日々。
これは皆を癒したから神様からのご褒美かしら。
クーのほっぺをぷにぷにさせながらリーシャは運命の出会いに感謝した。
タヌキは変化と風呂敷を覚えた!
テテテ テッテ テー