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13 迷宮都市

 

 スズ親子に見送られ馬車の後ろで手を振り。

 下りは縛ってある武器が跳ねてるのを押さえていた。平原で夕飯を作る。

 芋たっぷりの鍋、ゴロゴロしたお肉の旨味が染みて美味しい。秘密は温泉の水を使っているのだ。


 次の日はゆったり平地の移動で振動が眠気を誘う。

 お昼は鍋の残りに麦と卵と大根、人参を入れた。豪華なお粥だ。肉エキスの濃くなった味を卵がまろやかにしてくれる。

 沢山食べたら寝るだけ、素晴らしい旅だね。

 お休みー。


 ―――



「メス」

 ひょい

「汗」

 フキフキ

「治癒」

 ポワー


 何をしているかって? 手術と言う治療の一種の助手を任されている。


 迷宮都市の先生ことジャック先生と現在は迷宮出口近くの診療所と言う名の戦場にいるのです。


 そう! エルフの森沿いの道を過ぎて迷宮都市で起こされました。寝過ごしたと言うか行き先言ってなかったのが悪いよね。

 せっかくだから勇者達に会おうかなと考えてうろうろしてたのです。


 そんな所に逃亡した助手の代わりに自分が先生に捕まって、手足や内臓を元の場所に戻す手術を手伝っている訳です。


 怪我して迷宮から診療所までこれたら幸運で、元に戻ったら奇跡。治癒の雫はお菓子沢山より高いみたい。

 何故そこまでして迷宮に行くのかな?

 都市では傷だらけで腕や足の無い人が仕事を探している。


 手術の最後に軟膏塗って治癒をやったら先生にガッチリ掴まれて戦場に1週間。助手2号は入ってくるけどガンガン辞めていく。

 昼夜問わず患者は運ばれてくるから診療所に住んで起こされる生活、他にも先生がいたのに今ではジャック先生だけらしい。

 そんな中、手術後の血だらけの姿で偶然勇者達に合った。


「アーサー、久しぶり。手足無くした?」

「あぁ、クーか久しぶりだな。俺達が怪我した訳じゃないよ。 途中で負傷者を見つけて連れてきただけだ」

 勇者アーサー君は前に見た時より大きくなったみたいだ。しかし、勇者ゴンザエモンに比べたらまだまだだね。


 ドワーフ少年とおっさんが片腕を縛った冒険者を運んできた。

 エルフの少年はボロボロの腕を持っている。


 ジャック先生が患部を確認

「こりゃー駄目だな! 腕はそこのトレーに置いてくれ、後で処分する。おい、クー! 縫合手術するぞ」

「それじゃ」

 勇者達に手を振って手術室に戻る。


 事件は腕を縫合した時に起こった。

 ふらついていたが、気合いで縫合した後に崩れ落ちる先生。疲れて倒れたみたいだ。

 精霊の力を借りて担いでベッドに寝かせる。患者の世話をするお手伝いさんに話して、冒険者を治癒してベッドに放り込む。


 お手伝いさんは近くに住んでいるベテランお母さんで診療所に長い間勤めている。彼女は冒険者ギルドに連絡しに行った。

 自分は先生の手術着とキャップを脱がせて手を拭いてあげる。

 細身で言葉使いからも男性に間違えられるが、髪を下ろすとキリッとした女性。短期間でも助手が逃げ出す治療を続けていたのだ、倒れもするだろう。


 眠るジャック先生の側でポリポリきゅうりを食べる。人が作る野菜は甘くて美味しい。

「パリッ、ポリポリ……ポリッ」

 首から下げた黄色い宝石が薄い緑に変わり、淡く発光する。

「パリパリ」

 宝石の色が黄色に戻り、先生の寝息がゆったりとしたものに変わる。

「トゲが痛い」

 食べる前にきゅうりのトゲは処理しておこうとクーは肝に銘じた。



 診療所に戻ったお手伝いさんとギルド職員はベッドの隣にいる血だらけの服で口を赤くしたタヌキの獣人少年にビックリした。



 手に持ったトマトを食べていたらお手伝いさんと眼鏡の男性が部屋に入ってきた。

 お手伝いさんに食べる時は綺麗にしてからと起こられて、洗濯かごに血だらけの服を入れて部屋に戻ってきた。

 食べ掛けのトマトを取り出して座る。


 お手伝いさんが話を切り出す。

「本人は多分起きたらまた治療を始めるだろうけど、治療する人が少なすぎるのよ。また倒れてしまうわ、どうにかならないのかい?」

「ギルドでも募集しているんですが、薬師ならいるんです。手術というのが新しすぎるのです。そこの少年は出来ないのですか?」

「1週間前に来た助手よ、治癒の魔女の弟子に無理していてもらってるこの状態がもう奇跡ね」

 眼鏡の男性は驚いているみたいだ。


 情報は対価(食べ物)で払われ、今口の中にモグモグ。お手伝いさんに聞き出せないことなどないのだ!

「やりたい人に教えれば良いじゃん」

「しかし、血だらけでやれる人はなかなかいないですよ」

「手先の器用な元冒険者は?」

「ふむ、集めてみましょう」

 適当に言ったことが通ったみたいだ。大丈夫かな。


 次の朝には先生も起きてキセルでハーブを吸っていた。ローズマリーのミントっぽい匂いがする。

 自分はシナモンスティックをカミカミするのが好きだ。


 怒濤の1ヶ月は始まった。流石は元冒険者、度胸もあるし覚えも早い。流石に手足を繋げるまではいかないが、縫合位なら任せられるようになった。

 助手は片腕の人達がやっている。自分の治癒の仕事は増えたので軟膏に治癒魔法をかけて渡してあげた。


 冒険者ギルドからは大量の軟膏が届けられた。治癒の魔女の弟子がバレたからね、仕方ないね。軟膏に治癒魔法を込めて返す。報酬として収納には香辛料や野菜や迷宮の良く分からない素材が大量に増えた。

 フォーグリズリーと言う手が四本の子熊の毛皮マントを作って貰った。首と胴を熊の手で結び、頭のフードを被ると熊に擬態できる。


 やってることはイースリーフと変わらない。あ、森に帰るつもりだった。

 季節は冬で山は白くなっている。都市付近は雪が積もるのでそろそろ帰らないと。



ドウコはクーが寝ていた部屋の掃除に向かうと、ひとつの石が置いてありました。軟膏と一緒に。

「あらあら」彼女はその石と軟膏をスズに渡に行くのでした。

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