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12 ドラゴン

 薄汚れた子供ドラゴンは他のドラゴンの子供より痩せて小さく弱々しい。沢山食べてないんじゃないか?

「ご飯食べてるの?」

『食べるが吐き出してしまうのだ』


 ヒール草をあげて見るけど変な顔をして、吐き出してしまった。本当に食べても吐き出すのか……困った。

 とりあえず治癒魔法をお腹に触ってかける。

「食べる物ある?」

『あぁ、小動物があるぞ』

 ウサギの成れの果てが置いてあったので口に治癒の雫をひと瓶流し込み、ヒール草で蓋をする。これでよし!

「僕食べられない?」ちょっと不安になった。

『毒は食べないよ』

 なら良かった。ウサギをぐいぐい押し込んで飲みませる。

 目を丸くしてビックリしてる小ドラゴン。肉丸薬なら苦くないでしょ。

「後は良くなるか待ってみないと分からない」

『助かった、お礼に奥のガラクタやドラゴンの亡骸を持っていくといい。人間世界で売れるだろう。明日子供が良くなったら送ろう』

「おー、凄い!」

 洞窟の奥には武器、防具や謎の金属破片、ドラゴンの鱗や骨が置いてあった。

 残念ながら相棒のヒールカリバーより使えそうなサイズの物は無かった。全部収納して、巣の場所に戻る。

 元の姿に戻って唾液まみれなことに気づいたので桶に温泉のお湯を出してお風呂にした。

 ふいー、何だかんだで目的達成したなー。まったり浸かっていると横でガブガブ音がする。

 白いのがお湯を飲んでいる音だね、タヌキ出汁が出ているのかな?

 白いのの上からお湯をだして藁で拭くと綺麗に真っ白な鱗になった。


『このお湯はあの泉のだな』

 額の汗を拭ってやりとげて満足してると後ろの桶のお湯は無くなっていた。

「美味しいの?」

 コップに入れて飲んでみるけど、そこまでガブ飲みするほどでもない。ちょっと匂う水だ。

「いつも飲む水は?」

『あっちの壁に溜まっている水だ』


 色々浮いてて泥の水溜まりだ、上からポタポタ水が垂れているけど、自分でも飲まない位茶色い見た目。

 綺麗にした方がいいだろう。岩肌が見えるまで収納で泥を無くして精霊に水をお願いする。

 ジャバジャバと水が溜まっていく、他の子ドラゴンも音に気付いて水を飲みにきた。

「これが原因じゃない?」

『私は外の泉で飲むから気付かなかったよ。ありがとう』


 森のカラフルキノコと芋炒めを料理して食べたら子ドラゴン達と藁の巣で眠る。

 朝、白ドラゴンにベロベロ舐められて起きた。

 どうやら元気になったみたいだ、食事を沢山食べている。

 食事に自分の同類がいたのは……まぁ……弱肉強食だよね、うん。



 子供とも別れを済ませて、現在親ドラゴンの背中でバサバサ風を受けている。笑顔……に見える程風が強い。口の中を辞退した変わりなのだが、風でガチガチに毛並みが固まっているので、ちょっと後悔。


 連れてかれた温泉が見えたので鳥に変化して滑空する。

 ドラゴンと平行飛行した後、ドラゴンは旋回して帰っていく。あっ、大型動物が連れてかれた。



 その後、綺麗に着水出来ずに水柱が上がったのは言うまでもない。


 逆立った毛並みも温泉で元に戻った。更にツヤツヤ!アカリちゃんに触らせてあげたい。もう1人で歩けるのかなぁ。



 1人で焚き火を眺めていると色々考えてしまう。

 楽しかったこと、辛かったこと、ヒール草のこと。

 ……キノコ焼けたかな?


 木の棒に刺したキノコをはふはふ食べるとじわっとエキスが染み出てコリコリ食感と相まって美味しい。

 体が痺れてきたので横になって直ぐ眠れた。



 昼過ぎには町に帰って来た。おっといけない、人の姿にならないと。


「ただいまー」

「おかえりー、じゃないわよ。どこいってたの?」

 奥からスズが手を拭きなが出てきた。お土産に温泉卵を出す。

「温泉」

「あー、温泉宿ね。あそこ人気なのよ」

 宿? ドラゴンの? 人気?

「……凄かった」


「そうだ、宝石は夜には出来るわよ。期待しててね!」

 ふむ、となると明日移動する馬車でも探そうかな。寝れるし。


 軟膏一個と料理する変わりに乗せてもらう契約を行商人とした。迷宮都市に武器、防具を売りに行くのだそうだ。都市ではモンスター素材を買ってこちらで武器防具を作って貰って売りに行く

 基本は往復、行きは重いけど下りだし、スペースはあるし、子供だから問題ないらしい。



 夕飯は芋と栗を蒸かして、野菜炒めにキノコを入れた。串焼きと温泉卵もある。

 キノコはドウコさんに毒確認してもらったので問題ない。

 栗は多めに蒸かして収納した。芋も貰ったので蒸かして収納してある。


 栗はしっとり甘くておいしかった。次の秋も集めよう。


「クー、ネックレス出来たわよ」

 テーブルに置かれたネックレスには黄色いべネットの周りにツタや葉っぱがあしらわれている。

「ありがとう」

 1つを首に掛けて、もう1つは収納しておく。キラキラだ。

 治癒の魔力を纏うと色が黄色、オレンジから緑へと揺らめいて変わっていく。


「私はもうちょっと勉強してから旅にでるわ。クーに負けないからね!」

「料理覚えようね」

「うぐっ」



 視線をさ迷わせるスズ、旅は当分先かな?



圧倒的ツッコミ不足。

次はイースリーフに戻……、馬車のくだりで読めますね、はい。

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