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14 冒険者登録

 

 診療所も安定したので、お手伝いさんに治癒の雫を一瓶渡して逃げようとしたら木箱を渡された。

 先生から渡すよう頼まれたいたという箱を開けてみると縫合針と糸のセットだ、先を読まれている。

 先生から手術教育を受けさせられた意味が分かった。ありがたく受け取って使わせて貰おう。


 熊のマントを羽織り、冒険者ギルド近くの宿に向かう。勇者が泊まっていて、今日はダンジョンに行かない休日と聞いていたので寄ってみた。皆居なかったが、酒場におっさんがよくいるらしい。

 隣の酒場で勇者の指導役、ゲンロウおっさんが飲んだくれていた。


「おっさん、アーサーは?」

「ん? クーだっけか? あいつらなら次のダンジョンアタック用の買い物してるはずだ」

「まだ戻らない?」

「もう少し掛かるはずだ、暇なら冒険者登録しておくといい」


 人間の大きな町では冒険者ギルドがある。危険な仕事が回される傭兵みたいな感じらしい。

 普通のお使いもあるので仕事探しにも使われる。平和な地域は後者がメインだ。

 身分証代わりにもなるので登録して登録証を貰う人は多い。



 あって困る物でも無いので登録しておこうかな。


 冒険者ギルドの建物内の掲示板には緊急性の依頼や、指名手配の似顔絵も貼られている。

 診療所の募集も大きく貼られている。


 登録は簡単。名前と出身だけ。エルフの森東のアルン村近くの治癒の魔女宅としておく。

 特記事項としてカナリア嬢を死亡時の連絡先にしておく。治癒魔法持ちも登録。


 登録出来たら銀貨一枚で名前付きのドックタグにして貰う。

 星1つ、Fクラスの証とクーの名前が刻まれている。

 カードタイプの方が安いけど、ネックレスに付けられるタグにした。クラスが上がれば星が増える。最大6つの星でAクラス、戦闘意外の最高はDクラスでCクラスは粗暴な人が多い。AとBクラスがいわゆる強くて憧れの冒険者なのだ。

 戦う依頼を数回クリアできれば一気に星4で、アーサー達はCでおっさんはAクラス。

 Sクラスはとてつもなく強い例外で、過去数人しかいない。

 ゴンザエモンもSクラスの勇者である。



 ドックタグと宝石が揺れてキラキラ光る。

 表通りの喫茶店で紅茶の香りを堪能しながら山盛りのドーナツを頬張る。紅茶が口内でドーナツに染み込む、しっとりと美味しい。

 通りを見ると、ダンジョンに向かう冒険者達が道を通り、活気がある。

 面白そうだしダンジョンに一度入ってみようかな。


 その前にアーサー達に会おう。そろそろ宿に戻ってるはずだ。



 宿ではアーサー達が大きな荷物をまとめていた。

 ダンジョンは10階層ごとに転送できる陣が設置されている。しかし、一度自力で到達しないと転送されない為、10階層分のトライを繰り返して進む。

 荷物持ち込みを考えると1トライ1週間が限界だろう。それでも進めない場合は力不足ということだ。


 エルフ少年のロビン君はギッシリの矢を矢筒に入れている。

 ドワーフ少年のドラウ君が自分の身長以上の荷物を背負っている。スズ達も背負えるのかな?


「アーサー久しぶり」

「やぁ、1ヶ月ぶりかな? 今日はどうしたんだい?」

「診療所辞めて帰るから挨拶。後はダンジョンに行ってみる」

「流石にダンジョンを1人は無謀だよ。常に敵を気にしてなければならないから寝れないんだ」

 寝れない? 敵が来たら起きれば良いんじゃ?

「ちょっと見てみるだけ」

「それなら良いんだけど。俺達は50階層へのトライで行けたらBクラスだよ」

「Aクラスは?」

「100階層到達できたらだね。Sクラスは200階層をソロで到達らしいよ」

「大根」

「大根は3階にいるよ」

「坊主は食い者狙いか、そこらなら1人でも大丈夫だろう」

 酔っぱらいが部屋に入ってきた。明日からダンジョンなのに大丈夫なのだろうか。


「それじゃ」

 酒臭いので逃げる。アーサーに去り際、軟膏と丸薬の包みを投げて向かいの部屋に入る。実は今日の宿を借りていたのだ。


 ダンジョンの4階までは平原で食い者と呼ばれる生き物が出現する。倒して魔力が抜けると美味しい動く野菜だ。

 一般人でも武器があれば倒せるけど数の暴力によって時折、肥料になる被害者も出る。都市ではイベントとして集団収穫を行うことがある。

 5階のスケルトン人数分を倒せれば本当のダンジョン冒険の始まりと呼ばれる。



 つまり、自分は野菜と戦うのだ!



 4人部屋で荷物いっぱいのぎゅうぎゅうな勇者と違い、クーは1匹でベッドのまん中に丸くなっている。

 あくびから背伸びをして起き出す。ネックレスを着けた状態だ。

 人化してしっぽと耳を撫でて整える。収納魔法から熊マントとヒールカリバーを取り出す。



 宿の朝食にパンとコーヒーを食べているとアーサー達がドタバタ降りてきた。

 山盛りのパンをスープに浸して食べている。おっさんはコーヒーだけみたいだ。


 おかわりしているアーサーに挨拶してダンジョンに向かう。


 入口右側は転送待ちで並んでいる。自分や鎌を持った人達は左側をそのまま進んでいく。


 さぁ! 収穫しまっしょい!



中身スカスカ、閃きが欲しい……

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