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2 治癒

 大好きな草の匂いに鼻をすんすんして目が覚める。


 周りを見ると森じゃない。

 何処なんだかわからない。

 目の前に寝ている人間がいて、逃げようしたら痛くて声がでた。


「きゅぅ」

 うわーん、超痛い。ジンジンする。


 熊にやられたことを思い出してると人間が起き出した。



 死んだふりしとこ。



 人間が手を出すと自分の体がポカポカしてくる、日に当たっているみたいだ。

 人間の周りには精霊がいる、もしかして大きな精霊なのかもしれない。

 草の匂いがしてるのは精霊と同じで草が好きなんだ。


『く~』

 草の匂いでお腹すいた……



 ▽▽▽



 鳴き声がした気がして起きるとテーブルで寝ていたことに気がついた。

 まだ寝ているようね、治癒の魔法をかけていく。

 もぞもぞしはじめてタヌキのお腹がなった。


「くすっ、ちょっと待っててね」

 麦のお粥にヒール草を入れて混ぜる、ちょっと苦いけど食べてくれるかしら?


 木のお皿にお粥をよそう、精霊にちょっと冷まして貰ってタヌキの前に置く。

 スプーンでタヌキの口へ持っていく。

 匂いを嗅いで少し舐めてから食べる。

 気に入ったのかお皿からはぐはぐとヒール草中心に食べていく。

 しっぽをぱたぱたしているタヌキに精霊が寄っていく。

 もしかして私みたいな特殊な力があるのかしら?


 それにしてもなぜ森の外周にこの子は倒れていたのかしら?

 大きな傷だけど、大型の獣がいるなら気を付けないと。

「あなたは誰にやられたの?」

 声を聞いてこちらをくりくりとした目で見つめてくる。

 可愛い、そうだ治るまで呼び名を決めましょう!

 何がいいかしら、ポン助、ポン太、うーん普通ね。

 ポン……ポンね、グレポン、クーポン!

「クーにしましょ!あなたはクーよ!」

「く~ん?」

 首をかしげて鳴いている。

 良くわかって無いようね。


「あなたの名前はクー」

 クーはヒール草が無くなったお皿を見ている。

「ヒール草が好き見たいね、動物は進んで食べない草なのに」

 ヒール草の多い所をお皿によそって頭を撫でる。

 耳がピコピコして毛並みがくすぐったい。


 お粥を食べているクーとの繋がりが微かに感じる。

 精霊に魔法を頼む時みたい、クーに治癒魔法を使ったからなのかしら?

 でも他の人にはこんなことなかったけれど?

「クーは特別なタヌキかもしれないわね」

 食べ終えたお皿を片付け、大きなバスケットをクーの寝床にしてあげる。

 包帯を替えて寝床に寝かせて、ヒール草を乾燥させに外にでる。



 ▽▽▽



 クーとはこの美味しい食べ物のことかと思ったけど、自分のことを呼んでいる感じがする。

 お腹の音から決めたのかもしれない。

 何と呼んでもいいけど、何で助けてくれたのだろう?


 まぁ、いっか!

 精霊みたいに気まぐれかもしれないけど、草も食べれるし、熊にもやられない安全な巣だ!

 凄いなー人間は。

 傷の痛みは動かなければほとんど無いし、何か出してたポカポカの力のおかげだろうな~。



 ふわ~っ、寝よ。



 ―――



 おぉ!数日で歩いても大丈夫になるとは驚きだー。

 どうやらあの草はヒール草と言うらしい、好物だから食べさせてくれた訳ではなく、体が良くなる力がある草だとさ。

 あの治癒魔法というポカポカで彼女が伝えたいことがわかってきた。不思議~。


 魔力というのも分かった。

 ヒール草食べると自分も出てたらしく、精霊が寄ってきた理由は草ではなくて魔力らしい。

 魔力渡してお願いしなかったから好き勝手にいたずらしてたようだ。


 彼女は色々やっている、主に草を使っている。

 調子の悪い他の人間用に作っているみたいだ、自分も傷に塗られた。あれはしみる。


 今は透明な石に話している。

 喋る石なのだろうか?

 タヌキ、大きな獣、薬……色々話しているけど良くわかんない。


 巣の中を歩き回ると後ろから持ち上げられた。

 うーん、その手便利ね。


 魔力を出して精霊にいたずらして貰った、風がそよそよ。

 むふふ、驚いてる、驚いてる。


 下ろして貰って頭をぽんぽんされた。

 運動を再開しましょ、お腹を減らして沢山美味しいご飯食べないと。




 ▽▽▽



 ヒール草の丸薬も作ったし、エルフに連絡しなきゃね。

 共鳴石に魔力を流す。

「こちらリーシャよ、誰かいます?こちらリーシャ」

「リーシャ様、ヨードにございます」

「ヨード?カナが出るかと思ったけど」

「カナリアお嬢様は只今……外出しておりまして」

「くすっ、抜け出したのね?」

「……えぇ、まぁそうなります」

「相変わらずね」

「そういえば薬の件ですか?」

「えぇ、薬が出来た連絡と、家の近くに傷付いたタヌキが居てね、大きな獣にやられたようだから注意が必要かも」

「分かりました。アルン村にも通る時に連絡しておきます。」

「お願いね。それじゃあカナによろしく」

「はい、それでは」



 大きな獣の不安があるけどエルフなら大丈夫よね、コータ君が来る前に着くだろうし。


 よたよた歩くクーを持ち上げモコモコの毛並みを堪能して不安を紛らわせる。

 ん?そよ風が吹いてきたけど、驚いた!クーの魔法ね。

 私を励ましてくれたのね、ありがとう。

 頭を軽くぽんぽんと叩いて料理の準備を始める。


 沢山食べて、早く良くなってね。



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